2021年10月14日付けでリコーの気になる特許出願が公開。手ぶれ補正搭載の一眼レフ用「70-300mm F4.5-5.6」「100-400mm F4.5-5.6」やミラーレス用「100-300mm F2.8-4」などの実施例を含んでいます。(補足:今回の趣旨は「PENTAXがミラーレス市場に参入する」ということではありません)
概要
- 【公開番号】特開2021-165829(P2021-165829A)
- 【公開日】2021年10月14日
- 【発明の名称】ズームレンズ、レンズ鏡筒及び撮像装置
- 【出願日】2021年2月12日
- 【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー- 【課題】撮影距離の変化に伴う収差変動を抑制することができるズームレンズ、レンズ鏡筒及び撮像装置を提供する。
実施例1
- 焦点距離:72.08-291.32
- F値:4.6-5.7
- 半画角:17.2-4.2
- 像高:21.64
- 全長:190.18-259.23
- バックフォーカス:42.56-66.55
フルサイズ一眼レフ用の望遠ズームレンズとしてはオーソドックスな「70-300mm F4.5-5.6」となりそうな実施例。PENTAX Kマウントのフルサイズシステムにはまだ存在しないレンズであり、このような使いやすい望遠ズームを待っている人は多いはず。特に望遠レンズは一眼レフのボディ内手ぶれ補正とは相性が悪い(ファインダーで補正効果が得られない)ので、レンズ側に光学手ぶれ補正を搭載した望遠レンズは貴重な存在。この実施例は以前に公開されている特許出願のものとよく似ています。
実施例3
- 焦点距離:103.00-388.00
- F値:4.6-5.7
- 半画角:11.7-3.1
- 像高:21.64
- 全長:234.40-340.41
- バックフォーカス:55.31
これもオーソドックスな「100-400mm F4.5-5.6」となりそうな特許出願。これは以前の特許とよく似ている実施例があるものの、少し違う。フォーカシングにはフローティング構造を採用しており、応答性の高いAFが期待できそう。
実施例4
- 焦点距離:72.10-388.00
- F値:4.1-5.8
- 半画角:17.4-3.3
- 像高:21.64
- 全長:198.41-285.17
- バックフォーカス:8.34-32.23
基本的には実施例3と同じく400mmをカバーする超望遠ズームレンズ。しかし、広角側が70mmまで拡張し、開放F値が4.1と少し明るい。ただし、バックフォーカスが明らかに短く、一眼レフ用でないのは明らか。ミラーレス用としてもバックフォーカスが短く過ぎるので実用的には見えない。
実施例6
- 焦点距離:154.50-582.00
- F値:5.3-6.5
- 半画角:7.8-2.1
- 像高:21.64
- 全長:302.82-411.23
- バックフォーカス:50.52-84.97
これも前回の特許出願でよく似た実施例あり。このような超望遠ズームも現行のPENTAX Kマウントには存在しないので、将来的に登場すると良いですねえ。あとはKマウントユーザーでこのレンズを必要としている人がどれほど残っているか…。
実施例7
- 焦点距離:103.00-292.00
- F値:2.9-4.1
- 半画角:11.9-4.1
- 像高:21.64
- 全長:259.72
- バックフォーカス:18.00
今回最も気になったのが最後の実施例。焦点距離は100mmから300mmまでの光学3倍ズームで、開放F値はF2.8-4と比較的明るい。バックフォーカスは18mmと短く、明らかにミラーレス向けの設計。当然ながらPENTAX Kマウント用ではない。そして、ここ最近登場したミラーレス用レンズで、このようなパラメータのレンズは一つだけ。真っ先に連想したのはライカLマウントの「APO-VARIO-ELMARIT-SL 90-280mm f/2.8-4」で、レンズ構成は以下の通り。
似ていると言えば似ているし、似ていないと言えば似ていない。少なくともレンズ構成には部分的に違いがあり、防振ユニット・フォーカスレンズとして使用する部分はかなり似ている。この類似性だけで「リコー製」と言い切るのは時期尚早。100-300mm F2.8-4を設計しようとすると、こんな感じになるのかもしれない。
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