IMAGING RESOURCEがCP+2023におけるOMデジタルのインタビュー記事を公開。新製品のOM-5に関して、エントリーモデルの今後、E-M1X後継モデル、AI・コンピューショナルフォトについて。
市場環境
- CIPAによると、ミラーレスを含むレンズ交換式カメラの出荷台数は、昨年は前年を10%以上上回っており、当社も昨年はそれを上回る数字。
- 2023年は2022年と同じ水準になると予想。ただし、第3四半期(2022年10月~12月)を通して、経済のインフレなどとともに、一部地域での市場の落ち込みに懸念。
- OM-1の販売が計画通り順調に推移していることが、好調の主な要因。
- 欧州の売上は、上期に比べやや低調。
- 米国は計画通りに推移しているが、市場規模を考えると、もっと伸びてほしい。アメリカも中国も非常に大きな市場なので、シェアを高めていきたい。
OM-1の需給
- 一時期、部品供給の問題があったが、今は解決している。
昨年の今頃に登場したOM-1が好調の主な利用とのこと。マイクロフォーサーズとしては高価な機種ですが、初の積層型CMOSセンサーを搭載した4/3カメラと言うこともあり人気を博しているのでしょうか。ちなみに私もE-M1 Mark IIIから乗り換えています。
OM-5のボディ、センサー、プロセッサーに関するいくつかの詳細について
- OM-5のコンセプトは、小型・軽量のOM SYSTEMボディに独自の機能を搭載し、写真を趣味とする冒険家の方々に、より楽しんでいただける撮影体験を提供すること。
- このターゲットユーザーに付加価値を提供するために、TruePic IXを搭載し、機能性を高めている。
- 新しいプロセッサーが主な改善点だ。
- センサーは同じだが、E-M1 Mark IIIで行ったチューニングをもとに、OM-1の画像処理要素で適用可能なものを追加。解像度は向上しているはずだ。
E-M1 Mark IIIの後継モデルは?
- 実はOM-1はE-M1 Mark IIIの後継機だ。
今後、より高解像のモデルは?
- 高画素化を止めたわけではない。撮影シーンや撮影できるものを広げるとともに、失敗を減らすことを優先し、その上で画質を高めている。
外観はE-M5 III、中身はE-M1 IIIの新製品「OM-5」は主にプロセッサの更新が大きな要素となっている模様。センサーは従来通りですが、OM-1の画像処理の一部が適用されているのでJPEGには改善が見られるかもしれません。元E-M5 Mark III、現OM-1ユーザーとしてJPEGの改善点は少し気になっています。(OM-1のJPEGは特に高ISO感度で大幅に改善)
PENシリーズ(とE-M10)の状況は?
- E-P5の製造は終了しているが、E-PL10とE-P7はまだ販売している。
- E-P7はまだ製造している。
- PENシリーズのデザインについては、我々は需要はあると考えている。
- しかし、市場全体の流れの中で「エントリーモデル」の需要は大きく下がっている。
- (E-M10系もエントリーモデルとして消えてゆく流れなのか?という問いに対して)
現在の市場の状況を考えるとエントリーモデルは必要だ。しかし多くのユーザーは、日常的にスマートフォンを使っている。では、そこからのアップグレードが必要な点は何なのか?エントリーレベルのカメラとは何のか?昔とは異なっている。
インタビューを見る限り「低価格のエントリーモデルとしては出せないけど、PENデザインの需要がある」=「中~高価格帯のPENシリーズ」を期待してしまうのですが真相やいかに。個人的にPEN-Fの後継モデルが登場するのであれば多少高価でも飛びつきたいところ。最近は「ファッションとしてカメラ」も需要があり、富士フイルム「X100V」などは増産しても需要に追いついていない状況となっています。(中古相場が新品の倍くらいする程に足りてない)
E-M1Xの後継機はあるのか?
