Xitekがキヤノン「EOS R7」「EOS R10」の発表イベントにおけるインタビューの内容を公開。EOS Mはキヤノンの売り上げで30%を占める重要なカメラと主張しつつ、研究開発はEOS Rにシフトしていると述べています。ちなみにEOS Rは20%で、40%が一眼レフカメラとなっている模様。
Xitek:佳能:EOS R7/R10是?EOS R系?的?充,研?重心将?向EOS R
メディア:R7やR10という製品の位置づけを「若さ」という観点から考えている理由はなぜか。 この2つの製品は、若者向けということなのか。 また、これは中国市場におけるキヤノンの戦略に変化があったということか。
(訳注:今回のイベントにあたって「青春」というフレーズを使用しているため)
- EOS R7やR10は若者向けの製品ではない。
- しかし、キヤノンはもっと若者市場をさらに開拓したい思いは確かにある。
- 一方で、キヤノンは世界最大のデジタルカメラメーカーであり、ターゲットは高齢者層や子供も含めたすべての人だ。
- キヤノンが提供するカメラやカムコーダーを通じて、感動的な写真や動画を撮影し、感動を残してほしいと願っており、すべての写真愛好家のニーズに応えようというのが我々のポジショニングだ。
- このため、商品ラインナップは非常に充実している。
- EOS R7とEOS R10は価格設定もとてもリーズナブルで、スペックも充実したハイエンドなものである。コストパフォーマンスは非常に高く、若い方から少し年配の方まで、すべてのお客様にお使いいただける製品だ。
- 若い人も含めて、スマートフォンで写真を撮るのではなく、EOS R7やEOS R10のような製品で写真を撮れば、若い人は若いエネルギーを発揮し、年配の人はこの瞬間に自分の若さを見出すことができる。若さは生きる姿勢だと考えており、私自身もこの2機種で自分の若さに戻ってほしいと思っている。
- この2台のカメラで、一緒に青春を取り戻そう。
メディア:今年はキヤノン中国の設立25周年にあたるが、中国でのカメラ事業の展開をどのように見ているのか。 今後の展望は?
- キヤノン中国は1997年に設立され、今年でちょうど25年目だ。
- 私(小沢秀樹 氏)が2004年にキヤノン中国にやってきて、今年でもう18年目になる。実感として、キヤノン中国が年々良くなっているのは、皆さんの大きな協力と支援があってのことだ。
- 2005年以降、マーケティングやサービスなどに多くの施策を講じた結果、中国での事業は順調に推移し、年率30〜50%という高い成長率を一定期間維持し、この成長の勢いは2012年まで続いた。
- しかし、2012年は中国の経済成長率が二桁成長から一桁成長へと低下し、中国経済の落ち込みとともに、当社のカメラ事業にも一定の影響を与え、一部売上が減少した。
- しかし、前年度からEOS R5、EOS R6、昨年のEOS R3などのミラーレス主力製品の発売、RFレンズの大量投入などの対応策を講じてきたため、中国でのカメラ事業はこの2年間で力強く回復している。
- 2020年、新型コロナウイルスが蔓延し、その影響で世界経済が低迷する中、非常に厳しい環境にあったが、中国市場は突出しており、2020年、2021年ともにプラス成長を達成した。
- 特に2020年は世界のほとんどの国がマイナス成長の中、中国はそれでもGDPのプラス成長を維持し、2021年も比較的大きく伸びた。この結果から、キヤノンの中国でのカメラ販売も増加した。
- もちろん、昨年後半から、そして今年に入ってからも、主に以下のような影響を受けている。
- まず、サプライチェーンの問題だ。我々が必要とする部品やICチップなどの供給も含めて不十分である。また、伝染病の影響により、一部の工場の生産に影響が出た。そして、昨年から今年にかけては上海の一連の問題など、こうした外部要因が当社の生産・販売にマイナスの影響を与えていることは間違いない。
