LenstipがTokina「atx-m 33mm F1.4」のレビューを公開。10枚構成の標準レンズながら、結果は古いダブルガウスのようだと指摘。トキナーの名声を地に落とすと酷評しています。
Lenstip:Tokina ATX-M 33 mm f/1.4 X
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- レンズマウントは金属製だ。
- 後玉は固定されて動かない。
- フィルター径は52mmだ。
- 外装は金属製である。
- 9群10枚のレンズ構成には1枚のSDガラスを使用している。
携帯性:
- 標準 F1.4レンズとしては一般的なサイズと重量だ。
操作性:
- 1cm未満の絞りリングは滑らかに回転する。
- 36mm幅のフォーカスリングは電子制御式だ。ストロークは約300度あるので快適なMFが可能である。
フォーカス:
- X-T30との組み合わせでピント全域を0.5秒で移動する。
- 我々の見解として精度がかなり低い。X-T30との組み合わせで良好な光環境でも20%でミスショットが発生した。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- X-T2のRAWを測定している。
- 良像の基準値は44-45lpmmだ。
- 最高の解像度は今のところ85lpmm以上を記録している。
- 中央は絞り開放で42lpmmとなり基準値を少し下回っている。絞ると急速に改善し、F2で60lpmmを超え、F2.8で76lpmmに達する。F4までに80lpmmを超えるとても良好な結果だ。
- 中央の結果は古いダブルガウスで典型的な傾向である。6~7枚の古い設計ならば理解できるが、絞り開放は10枚もレンズを使用した最新レンズの解像度ではない。
- フレーム端は古い設計のレンズのようだ。F1.4のみならず、F2でもシャープネスが基準値を下回る。F2.85まで絞ることで基準値に達する。ピークの性能も50lpmmを僅かに超える程度だ。
- XF33mmF1.4と比べると、F2.8~F5.6の性能差は僅かだが、絞り開放付近は富士フイルムのほうが明らかに良好だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 玉ボケの描写は均質的で縁取りは見られない。
- 1段絞ると口径食を最小限に抑えることが出来る。
色収差:
- 10枚もレンズを使用しているにも関わらず、軸上色収差は目に付く。
- 倍率色収差は全体的に0.06%以下に抑えられている。
球面収差:
- 古いダブルガウスと同じく、球面収差は完璧には補正されていない。
歪曲収差:
- レンズの画角は公称値通りだ。
- 歪曲収差は+0.99%の糸巻き型だ。
- 目立つ結果ではないが、複雑な光学設計の標準レンズではゼロ歪曲を期待していた。
周辺減光:
- F1.4で-1.76EVの周辺減光が発生する。
- 目立つ数値だが、画角やF値を考慮すると許容範囲内だ。
- XF33mmF1.4と似ている。
- 絞ると改善し、F2.8で目立たなくなる。
コマ収差:
- ダブルガウスの設計で弱点となる収差だが、複雑な光学設計で改善していることを期待していた。
- しかし、現実はそうならず、非常に目立つコマ収差が残っている。
- 非点収差の平均値は5.5%だ。とても低い水準に抑えられている。
逆光耐性:
- 改善が必要だ。
- 太陽がフレーム内に入っている場合のみならず、隅から離れた位置にある場合でもコントラストの低下が見られる。
総評
このようなレンズの発売の背景となる考え方が理解できない。低分散ガラスを使った10枚ものレンズを内蔵した現代の光学レンズだが、普通のガラスを使った6?7枚のレンズ構成である昔のダブルガウス構造のような光学性能だ。F1.4でややボケる、絞ると一気に解像度が上がる、画面周辺部の解像度が明らかに落ちる、球面収差の問題がある、コマがはっきりしているなど、両者の性能に区別がつかない部分がある。
なぜトキナーはこのような製品で自分たちの名声を地に落とすのか。新興レンズメーカーであるVILTROXがこのような設計のレンズを作るのは理解できる。トキナーはかつて光学系を自社設計していたのだ。品質管理に問題を抱えている中国OEMにアプローチを変えても成功はしないだろう。お願いだから方針を考え直して欲しい。
- 長所:
・ほぼ金属製の鏡筒
・F2から非常に良好な中央画質
・倍率色収差がとても低い
・歪曲収差の補正が良好
・非点収差がわずか
・ボケが心地よい描写- 短所:
・絞り開放の画質が弱い
・軸上色収差が目立つ
・コマ収差が目立つ
・逆光耐性
・AF
とのこと。
VILTROX「AF 33mm F1.4 STM」のOEMと言われているレンズですね。公言していませんが、レンズ構成やMTF、実際の光学性能などを考慮すると、OEMであるのは確からしいかなと。VILTROXと比べた際に、外装の他に光学系に何等かの手が加わっているのかは不明。ただ、Lentipのテスト結果を見る限りでは本家と同じである可能性が高そう。
かく言う私は本家のAF 33mm F1.4ユーザー。全体的な印象はLenstip通りで、特性はまさにダブルガウスのそれです。開けてふんわり、絞ってキリリ。9群10枚のレンズ構成としては期待外れかもしれませんが、個人的に絞り開放の柔らかさは好みです(主にボケと低コントラストという意味で)。好みなので、ニコンZマウント用も購入しました。
ただ、絞り開放付近の解像性能やコマ収差、そして軸上色収差などが弱点となるので星空・夜景・イルミネーションなどとは相性が悪いのは確か。その辺りを理解して購入するのであれば、コストパフォーマンスの高い大口径レンズになるのかなと。ちなみにAFの精度はやはり低い。おそらく、あまりパッとしない絞り開放の光学性能が悪さをしているのかなと予想しています。ちなみに、新興メーカーであるVILTROXだから許容範囲となるものの、老舗Tokinaが価格を上乗せして提供するOEMレンズと言う意味ではLentipと同じ感想となるかもしれません。
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