IMAGING RESOURCEが「事業譲渡」を発表後のオリンパスイメージングへ初めてのインタビュー記事を発信しています。製造拠点や研究開発のリソースなど、DPReviewよりも突っ込んだ質問が多いインタビューとなっていますね。
近い将来(2020年まで)の製品リリースはどのようなものになるのか?
まず明確にしておきたいのは、今回の譲渡を機にイメージング事業から撤退する予定はないということだ。今後も独自の価値を提供する高品質なカメラシステムの開発を進めていく。また、今回の事業譲渡で2020年の新製品投入計画を変更する予定はない。150-400mm PROの開発は順調に進んでいる、今後もエキサイティングなニュースに期待して欲しい。
2020年以降は、開発の初期段階にある他の製品の運命はどうなるのか?
今後もハイエンド市場に注力し、ミラーレスラインナップは、ミドル・ハイエンドのカメラ・レンズを強化ししていく。ラインアップを変更する戦略的な理由がない限り、機種数の削減は予定していない。
(「ハイエンド」という言葉は相対的なもので、より上位機種を重視するという意味であると明確にしてくれた。ミドルレンジからアッパーレンジのことを言及しており、E-M5 Mark IIIについて具体的に聞くと、E-M5 Mark IIIは将来の鍵を握るカテゴリーの一つだと述べている。製品開発が突然停止することはないだろう。)
JIP(日本産業パートナーズ)との関係性や「OM-D」と「ZUIKO」のブランドについて
今回の事業譲渡により、イメージング事業はオリンパスから分割され、完全に独立した会社となる。提携でも合弁でも無い。イメージング事業を分割して、よりコンパクトで筋肉質で機動的な組織体制を構築し、JIP(日本産業パートナーズ)の下で事業を展開していくことが、将来に向けた自律的で持続的な成長を実現することになると考えている。
JIPは事業や子会社を売却する企業を支援する「戦略的カーブアウト」の実績が豊富であり、独立した事業体として成長性を実現するために必要な投資を行うことができる。最適なパートナーであると考えている。
今回の事業譲渡は、オリンパスの技術、製品、サービス、そしてオリンパスブランドの遺産を維持するための正しいステップであると考えている。新しい環境でもお客様にご満足いただける製品を提供し続けることができると確信している。「OM-D」「PEN」「ZUIKO」といった当社のカメラブランド名は引き続き使用される。「オリンパス」のブランド名については、現在検討中だが、譲渡後すぐにやめる予定はない。
この譲渡の結果、オリンパスのキャッシュフローや資本回収がプラスになるのか?
詳細についてはお話できないが、新会社の株式はオリンパスからJIPに譲渡されることになる。オリンパスがグローバルな医療技術企業への変革を進める一方、イメージング事業部は、よりスリムで効率的かつ機動的な新体制で自立的な事業成長を目指していく。様々な角度から総合的に検討した結果、今回の譲渡は、両社にとって最適な判断であると考えている。
カメラとレンズの製造は非常に専門的である。今回の取引の一環として、工場を新会社に売却することができるのか。それともオリンパスはその工場内のスペースや設備を JIP にリースするのか、それとも JIP と契約して製造を請け負うのか?
現時点ではコメントできないが、生産に問題は無いのでご安心してほしい。これからも高品質で信頼性の高い製品を提供していく。
(これはかなり重要な問題で、新組織の長期的な健全性に大きな影響を与える可能性がある。要するに「誰かがどこで製品を製造しなければならないのか」ということだ。カメラレンズと医療用内視鏡の部品を生産するために2008年に建設されたオリンパスは、2018年から2019年にかけて、カメラの生産をすべて中国からそこに移管した。これにより、オリンパスの製造コストが大幅に削減されたのは、高度な技術を持った若くて安価なベトナム人労働力のおかげだという。、JIPが確立され効率的な工場を別の場所に移そうとする可能性は極めて低い。オリンパスが工場の一部をJIPに売却できるとは思えないので、スペースと設備をJIPに貸すか、JIPのために生産を継続するかのどちらかではないか。どのような条件であれ、新会社の収益性を左右する重要な要素であることは明らかである。)
イメージング部門がオリンパスの医療・工業製品の技術を先導していたことを常に強調してきた。オリンパスの研究開発リソースが、オリンパス株式会社とJIPの間でどのように再編・配分されるのか?
これまで説明してきたように、イメージング事業部は会社全体のテクノロジーを先導する役割を担ってきた。今回の事業譲渡により、イメージング事業部は分離することになるが、これまで培ってきた経営管理プロセスに関わる技術やノウハウは医療事業部に移管される。
イメージング事業部では、現在、写真業界やその他の分野で、他社からの受託製造をどの程度行っているのか?
残念ながら、受託製造に関する情報は公開できない。
大幅な経費削減をしなければならないことは明らかだ。イメージング事業部ができなかった経費削減を、新会社がどうやって黒字化するのか?