- しかし、そのような状況下でもキヤノン株式会社が発表した今年度第1四半期の決算は、売上高、利益ともに増加していることは、皆様もご存知のとおりだ。同時に、キヤノンのカメラ販売も、第一に全世界で増収、第二に中国で前年同期比プラスとなった。
- 確かに製品供給には困難があり、もし製品供給が確保できていれば、今よりも良い結果が得られていたかもしれない。サプライチェーンの問題はあるが、それでも中国市場には自信を持っているし、中国の消費者の強い支持があってこそ、好調に推移している。
- ご購入をお待ちいただいている一部のお客様には、ご迷惑をおかけしている。 とはいえ、中国はキヤノンにとって非常に重要な市場であり、カメラはキヤノンにとって非常に重要な製品だ。中国にはまだまだ大きな成長の可能性があると思っているので、全力で良い仕事をして、今後ますます良くなっていくと期待している。
- キヤノン中国の将来についての質問だが、中国政府は2035年までの長期計画を策定しており、その中では中国は世界一の経済大国になり、中国市場にも大きな成長の余地があることが分かっている。キヤノン中国も、中国市場とともに成長していくだろう。
- 従って、キヤノン中国の中長期計画は、キヤノングループ全体で売上高No.1の販売会社になること、そして事業の柱の一つであるカメラ事業も世界No.1にすることであり、中国とともに成長し、明るい未来を勝ち取る所存だ。
メディア:
1:EOS R7とEOS R10が発売され、EOS Mはアップデートしないのか?
2:APS-C EOS Rの登場により、RF-Sレンズロードマップが存在するのか?
3:EOS R10とEOS R7が主に若者向けと言うことだが、若者向けにどのようなデザイン・設計を施したのか?
4:ファッションを追求している若い人たちに向けて、レトロな機種を出すのか?
- キヤノンの研究開発の考え方を一言で表すと、「独自の方向性、研究開発能力、ポテンシャルを持ちつつ、お客様のニーズにも目を向け、研究開発の方向性や能力をお客様のニーズに合わせていく」ということだ。
- EOS Mシリーズはキヤノンのカメラ全体の売上の約30%を占めている。ちなみに、EOS Rが約2割、デジタル一眼レフが約4割だ。当社のカメラ販売に占めるMシリーズの比率は30%以上と非常に高く、今後、Mシリーズのバージョンアップしないことは考えにくい状況だ。お客様のご要望をお聞きして、需要がある限りMシリーズを提供していきたいと考えている。
- 一方で、研究開発の問題もある。現在、カメラ部門の研究開発チームが最も力を入れているのはEOS Rシリーズをさらに充実させることだ。
- マーケティング・販売面で、量的な選択肢を増やすが、研究開発面では、EOS Rシリーズにシフトしている。
- APS-Cのセンサーサイズが小さいのは周知の事実だが、同時にカメラもさらに小さく軽くなり、それに伴い価格もより手頃になり、より身近な存在になるだろう。
- 現在、ミラーレスの65%がフルサイズで、APS-Cが35%程度を市場で占めている。APS-Cの需要は非常に高く、人気があることがわかる。そこで、EOS Rシリーズをさらに充実させるために、EOS R7とEOS R10を発売することにした。
- Mシリーズと今回発売されたAPS-Cの違いは何かというと、主にレンズだ。また、オートフォーカスのスピードなども異なる。
- カメラと携帯電話を接続する方法を用意し、ライブストリーミングなどさまざまな手段で若者とコミュニケーションを図っていく。とは言え、先ほど小沢が述べたように、若さとは年齢ではなく、その人の考え方だ。我々が提供するこのカメラを手に取り、若いエネルギーを発揮して、青春の色を撮りに行ってほしいと思っている。
- 先ほどレトロなカメラについての質問もあったが、これはデザインに関わることだと理解している。確かに、レトロなムードの製品を発売している友人(訳注:おそらくニコンZ fcを指していると思います)もいることは承知している。
- 我々は、お客様の声に耳を傾け、ニーズを理解し、研究開発に反映させてゆく。
