PCmagが「LUMIX S5II」のレビューを公開。優れた画質と操作性、動画機能を評価しつつ、注目の像面位相差AFは特に静止画における動作が完璧とは言えない模様。やや厳しめの評価となっています。
PCmag:Panasonic Lumix DC-S5 II Review
ビルド・外観:
- S5から大きな変更点はない。
バッテリー:
- BLK22バッテリーを使用する。
- S5よりもバッテリーライフは少し短いが、省エネモードでは大幅に改善する。
- 動画撮影の場合は外部電源か予備バッテリーを用意しておいたほうが良いだろう。
インターフェース:
- デュアルSD UHS-IIカードスロットを搭載している。
- HDMI A、ヘッドホン、マイク、2.5mmリモートに対応している。
- ホットシュー経由で24bit 48kHzの音声収録にも対応している。
- 5GHz Wi-FiやBluetooth 5.0に対応している。
携帯性:
- 記載なし。
グリップ:
- S5と比べて少し大きくなっている。
操作性:
- S5と同じ場所に同じコントロールがあるので、操作方法を学びなおす必要はない。
- スポーツタイプ以外では珍しいドライブモードダイヤルを搭載している。
- MF/AFC/AFSの切り替えスイッチを搭載。同軸ボタンでフォーカスモードを切り替える機能を利用可能だ。
- AFジョイスティックはS5のような4方向操作ではなく、8方向の操作に対応している。
手ぶれ補正:
- 動画撮影でも良好な安定性が得られる。
ファインダー:
- S5と比べてファインダー倍率・解像度が共に改善している。
- 初期設定では60fpsのフレームレートだが、120fpsの高速表示が可能だ。
- 他社の競合モデルと同じくらい良好である。
モニター:
- バリアングル方式で自撮りやVlogに適している。
- 180万ドットの解像度を備え、屋外での視認性は問題と感じない。
メニューシステム:
- Qメニューは他社のようなオーバーレイ方式ではない。
フォーカスシステム:
- LUMIXとしては初となる像面位相差AFに対応したが、残念ながら完璧な動作とは言えない。
- 低照度におけるフォーカスに苦戦し、動く被写体に対してAFCが遅い。設定で改善するが、それでも他社と比べると見劣りする。
- S5IIで苦戦する環境でもEOS R6 IIは一瞬で合焦する。
- AFSモードはDFD AFで動作しているのか、きびきびと動作する。
- 旅行のスナップやポートレートには適しているが、スポーツや野生動物には不適だ。
- AFC性能を向上させるファームウェアを開発中であることを願っている。
- 動画撮影中のAFCはとても良好だ。
連写性能:
- メカニカルシャッターで9fps、電子シャッターで30fpsの連続撮影に対応している。
- ローリングシャッター効果はうまく抑えられている。
- 最高速のSD UHS-IIを使用しても、バッファが一杯の状態から書き込み終了までは50-60秒かかる。
解像性能:
- ピクセルシフトマルチショットに対応している。カメラ内で合成処理されたRAWとJPEGの出力が可能だ。
高感度ISOノイズ:
- R6 IIと比べると、ノイズパターンが少し異なるが、よく似た性能だ。
- ISO 6400までしっかりとした画質だ。
- ISO 51200でもきちんとした結果が得られる。
ダイナミックレンジ:
- RAWの柔軟性にはとても満足している。
画質・仕上がり機能:
- HEIFは非対応だ。
動画:
- 5.9K 30p・オープンゲート。4K 4:2:2 10bitに対応している。
- センサー全幅の収録は4K 30pまで、4K 60pはSuper35となる。
- 波形モニタやベクトルスコープ、タリーフレーム、アナモフィックなどに対応している。
- 内蔵ファンにより4Kの無制限収録と6K収録を最大30分まで対応している。
- 動画と静止画のカメラ設定が分離していない。
総評
LUMIX S5から多くの点が改善され、機能的となっているが、位相差検出AFは最も必要とされるシーンでフォーカス速度が低下する意味のないものだった。ただし、動画撮影時は優れたパフォーマンスを発揮する。欠点は同じ価格帯のAPS-C機が実装しているProResに非対応であることだ。(この場合はLUMIX S5IIXを買う必要がある)
現状で、S5 IIは期待していたほどではないが良いカメラである。パナソニックがファームウェアのアップデートでフォーカス性能を向上させることができれば、この結論を再検討するだろう。それまでは、より高性能なソニーα7 IVやキヤノンEOS R6 IIに買い換えることをお勧めする。
- 長所:
・2400万画素の良好な画質
・6K 30p 10bit
・5軸手振れh製
・防塵防滴
・マグネシウム合金ボディ
・豊富なカスタマイズ
・アクティブ冷却による長時間撮影- 短所:
・AF-C
・静止画と動画の設定が分離していない
・バッテリーライフ
とのこと。
LUMX初となる像面位相差AFに対応した新しいフルサイズミラーレス。裏面照射型の2400万画素 CMOSセンサーの画質も良好で、豊富な動画機能を加えると優れたハイブリッドカメラになりそうです。残念ながら、PCmagの評価では特に静止画における像面位相差AFがイマイチである模様。動画撮影では問題なさそうですが、S5IIと望遠レンズを組み合わせた動体の静止画撮影を検討している人は自身の撮影環境に耐えられるのか確認しておいたほうが良さそうです。
実際のLUMIX S5IIユーザーとしてもいくつか気になるポイントありました。例えば、ファインダーとモニターの切り替え速度がやや遅いこと、AFC中のライブビューフレームレート低下(FWで改善予定)、被写体検出や追従AFのレスポンス、いくつかの静止画機能が無くなっている点など。
第一世代の像面位相差AFシステムとしては健闘していると思いますが、キヤノンやソニーと比べると、特に低照度や追従時のレスポンスは要改善と感じるのは確か。被写体検出の応答性もキヤノンと比べると見劣りします。
また、静止画と動画のハイブリッドとしてみる場合、動画はALL-IやProRes 422、外部SSD出力に非対応となっているので、編集の柔軟性を考慮すると差額を払ってでもLUMIX S5IIX(2023年6月)を待つべきなのかなと。
それでも強力な手振れ補正やボディ内で合成できるハイレゾモード(動体補正対応)、豊富なカスタマイズや物理コントロール、この価格帯では珍しい空冷による動画無制限録画など、魅力的な部分も多いカメラです。今後のファームウェアアップデート次第で大化けする可能性は残されているように見えます。
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