オリンパスは、メディカル、サイエンティフィック・ソリューションズ、イメージングの3つのセグメントで事業を展開しているが、戦略的なリソースはメディカルに集中している。そのため、イメージング部門に十分なリソースを割くことができなかった。
イメージング部門の自律的かつ持続的な成長と黒字化を実現するために、自給自足を可能にする、より抜本的な収益構造改革が必要だ。また、よりスリムで効率的、機動的な組織構造への転換を急がなければならない。
現時点では黒字化プランの詳細を公表することはできないが、JIPの支援を得て、イメージング事業の成長を実現し、お客様や働く従業員に価値を提供し続けるための最良のステップと考えている。
OM-D、レンズ、PEN、TOUGH は、全体の収益性にどの程度プラスの影響を与えているのか、マイナスの影響を与えているのか。また、どの製品ラインが廃止される可能性があるか?
商品ラインによって収益性に違いはある。しかし、モデルごとに役割が異なり、短期的な販売利益を上げるだけではなく、ユーザー層を拡大して中長期的にブランドに貢献することも含まれている。今後も総合的に判断した上、商品ラインの検討を進めていきたいと思う。
生産中止になった製品ラインが第三者にライセンスされる可能性はあるのか?
拘束力のないMOU(Memorandum of Understanding)に合意したばかりなので、現時点では詳細はコメントできません。
(今はコストがかかっていても、長期的にはユーザー数の増加が重要という事だ。要するに、PENやE-M10シリーズのような製品がなくなるのは必然では無いという事である)
既存製品の継続的なサービスや修理を提供するために、どのような計画がありますか?
譲渡による修理サービスへの影響は想定していない。すべてのオリンパスユーザーは、継続、安心してオリンパス製品を使用することが可能だ。
オリンパスのカメラとレンズのシステムは世界的にどうなっていくのか?(地域によって撤退するのか?)
今後も国際市場での販売やサービス提供を予定している。
オリンパスイメージング事業部の売却は、マイクロフォーサーズ全体にどのような影響を与えるのか?
今回の移管は、マイクロフォーサーズ規格に影響しない。今後も他のサポートメーカーと協力してMFT規格の普及に努めていきたいと考えている。
(Yongnuo、Mediaedge、Venus Opticsが加わっている。特にBlackmagicがシネ側に参加していることから、このプラットフォームは将来的にも継続していく可能性が高いと思われる。)
JIPとの提携はどのような点で検討されたのか?
デジタルカメラ市場は、スマートフォンやタブレット端末の進化により急速に市場が縮小しており、レンズ交換式ミラーレスカメラの分野では競争が激化している。
当社は、このようなデジタルカメラ市場の市場環境に対応するため、生産拠点の再編による収益構造の改革、重点市場の選択、収益性の高いレンズ交換レンズの強化など、売上が縮小しても持続的に収益を上げられる事業構造の構築に取り組んできた。しかし、厳しい経営環境の中で、結果として利益の改善が出来なかった。
イメージング事業部の自立的な事業成長のため、より無駄のない、効率的で機動的な組織体制への転換を図るため、イメージング事業部を分社化することが最適な判断であったと考えている。
オリンパスユーザーがシステムを引き留めるため、市場に何を伝えることができるか?
このイメージング事業を継続していくことを、市場やお客様にはっきりとお伝えしたいと思う。新製品を開発し、市場に送り出し、修理サービスも通常通り実施する。新製品の計画に変更はなく、計画通りに新製品を投入していく。
今月初めに、お客様への継続的なコミットメントとして、レンズロードマップを更新し公開した。150-400mm PROレンズと、鳥認識AFを搭載したE-M1Xの新ファームウェアを予定通り開発している。
そして、小型軽量という独自性に加え、強力なボディ内手ぶれ補正や高解像レンズ、優れた防塵・防滴性能など、競合他社が簡単に追随できない技術を多数保有している。
譲渡後もOM-D/PENシステムならではの価値を継続的に伝えていけるように努力していくので、お客様には安心してお付き合いいただきたいと思っている。
エディターコメント
- しばらくの間、投入できる製品がある
- 2020年の製品リリースに向けた他の計画はすべて軌道に乗っている
- オリンパスは他のどのカメラメーカーよりも明確に定義された市場のニッチを持っている。オリンパスが販売しているものを求める人にとって、それに匹敵するものは他にはない。
- 個人的にはオリンパスの製品ラインの背後には非常に強力な価値があり、長期的にはよりスリムで無駄のない組織を支えることができると信じている。
- カメラとレンズが提示する価値提案をいかに効果的に説明し、いかにして新しい人々をこのプラットフォームに引き込み続けるかということが重要だ。
とのこと。
DPReviewより、オリンパス映像事業の今後について突っ込んだ質問が多いインタビューとなっています。多くは明確な回答を避けていますが、直近での新製品に関する投入計画に変更は無い模様。
個人的に「工場の問題」「研究開発のリソース」が気になるところだったのですが、現時点でハッキリとしたことは述べていません。カメラ・レンズの「開発設計」まで委託となるのか、「製造」はなんらかの形でこれまで通りのベトナム工場となるのか、色々と気になります。
どちらにせよ、ここ数年のロードマップに大きな変更は無いようですね。ロードマップ上の「8-25mm F4」「望遠マクロ PRO」が追加されれば個人的にはバッチリなので、それまでは何とか耐えて欲しい。
カメラの強力な手ぶれ補正や「ライブND」と言った便利機能は今のところオリンパスが強烈な存在感を示しています。将来的に、フルサイズやAPS-Cの競合メーカーも同等の機能を実装するのかもしれません。しかし、今のところオリンパスに取って代わるほどのメーカーは無いと感じています。
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