メディア:EOS R7とEOS R10は、多くのパラメーターがこれまでのフルサイズデジタル一眼レフを凌駕している。例えば、3250万画素、もう一方は2420万画素だが、フルサイズのEOS R6は約2000万画素しかない。
- キヤノンが画素の問題をどう捉えているかをお話しする。
- キヤノンはカメラの画素数を決める際、様々な要素を考慮するが、その中でも画質、スピード、高感度の3つの性能のバランスが最も重要だ。
- また、画素は動画の撮影にも大きな影響を与えるため、動画への影響も画素数を決める上で重要な指標となる。
- 我々は、それぞれの製品に強みや特徴があると考えているので、画素数が多いからと言って良いとは考えていない。
- このため、EOS R6が2000万画素しかないから悪いとは考えていない。むしろ、EOS R6が持つ特徴の方が大きいと考えている。また、オールラウンドな性能も備えており、EOS R6には自信を持っている。
- より多くの製品ラインアップと幅広い製品群をお客様に提供できるよう、今後も努力していく。
- 当社のEOS R6について、新製品のEOS R7とEOS R10を含めて、実は異なるユーザー向け、つまり、当社製品の位置づけごとに特定のユーザー層が存在する。
- 実際、EOS R6はフルサイズカメラであり、高感度性能は非常に良好だ。レンズ選択においても、フルサイズは広角レンズで非常に有利だ。風景や建築物などの大きなシーンを撮影する際には非常に有利である。同時に、フルサイズのEOS R6は被写界深度のコントロールに強く、ポートレートも得意である。
- EOS R7やEOS R10は、センサーは比較的小さいものの、望遠端のアドバンテージがあるので、そのあたりを検討している。スポーツ撮影、野生動物、野鳥撮影など、遠方からの撮影に強い。
- 製品によって位置づけが異なり、ユーザー層も異なる。実際、キヤノンはさまざまなユーザーのニーズに応えるために、さまざまな製品を提供しています。
メディア:キヤノンにはEOS MというAPS-Cミラーレスがあるが、なぜRFマウントのAPS-Cミラーレスを2つも投入したのか?キヤノンから見て、この市場はどの程度の大きさなのか。この2機種の在庫状況について、キヤノンはどのように対応しているのか、また現在の在庫状況はどうなっているのか。
- この2つの製品の主な目的は、Rシリーズをさらに充実させることだ。
- ご存知のようにEOS Rシリーズは軽量化されているが、APS-Cモデルにより、さらに小型・軽量化し、同時にお客様にとってよりお求めやすい価格にすることができる。
- EOS MとAPS-C EOS Rの2機種は、サイズ、使い勝手、操作性など、それぞれ異なる位置づけにあり、お客様により多くの選択肢を提供することを目的だ。
- 先ほども申し上げたが、Mシリーズはキヤノンのカメラ販売全体の約3割を占めており、非常に重要な商品だ。このためマーケティング的にはEOS Mシリーズの販売を継続するが、研究開発的には、EOS Rへシフトしている。
- 当社のEOS Mシリーズは、2012年にEF-Mマウントが登場して以来、非常に小型・軽量で高画質なため、中国市場のユーザーから非常に高い評価を得ている。EOS Mは非常にユニークな価値を持っている。
- 今後30年間の先進的なRFマウントをベースとして、マウント径が大きく、バックフォーカスが短く、非常に高度な高速通信システムを採用している。今回発売するEOS R7とEOS R10は、Rマウントの利点を小型軽量で、かつ非常に優れた機能・性能を、コンパクトさを損なわずに手に入れることができる。
- サプライチェーンには、3つの本質的な問題がある。港など利用できる物流インフラは限られており、この問題に対しキヤノンは全社を挙げてサプライチェーンの問題を解決しようとしている。例えば、以前は上海にメイン倉庫があったが、感染症が流行したため、すぐに北京と広州に臨時倉庫を設置し、物流や輸送のスムーズな流れを確保する対策を講じた。
