Dustin Abbottがキヤノン「EOS R3」のレビューを公開。大きく重いカメラは好みではないと言及しつつも、史上最高のアクション・スポーツ用カメラとフォーカス・連写性能を高く評価しています。
Dustin Abbott:Canon EOS R3 Review
ビルド・外観:
- 記載なし。
バッテリー:
- R5よりも大容量のLP-E19に対応している。
- 撮影枚数は撮影シーンによって大きく変わる。犬を連写で撮影した場合、1000枚撮影してもバッテリーはほとんど減っていなかった。
インターフェース:
- ホットシューはソニーのようにデジタル接続に対応している。
- USB 3.2 Gen2、RJ-45、HDMI D、3.5mmマイク、3.5mmヘッドホンに対応している。
- USB-C経由で充電可能だが、PowerDelivery対応機器である必要がある。
- EOS R5と同じくCFexpress Type BとSD UHS-IIのデュアルカードスロットだ。
携帯性:
- 1Dシリーズと比べると小さく軽いカメラだ。
- 1DX3と比べて425gの軽量化は長時間の撮影で重量差を感じるには十分だ。
- とは言え、150×142.6×87.2mm、1015gの大きなカメラである。
グリップ:
- 新しいテクスチャを採用しており、見栄えが良く機能的だ。
- 縦位置グリップは底部がフラットで快適に持つことは出来ない。
操作性:
- 物理コントロールは基本的に1DX3とR5をミックスしたものだ。
- 背面の大部分は1Dと類似したデザインで、AF-ONボタンのスマートコントローラも健在だ。
- R5と同じようにジョイスティックを搭載し、3つの機能的なコントロールダイヤルを搭載している。
- 全てが適切な配置だが、手が大きい人に最適化されている。
- 録画ボタンがソニーのようにファインダー横へ移動している。個人的にはR5の配置よりも好みだ。
- 個人的に電源スイッチの場所は気に入らない。右手で操作しようとすると、グリップする手の姿勢を変える必要がある。さらに手袋を着用していると悲惨だ。ゴミ箱ボタンなどを位置を含めてEOS R5のデザインが良かった。
- 大部分のボタンは必要に応じてカスタマイズ可能だ。
- 前面のボタンは手が大きくないと押し辛い(特に下二つ)。
- カメラ上部はEOS R5と似ているが、若干の調整が加えられている。
手ぶれ補正:
- マクロ距離で150mm 1/20秒で良好な結果を得ることが出来た。本当に優れた手ぶれ補正システムだ。
- より遠い被写体ならば150mm 1/10秒での撮影も可能だ。
- 光学手ぶれ補正と組合せた場合は200mm 1/6秒でも簡単に撮影できる。
ファインダー:
- 素晴らしいファインダーであり、お気に入りのEVFだ。
- 576万ドットと高解像で、120fpsの高リフレッシュレートで駆動する。ただし、高リフレッシュレート時はバッテリー消費が早くなる。
モニター:
- プロ機としては珍しくバリアングルモニタを搭載している。
- 3.2型で驚くべき420万ドットの高解像パネルを採用。α1は哀れにも144万ドットである。
- タッチパネルのレスポンスは良好だ。
メニューシステム:
- 記載なし。
オートフォーカス:
- EOS R5の優れたオートフォーカスをベースに、さらにハイエンドのスポーツ用に改良されている。
- オートフォーカスの感度は驚異的なレベルに達しており、-7.5EVというわずかな光でもピントを合わせることが可能だ。これはかなり暗く、まるで月明かりの中でピントを合わせているようなものだ。
- また、+20EV(とてつもなく明るい状態)でもピントを合わせることができるので、理論上は27.5段分という驚異的な明るさの中でピントを合わせられることになる。
- EOS R3は開放F22という小さな口径でもピントを合わせることができるので、RF600mm F11 IS STMやRF800mm F11 IS STMのような非常に小さい口径のレンズでもテレコンバーターを使うことができる。
- 実際のところ、EOS R3で効果的にピントを合わせることができないような「普通の」状況は基本的に無い。
- ほとんど見えない状況で正確なオートフォーカスができたことは、とても印象的だ。
- 追従撮影は他のカメラよりも本能的に好みだと感じた。特にファインダーの撮影体験が魅力的だ。
- 視線入力AFは目で被写体を追いかけるだけなので便利だ。しかし、被写体検出の追従AFも被写体を追いかけるだけで追従できる。
- 視線入力AFは被写体を見て追いかけるだけではだめだ。近くの地面を見て適切なピント位置に移動させる必要がある。
- 世界で最も優れたフォーカスシステムの一つだ。高速性・柔軟性・正確性、そして使いやすさを兼ね備えている。
連写性能:
- 電子シャッターでは30コマ/秒、メカニカルシャッターでは12コマ/秒で連写が可能だ。メカニカルシャッターを使う理由はますます少なくなってきている。
- メカニカルシャッターでは1/8000秒が限界だが、電子シャッターでは1/64000秒という非常識な速さで撮影可能だ。
- 電子シャッターでは1/180秒まで、メカニカルシャッターでは1/200秒まで(電子先幕では1/250秒まで)のフラッシュ同調速度が得られる。
- 電子シャッターでもアンチフリッカーに対応している。
