Xitekがニコン「Z fc」の開発者インタビューを公開。Z fcのターゲット層・開発コンセプト・Vlog・フィルムライク機能・レトロライクなレンズの追加などについて質問に答えています。
数日前にニコンチャイナのゼネラルマネージャーとZ fc開発者と共に製品開発のコンセプトについて説明してもらった。
- Z fcはレトロデザインのAPS-Cミラーレスだ。外装はクラシックなニコンの外観を継承すると同時に、高度な写真技術を統合している。「Z fc」の「Z」はZシリーズのカメラであることを示し、「f」は精密機器と最先端の光学技術の”融合”を示すと共に、フィルムカメラの「F」でもある。
- そして「c」は”カジュアル”を意味し、若さと活力に満ちた新製品を通して、より多くの若者にニコンを知ってもらい、人生の素晴らしい瞬間をニコンZ fcで記録してもらいたいと願っている。
- タイのニコン支社はこれまで製造のみを担っていたが、今回はタイの開発者も参加して開発と製造を両立、効率を大幅に向上させている。
- クラシックカメラの「FM2」を意識して設計されており、FM2のデザインエッセンスと高度なノウハウがZ fcの開発に組み込まれている。これにより優れた操作感を得られる。
将来的にファームウェアアップデートでクリエイティブピクチャーコントロールの数を増やす予定はあるか?
- Z fcには20種類のクリエイティブピクチャーコントロールを搭載している。今後、ファームウェアアップデートなどでモードを追加するかどうかは市場のフィードバックを踏まえながら検討する。
手ぶれ補正はあるか?
- Z fcはボディの小型軽量化を優先している。ボディ内手ぶれ補正はカメラの構造に影響を与えるので今回は搭載していない。しかし、VRに対応するレンズを組み合わせることで手ぶれ補正は利用可能だ。
- また、カメラはISO51200までの高感度に対応しており、シャッタースピードを落とすことなく低照度での撮影が可能だ。
将来的にレトロスタイルのフルサイズミラーレスをリリースする予定はあるか?
- 個人的には切望しているが、市場の需要次第だ。需要があれば、ニコンは間違いなくコンシューマーを満足させるために研究・開発するだろう。
将来的にVlog向けのカメラグリップをリリースするか?
- 確かに市場にはそのような需要がある。フィードバックに基づき、将来のアクセサリーについて検討する。
ニコンZ初のバリアングルモニタについて
- コンシューマーのセルフィーに対するニーズに応えるため、バリアングルモニタを採用した。
今後もレトロカメラを投入するか?
- 今後も市場の需要に応じてレトロカメラを導入するか検討する。
28mm F2.8と40mm F2が開発発表されている。40mm F2のSEバージョンはあるのか?
- 市場のフィードバックに基づいて検討する。
28mm F2.8 SEの別売りは?
- 2021年9月下旬に単品での販売を開始する予定だ。
28mm F2.8 SEと通常モデルの光学設計は全く同じか?
- 外観の変更だけであり、光学設計は同じだ。
Z 50と同じAPS-Cセンサーを採用した理由は?
- ボディの小型化と価格帯を考慮し、Z 50のレスポンスがとても良かった。そこで今回は同じセンサーの使用に至った。
このカメラのコンセプトについて
- Z fcのデザインは、FM2とターゲット層が似ていることから、Nikon FM2にインスパイアされている。 1982年に誕生したFM2は、そのパワーと堅牢性から多くのハードコアユーザーのスタンダートモデルとなり、一方でそのシンプルさと使いやすさから、ビギナーからも多くの評価を得た。
- 今回の新製品「Z fc」の登場により、古くからのユーザーにはバックアップカメラとして、新しいユーザーにはスターターカメラとして使ってもらい、写真の楽しさを知ってもらうという、同じ結果を目指している。
- 外観上はFM2の構造・デザインを踏襲しつつ、全体のサイズやプロポーションをミラーレスカメラの性能に合わせて調整し、改良を加えている。
- プロポーションやサイズ、色や素材に至るまで、レトロな雰囲気が漂い、全体のデザイン性を高めている
- ディテール面では、直線的なラインで全体的に硬い印象を与えているが「FM2」の仕上げの痕跡を模して、あえて角に丸みを持たせている。ボディ上部のダイヤルは、FM2のデザインエッセンスを抽出し、洗練したアルミニウムで造形されており、撮影時の操作感をさらに最適化している。
- Z fcのボディは、塗装時の粒子の大きさや塗装工程をコントロールすることで、シルバー部分には金属感を、ブラック部分にはヴィンテージ感のある光沢感を表現している。
- 交換可能な6色のカラーレザーが用意されており、通常のカラーリングに加えて、ミントグリーンやコーラルピンクなどの特別色も用意している。 凹凸のある質感と彩度の低い色調は、写真家、特に若い女性が好きなように選ぶことができ、落ち着いた上品な風合いを醸し出している。
FM2のターゲットユーザーが重なっていることを考えると、Z fcにフィルムライク機能を追加することを検討しているのか?
ニコンZシリーズのカメラには、現在その機能は搭載されていない。しかし、コンシューマーの要望を認識しており、検討している。
シャッター音はこのカメラのために特別に調整されているのか?
Z 50と同じDX専用シャッターを使用しているが、他のZシリーズのシャッターよりも小さいので、シャッター音に違いがある。
NIKKOR Z 28mm f/2.8 (SE)に絞りリングがないのはなぜか?
Z 28mm F2.8 (SE)は、操作性を考慮して通常版と同じデザインとなっている。レンズに制御可能な絞りリングはなく、FM2と全く同じではない。しかし、レンズにはレトロな刻印を施し、滑り止め効果を持たせている。クラシックなFM2のデザインを踏襲している。
Z fcにはレリーズケーブル用のソケットが無い
- 商品企画の観点から、若い世代にアピールしたいという思いと、複雑な機能やデザインを避けたいという思いから、あえてシャッターケーブルを搭載しなかった。
- メカニズムの観点では、ケーブルソケットを搭載するためには専用のスイッチが必要となり、カメラ本体に専用のスペースが必要となる。カメラの軽量化・小型化のために、スイッチを電子化して可能な限りの省スペース化を図った。
今後、ニコンはより多くのレトロなレンズを開発するのか?
レトロシリーズの開発については、可能性は十分にあり、市場からのフィードバックに基づいて計画してゆく。
とのこと。
Z fcの売れ行き次第ではシリーズ化や同コンセプトのレンズも追加で投入となりそうですね。出だしは好調であり、既に多くのバックオーダーを抱えている状態を考慮すると期待できるかもしれません。世界的なサプライチェーンの混乱が惜しいですねえ。特にZ fcと組み合わせやすいレンズは間違いなく不足しているので、この需要をサードパーティに攫われる前になんとかして欲しいところ。
ターゲット層はプロモーション動画などから分かるように若年層のエントリーユーザーであり、さらにベテラン向けのバックアップ用カメラとしても意識している模様。クラシカルな外観ながら、バリアングルモニタの導入やレリーズケーブルソケットが無い点などはこれで合点がいきますね。
そう考えるとニコンが「28mmレンズキット」を発売延期して、「ボディ・16-50キット」を優先して販売するのも理解できます。
個人的に期待しているのはクリエイティブピクチャーコントロールのバリエーション強化。富士フイルムのフィルムシュミレーションのように実用的で面白い仕上がり設定が増えると良いですねえ。
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