DPReviewがパナソニックの映像事業部長へのインタビュー記事を掲載しています。
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妥協なきプロ向けカメラの開発
インタビュー内容が多いため、ざっと気になるところをまとめると…
- LUMIX Sシリーズはプロフェッショナルをターゲットとして誕生している。
- プロフェッショナルのための妥協なきカメラ開発。
- 機能性に妥協したくなかったのでカメラサイズが大きくなった。
- LUMIXアンバサダーのフィードバックではカメラサイズは決して大きく無く、むしろ丁度いいサイズである。
- 業界最高の耐久性を目指したカメラボディだ。
- 第一世代はプロフェッショナル特化だが、将来的にエントリー層も考えている。
- フルサイズとマイクロフォーサーズのラインアップでバランスが取れているのでAPS-Cを開発する予定は無い。
- フルサイズ用レンズは4700万画素以上のセンサーにも対応できるように高い目標を設定している。
- 将来的にGH5Sのような動画特化モデルが登場する可能性もある。しかし、S1ですら優秀な動画機だ。
- S1とS1Rのセンサーに関して開示は出来ない。センサーが外部委託だったとしても製造は我々の仕様書通りだ。
- レンズは自社設計だが、ライカのDNAは組み込まれている。
- キヤノンやニコンにシェアで劣っているが、フルサイズミラーレスは良い機会だと考えている。
- オリンピック後に新世代の8Kビデオカメラを登場させる。
プロフェッショナルをターゲットとしているだけにお値段が気になるところですね。ボディはまあ想像できるとして、F4ズームの価格設定がどうなのか戦々恐々。せめて15万円以下に設定されていると買いやすいのですけども…。
インタビュワーに対してハッキリと回答している中、イメージセンサーに関してだけは言葉を濁していますね。会話の内容から察するとパナソニック設計で製造を外部委託と言ったところでしょうか。ソニーなのか、タワージャズなのか、それとも?
レンズは自社製でライカブランドでは無い模様。マイクロフォーサーズは今もライカブランドのレンズが開発中ですが、フルサイズは全て自社製となるのか気になるところですね。
APS-Cシステムは開発予定が無いそうな。まあ、マイクロフォーサーズあるし、そりゃあそうですよね。パナソニックには是非ともマイクロフォーサーズを続けて欲しいものです。
- Q:なぜフルサイズに着手したのか?
- A:5年前にフルサイズミラーレスが市場に登場し、その後はその傾向が強まってきた。当時は我々の準備が整っていなかった(技術・サポート・サービスなどの面から)。しかし今、我々がフルサイズに参入するテクノロジーの用意が出来た。ご存知の通り、カメラ事業に参入して以来いくつかの世界初技術を導入してきた。我々はフルサイズの新しい挑戦者として市場に価値を提供できると信じている。
- Q:Sは「スペシャル」を表しているそうだが、このカメラは何の「スペシャル」なのか?
- A:プロフェッショナルのための「スペシャル」だ。彼らがターゲットの中核だが、ハイエンドなアマチュアやマニアもまたターゲットの一部である。
- Q:プロフェッショナルを引き付けるための戦略は?
- A:
・全てを妥協しないこと。画質・ビルドクオリティ・操作性、そしてパフォーマンス。画質は新開発の4700万画素・2400万画素、新しい画像処理エンジン、新開発のレンズを用意している。
・そして4K 60p動画、高速でとても正確なオートフォーカス(DFD技術と高速コントラストAFの組み合わせ)だ。オートフォーカスにはディープラーニングされたAIも含まれる。
・加えてDual.I.Sと高精度で高速なシャッターを備えている。ファインダーは業界で最も高精度なものだ。
・そしてデュアルカードスロット、SD/XQD、3軸チルトに妥協しない操作性を用意している。例えば、カメラグリップはプロフォトグラファーのニーズに合わせてデザイナーが多くのプロトタイプで試行錯誤している。直感的な操作に最適なボタンレイアウトにも気を配っている。- Q:S1とS1Rのボディサイズが大きいのは技術的な理由があるのか?
- A:
・デュアルカードスロットやボディ内手振れ補正、そして高品質な動画機能のためボディサイズは大きくなってしまった。
・ボディサイズにより機能の妥協はしなたくなった。ミラーレスは小型であるべきと考える人もいるだろうが、プロの道具としてはこのサイズが適切だと考えている。
・我々はLUMIXアンバサダーとこのカメラを作り上げた。我々は彼らから多くのフィードバックを得ており、そして彼らはこのカメラが大きいとは感じていない。とても適切なサイズであると感じている。
・プロフェッショナルの話を聞くと、サイズよりパフォーマンスを重視している。例えばシャッターは競合カメラが20万回の動作保証をしているが、我々はもっと数多くテストしている。- Q:S1・S1Rが市場で最も耐久性のあるカメラは意図したことか?