- 一度の140枚の連写撮影を実施しても瞬時にバッファをクリアできる。
高感度ISOノイズ:
- キヤノン製カメラの中では最高の高感度性能を備えていると考えている。
- ISO 1600とISO 6400を見比べると、ノイズ・彩度・コントラストなど低下ペナルティはほとんど無い。
- ISO 12800は素晴らしい画質だ。
- ISO 25600では確かにシャドーのノイズが多いものの、変色はバンディングは発生していない。
- ISO 102400の画質は破綻しそうだが、ISO 51200はいざと言うときには使えそうだ。
- 比較してα1は、ISO 51200で薄緑の色被りやカラーシフトが見られる。どちらも高感度ISOでディテールは良好だ。
- 総合的な画質はEOS R3に軍配を上げたいと思う。
ダイナミックレンジ:
- R3とR5のダイナミックレンジを比較したところ一長一短あるが、どちらのカメラも高水準だ。
- シャドーのディテールを引き出す余裕があり、ハイライトもかなりのパフォーマンスだ。
- R3はシャドーの再現性に優れている。4段分の復元でもほとんどペナルティ無しで回復できる。ただし5段分の復元ではコントラストの低下、質感の滲み、色被りなどが発生する。この点でα1は5段分の回復で良好なコントラストを維持している。
- ハイライトは2~3段で限界を迎える。2段で完璧に近い回復が得られる。
- ベースISO感度のダイナミックレンジはR5のほうが良好だが、ISO400以降はR3が良好となる。
仕上がり機能:
- C-RAWを使うことでファイルサイズは非常にコンパクトとなる。
- JPEGとHEIFの出力に対応している。
- ×1.6のAPS-Cクロップモードでは解像度が低すぎる。R5ほど有用な選択肢ではない。
- 色彩はキヤノンらしい優れた色合いだ。
動画:
- 動画機能は1DX3とR5の中間のスペックだ。8K動画には対応していないが、6Kや強力な4K動画を備えている。
- これまでのところ発熱の問題は報告されていない。しかし、CFexpressカードは十分に熱くなる。
- EOS R5の上部に表示されていた29分59秒の録画制限もなくなった。
- 動画の画質は素晴らしい。
- オートフォーカスの追従性も素晴らしく、非常に信頼性が高い。
- Canon logやHDR-PQも利用可能だ。
総評
EOS R3は、ある種の人々が最も求めていたカメラだ。視線入力AF、ボディ内手ブレ補正、そして1Dボディでは実現できなかった高速連写など、1Dシリーズのデザインに真の革新をもたらしている。30コマ秒の連写速度は、完璧な1枚を選択するチャンスが豊富にあることを意味している。
EOS R3とα1を並べてみると、約500ドル高いにもかかわらず、ソニーの方が(圧倒的に)安っぽいカメラに見える。 α1が他のミラーレスモデルと基本的に同じサイズであるのに対し、EOS R3はハイエンドのスポーツカメラのようだ。 しかし、皮肉なことに、私にはα1がぴったりだ。α1のコンパクトさが気に入っているし、大きなボディには個人的に興味が無い。もしあなたが、大きな投資は大きな投資らしくしたいと思う人ならば、EOS R3は間違いなくその条件に合うだろう。 見た目も操作性も本格的なプロ級のカメラだと思う。
しかし、結局のところ、このカメラは万人向けではない。 大きすぎるし、重すぎるし、高すぎる。 このカメラの強みは多くの写真家にとって過剰なものであり、EOS R5やR6のようなレベルで売れることはないだろう。しかし、これはプロフェッショナルのための撮影機材である。もしあなたが後者を必要とするタイプのフォトグラファーなら、キヤノンはおそらくあなたにとって完璧なカメラを作ったことになる。このカメラは、難なく追従し、他の多くのカメラでは見逃してしまうようなギリギリのショットを可能にするような低照度性能を備えている。 そしてそれは、あなたにとって6,000ドルの価値があるかもしれない。
- 長所:
・史上最高のアクション・スポーツカメラ
・1DとR5の長所を組み合わせたエルゴノミクス
・素晴らしい手ぶれ補正システム
・追従性を次世代に引き上げるフォーカスシステム
・視線入力AFは飛び道具ではなく実用的な機能
・驚くべきフォーカス輝度範囲
・素晴らしいファインダー
・高解像でレスポンシブな背面モニタ
・優れたバッファ
・充実した動画機能
・優れたセンサー性能- 短所:
・電源ボタンの位置が不便
・フロントボタンは小さい手だとアクセスし辛い
・サードパーティ製レンズが動作しない場合が多い
・サイズと価格はニッチな市場向け
とのこと。
非常に強力なフォーカスシステムを搭載したスポーツタイプのミラーレスカメラですね。特に積層型CMOSセンサーとDIGIC Xプロセッサを使用したオートフォーカスはとても良好である模様。高感度ISOノイズ耐性はダイナミックレンジのパフォーマンスも良く、低照度AFも極めて優れているようです。全方位で飛躍的な進化を遂げています。月明りで楽々とAFを実現しているのは頼もしい。
Dustin Abbott氏はコンパクトなα1のボディサイズが好みと言及しつつも、フォーカス性能や連写性能の評価は高くなっています。将来的に小型モデルにも積層型センサーを搭載する日がくるのか気になるところですねえ。
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