- E-M1Xは、縦位置でも横位置でも操作性が変わらないように設計。単純にグリップが大きくなるように設計されたボディではない。
- このようなボディを望むユーザーもいることは承知しており、可能性のある検討は続けている。
- 日本での需要は非常に限られている。日本人は非常にコンパクトなボディやカメラシステムが好みだ。アメリカの人たちは、もっと素敵な大きなカメラを好む傾向がある。
- 実はヨーロッパが一番大きな市場。とても小さなカメラが好きな人もいれば、大きなカメラが好きな人もいる。
- バッテリーグリップを装着することで解決できる問題もある。
個人的にはありそうで実現しないモデルなのかなと予想。現状でE-M1Xの新品在庫が10万円ちょっとで売れ残っていることを考えると厳しいのかなと(特に日本では)。とは言え、OM-1の高速連写はSD UHS-IIがボトルネックとなっている印象が強いので、CFexpressを導入したハイエンドモデルの投入には期待しています。(連写後のバッファクリアに時間がかかっている)
60mmマクロと新しい90mm F3.5マクロについて
- 60mmマクロもPROレンズと呼ばれるほど優れた解像度。
- 解像感という点では、90mmは60mmに対して高周波の優位性があるが、その違いを認識できる人は少ない。
極端なマクロ撮影では、なぜ開放F値が小さくなるのか?
- 焦点距離のF値は、無限遠での値だ。画角も同じである。
- 有効F値の変化については、マクロレンズに限らず、ほとんどのレンズが撮影距離によって変化する。近い方が顕著なので、マクロレンズの方が変動が大きく気づきやすい。
両レンズのユーザーとして、解像性能にこれと言った優位性は無いように見えます。あえて言えば外装の作りはPROのほうが当然ながら良好。ただ、画角や携帯性から普段使いは60mmのほうがおススメ。価格が倍以上の90mmを無理に薦めることはありません。90mmマクロは等倍以上のマクロで実効F値が非常に大きくなるので、手振れ補正や高ISO感度耐性が重要となってくる点にも注意が必要です。状況によっては三脚や被写体を固定する手段が必須。
コンピュテーショナルフォトグラフィーの未来
- 我々が力を入れている重要なテーマ。
- カメラにとって重要なポイントは、「撮影のアシスタント」であり、さらに上級者にとっては「撮影の成功率」につながる機能だ。主にスマートフォンのコンピュテーショナルフォトグラフィとは異なる点である。
- 多くの可能性があると思う。難しいのは、どのレベルをカメラに適用するかを決めることだ。
- 多くのユーザーは非常に自然なルックを好み、そのためには人工的なエフェクトを求めない。しかし、スマートフォンのユーザーは、スマホにすべてを任せることに慣れていて、それを期待している。どの程度のAIを適用するか、そこが難しい。
TruePic Xに搭載されている専用のニューラルネットハードウェアは、AIの画像補正にも使えるのか?
- 可能性はある。できれば早く、このような光景が見られるようになると思う。
- ニューラルネットのハードウェアを、撮影前の被写体認識と撮影後の画像補正とで切り替えられるようなプロセッサーのアーキテクチャになっているかどうかは不明だが、もしなっていなかったら驚きだ。
- 被写体認識と画像補正の違いは、純粋にアルゴリズム的なもので、つまりファームウェアのプログラミングの問題だ。
- カメラメーカーが実装を始めるには1~2年かかるかもしれないが、5年後のカメラでは、今のスマートフォンのような画像補整の処理が多く行われているかもしれない。
撮影後にAIによる画質改善は?
- OM Workspaceソフトウェアに同様の機能がある。
- OM WorkspaceのAIノイズリダクションは、機種ごとのセンサー特性から学習したデータをもとに、撮影画像ごとに最適なノイズコントロールを行うことができる。
今のところは被写体検出AFのみに活かされているものの、将来的にソニーαのように露出やホワイトバランス、動画撮影などに活かされていくのかもしれませんね。OM-1のノイズリダクション(JPEG)はかなり効果的と感じており、これまでは画質として不十分だったISO 3200-6400が十分に実用的となっています。このパフォーマンスが下位モデルやPENシリーズに導入されることを期待。
前述しましたが、個人的には中身がOM-1のPEN-F後継モデルであれば20万円超でも突撃したいと考えています。
参考:購入早見表
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