メディア:若いユーザーに対して、キヤノンはマーケティング活動をどのように行っていくのか。 この製品は性能的にもパラメーター的にも一眼レフEOS 7Dのミラーレス版という感じだが、同時にパラメーター的にはEOS M6 Mark IIに近い。そういうユーザー層を製品のポジショニングでどう差別化すれば、より的確に購入方法や向いている機種がわかるか。
- 「若者」は確かに重要なテーマだが、若者に特化したカメラではないことも強調しておきたい。
- (訳注:青春の話が続くので割愛します)
- EOS 7Dは、2009年に発売された製品シリーズで、2014年にEOS 7D MarkIIを発売した。7Dシリーズは連写性能やフォーカス性能が非常に良いため、野生動物の写真家の多くに愛され、存在価値があった。
- それから8年後の2022年にキヤノンはEOS R7を発売したが、この8年間の製品の技術開発により、画素数が3250万に高画素化され、連写速度も当初の10コマ/秒から現在の30コマ/秒に向上し、ボディ手ブレ補正にも対応した。
- さらに、R7は小型・軽量化、利便性の向上を図るとともに、動画においても大幅な改良を加えている。
- 最新の製品、最新の技術、最新の性能で検討するのであれば、7Dシリーズとは異なる位置づけのEOS R7をお勧めする。
- M6 Mark IIとEOS R7はともに3250万画素だが、この2世代で採用されているプロセッサーは異なる。また、前述したように、ボディ内手ぶれ補正はRシリーズのミラーレスのみに搭載されている。また、フォーカス性能や動画性能も、EOS R7に明確なアドバンテージがある。
- Mのメリットは何か?
前述したように、非常に小型軽量化することができ、高画質を確保しながら携帯性に優れている。- 携帯性を非常に重視するならば、Mシリーズを検討することができ、EOS M6 Mark IIやEOS M50 Mark IIは非常に良い選択だと思う。
- 7Dシリーズ、Rシリーズ、Mシリーズの位置づけの違いであり、中国市場の異なるユーザー層のニーズに対応することができる。
とのこと。
EOS RとEOS Mは立ち位置が異なり、これまで通りMシリーズも販売を継続する模様。確かに売り上げの30%を占めるとなると、そう簡単に終わらせることは出来ないですね。ただし、研究開発はEOS Rへシフトしており、現行機から画期的なアップグレードはあまり期待はできないようです。「EOS Kiss M」から「EOS Kiss M2」へのアップグレード内容を考慮すると確かにそうかもしれません。APS-C EOS Rを併売しつつ、需要の推移をみながら徐々に終了となるのでしょうか。もしも、EOS Mシリーズの需要が維持されるのであれば、今後も新機種が期待できるかもしれませんね(飛躍的なアップグレードはないかもしれませんが)。
私も元EOS Mユーザーであり、家族写真などで携帯性の良さと使いやすいAF、バランスの良い画質で重宝していました。個人的にはEOS Kiss Mシリーズで被写体検出に対応して欲しかったところですが、EOS R10がその代わりとなるのかどうか確かめてみたいと思っています(EOS R10を予約しました!)。
RF-Sレンズロードマップについて言及はしていませんが、EOS Mシステムとの違いがレンズにあると言及しています。しかし、「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の光学系はEF-Mレンズの流用があるように見られ、光学設計のアドバンテージが焦点ではないように見えます。
RFマウントとボディの高度な情報通信技術が鍵となるのでしょうか?
それがボディとの協調手ぶれ補正として現れるのか、高度なレンズ補正として現れるのか、もしくはAF性能・操作性として現れるのか、今のところは分かりません。ただ、新設計でシンプルなレンズ構成の「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」を見る限り、より高度なソフトウェア補正がベースとなっているのかもしれませんね。
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