- A:
・Yes。我々は業界で最高水準の耐久性を目指している。S1・S1Rは完璧に密閉され、防塵性・防滴性が高く、非常に低温度でも動作する。
・これは実際に-40℃の南極へ行き、そして完全に動作したGH5の限界を超えている。このような妥協の無い機能性がS1・S1Rに詰め込まれている。
・風景・スポーツ・自然など多くのフォトグラファーがいる。そして全ての人たちからのフィードバックを集めている。カメラはとても暑い環境からとても寒い環境まであらゆる条件で動作する必要がある。だから我々は妥協することなくこのカメラを開発した。- Q:後々Lマウントのエントリークラスの製品は登場するか?それとも純粋なハイエンドシステムなのか?
- A:第一世代はプロフェッショナルに特化したものとなるだろう。将来的にはもちろん初心者レベルのユーザーを引き付けることを目指している。しかし、プロフェッショナルユーザーの我々へのイメージはとても重要だ。だからこそ、このセグメントに挑戦しているのだ。
- Q:パナソニックのLマウントアライアンスの戦略的価値とは?
- A:
・我々は17年間と長い間ライカと良好な関係を築いてきた。そして4年前に契約を更新しており、その中ではデジタルと光学の技術協力が含まれている。
・シグマはとても信頼性のあるハイクオリティなレンズを製造している。新しいビジネスに参入するためにはレンズラインアップが必要だ。シグマの山木社長とは良好な関係であり、彼を信頼し、彼の市場に対する積極性を尊重している。このコラボレーションは我々に大きな価値をもたらし、フルサイズ市場の競争力を高めるだろう。
・顧客にとっての価値を考えた時、我々が独自マウントを作るよりも協調した方がよいと判断した。そして既にシグマは大きなファン層を持ち、ライカも100年の歴史の中で優れたユーザー層が存在する。- Q:ライカLマウントにはAPS-Cとフルサイズが存在する。パナソニックはAPS-Cに興味があるのか?
- A:No。我々は独自のマイクロフォーサーズシステムがあり、フルサイズとマイクロフォーサーズが最良のバランスであると思っている。APS-Cを開発する予定は無い。
- Q:フルサイズ用レンズの設計はマイクロフォーサーズよりも簡単か難しいか?
- A:より難しい。マイクロフォーサーズの場合はコンパクトさを優先していたが、フルサイズはプロフェッショナルな仕様を満たすためにより高い目標を設定した。現在はS1Rの4700万画素だが、将来的にはそれ以上の解像性能を発揮するはずだ。このため、我々はフルサイズ用レンズにとても高い目標を設定し、妥協することなくレンズを開発する。他の重要な要素はビルドクオリティとボケクオリティだ。
- Q:将来的にLマウントでGH5Sのような動画に特化した製品を開発するのか?
- A:我々の資産には40年以上培ってきたプロビデオの経験がある。これは当社が市場に貢献している分野の一つであり、将来的にLマウントでそのような製品は登場する可能性がある。しかし、S1も優れた動画機能を備えている。4K 60p対応以上の正確な仕様を開示することは出来ないが、もっと期待しても良い。S1でさえプロビデオグラファーに使われることだろう。
- Q:S1とS1Rのセンサーは新開発と表記されている。これはパナソニック製なのか?
- A:それを開示することは出来ない。我々は言いたいのだが、それが出来ない。しかし想像してほしい。我々はセンサー製造の経験がある。センサー製造を外部委託したとしても設計は我々の仕様書通りだ。画質はセンサーだけでは決まらない、レンズ設計・加工技術も含まれている。
- Q:レンズ設計の観点でパナソニックとライカはどのように連携しているのか?
- A:主に光学技術と製造技術はライカからのものだ。我々はデジタル技術とインターフェースの技術を提供している。フルサイズレンズは自社設計だが、当然ながらライカのDNAは組み込まれている。
- Q:ライカ製品にパナソニックのDNAは組み込まれているのか?
- A:彼らがそれを認めるかは分からないが、我々はそれを提供している。マイクロフォーサーズのライカブランドレンズはライカ規格に則りチェックされている。そのプロセスを通じて多くのことを学んだ。
- Q:パナソニックが直面している最大の課題は?
- A:
・ご存知のようにキヤノンやニコンのように大きなシェアが無い。彼らは我々と比べて長い歴史を持っており、我々は僅か17年だ。当社のブランドもそれほど認知されていない。
・しかし今、パラダイムシフトが起きている。キヤノンとニコンは新ミラーレスシステムを開発し、我々はLマウントアライアンスで市場に参入した。これはカメラ業界にとって新しい始まりだ。
・我々のスローガンは「写真を変えること」であり、デジタル世代のための新しい写真文化を作ることだ。フルサイズの世界はそれに貢献できると思わっている。キヤノンやニコンと競合するのではなく、そのメッセージをお客様に伝えることに注力している。
・ロードマップは将来的に顧客がどのように推移するのか予測する必要がある。S1とS1Rはプロに焦点を当てており、プロの写真と動画がどのように変わるのかを予測しなければならない。我々は常に動向を観察し、変化を予測している。プロが変わればミドルクラスの顧客も変化するだろう。注意深く見守り、常に変化する動向に沿ってロードマップを練っている。- Q:パナソニックにとって最大のチャンスは?
- A:2020年のオリンピックはパナソニックの技術をアピールする大きな機会となるだろう。我々の動画技術と写真技術を向上させる機会として2020年のイベントを利用する。オリンピックの後に、我々は現在開発中の新世代8Kビデオカメラを作る。
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