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富士フイルムXシリーズのエントリーモデルは「価格・機能・性能」の妥協点が見いだせない

IMAGING RESOURCEの創設者であるDavid Etchells氏がPetaPixelにて富士フイルムのインタビュー記事を公開。AFやAIについて、X-T5の追加グリップ、X-H2のドライブ性能、エントリーモデルの今後などなど、元IRらしいテクニカルなインタビューとなっています。

PetaPixel:Fujifilm Opens Up About AI, 8K Video, Entry-Level Cameras, and More

今年初めに横浜で開催されたCP+ 2023に参加した際、私は富士フイルムの代表者と会い、いくつかのカメラ機能の背後にある理由、最近のファームウェアアップデートの詳細、いくつかの将来計画に関する具体的な内容、そして8K動画に関する哲学的な質問、最近の業界ではまだ「エントリー」モデルの居場所があるのかどうかなどを聞く機会があった。

(技術的で長いインタビューのため、以下のまとめのみ抜粋)

富士フイルムは被写体認識を多かれ少なかれ継続的に更新
多くの場合、新しい画像に対して少しずつAIをトレーニングすれば済むが、データベース全体に対してトレーニングを再実行する必要がある場合もある。いずれにせよ、新しい画像をデータベースに追加するのは非常に手間のかかる作業である。
(補足:インタビュワーはリソースが桁違いのスマートフォンメーカーに追いついていることに関心)

X-H2Sのファームウェアバージョン3.0
AFトラッキングを約2倍高速化したが、これはシンプルにアルゴリズムをより効率的にすることで実現した。この相対的な効率向上は、X-H2やX-T5でも、将来のファームウェアアップデートで実現する可能性がある。

AI AFと位相差AFの連携
富士フイルムの最新ファームウェアは、AI被写体認識と従来の位相差検出ベースのAFトラッキングを緊密に連携させた。なぜなら、AI被写体認識と従来のAFトラッキングは根本的に異なるプロセスだからだ。この2つを緊密に連携させることは大きなブレークスルーだ。

X-T5のバッテリーグリップ非対応
X-T5は、バッテリーグリップがなくてもバッテリーの持ちがとても良かったので、バッテリーグリップを付けなかった。X-Tシリーズの当初のコンセプトは、「コンパクトでパワフルなボディ」であることだ。次世代プロセッサーの搭載によりバッテリー駆動時間が大幅に向上したため、大半のユーザーはバッテリー駆動時間を確保するためにアクセサリーグリップを必要としない。エルゴノミクス的な理由からグリップが欲しいユーザーには、X-H2/H2Sがその選択肢となる。

X-T5のUI変更
X-T5のユーザーインターフェースにおいて、顔検出AFと瞳検出AFがAIベースの被写体検出モードから分離されたことについて、一部のユーザーから不満の声が上がっている(X-H2Sでも同様)。富士フイルムはこれらの懸念を聞いており、これらのユーザーの要望に対応するためにファームウェアで対応する可能性を検討している。

8Kの需要
私は多くのメーカーに、8Kについて、そして現在そのための強力なユースケースが本当にあるのかどうかを尋ねた。富士フイルムの答えは他のメーカーと同じで、顧客にとって重要な将来性であると答えた。

X-H2のシャッターについて
X-H2が電子シャッターよりもメカシャッターの方が速く撮影できるという事実について尋ねた。メカニカルシャッターを使用する場合、ライブビュー表示をブラックアウトさせずに維持する必要がないため、撮影ごとに行う処理がそれほど多くないからだと判明した。
(補足:X-H2のクロップ無し連写「メカ 15コマ秒」「電子 13コマ秒」参考 X-H2 仕様表

露出とAI AFについて
露出を被写体の認識と連動させることで、白い鳥が影から日光の下へ飛んでいくときに適切な露出が得られるようにできないかと質問したところ、これは難しいと回答を得た。人物の顔のように一貫した諧調範囲があるのに対し、人物以外の被写体が何色であるかを事前に知ることができないからだ。

エントリーモデルについて
他のメーカーと同様、富士フイルムにも真の「エントリーレベル」カメラの居場所がまだあるのかどうか尋ねた。結論から言うと、価格帯に合わせるためだけに機能や性能を削ぎ落すことは、期待はずれのユーザーエクスペリエンスを生み出すことになる。これでは、新しいカメラユーザーが富士フイルムのプラットフォームを採用してもらうという目的が達成できない。

新製品について
明確な回答はなかったが、XシリーズとGFXモデルの間には隔年サイクルのようなものがあることを指摘。2022年に見られたXシリーズの重要な発表があり、当然2023年にはGFXでより多くの活動が見られる可能性が高いことを示唆している。

画像処理でAIの活用
被写体認識だけでなく、画像調整にAIを使うことについて、他のメーカーと同じ質問を富士フイルムにもした。富士フイルムの場合、人々が(フィルムシミュレーションという形で)特定の色や階調の表現を強く求めているという事実があるため、AIを使った画像操作は、そもそも人々が富士フイルムのブランドに惹かれる理由とは相反するものであるという。

Instaxとのクロスオーバー
富士フイルムのインスタントプリントカメラ「INSTAX」シリーズと同社のデジタルカメラの間に、ユーザーのクロスオーバーがあるのではないかと考えた。この2つの顧客ベースはかなり異なっているようだが、同社のMini Evoモデルがコンシューマーレベルのフィルムシミュレーションをサポートしているという事実は、おそらくクロスオーバーの関心を示唆しているのだろう。

とのこと。
元IMAGING RESOURCEらしい充実したインタビュー内容となっていますね。多岐にわたって興味深い話題が詰め込まれています。

  • X-H2SのAF性能は将来的にX-H2やX-T5に継承する可能性あり
  • AI AFと既存のAF技術の連携は時間がかかる
  • 価格を抑えたエントリーモデルは難しい
  • 2023年はGFXの年
  • 画像処理にAI活用は富士フイルムのユーザー層と合わない

あたりがハイライトでしょうか。AFアルゴリズムやAI AFの強化は将来的にX-T5やX-H2で実現しそうですね。従来のXシリーズと異なり、同世代で搭載しているイメージセンサーが3種類(積層型・BSI 40MP・BSI 26MP)存在するため、どれほどのスピード感で最新AFを普及できるのかは不明。
競合他社と同様、手ごろな価格のエントリーモデルは実現が難しいようです。既に第四世代のXシリーズは全てディスコンとなっており、最も手ごろな価格の選択肢が10万円台後半の「X-S20」のみ。X-T30やX-E4が現役だった時期と比べると敷居がかなり高くなってしまった印象を受けます。一方でキヤノンやニコンは10万円前後のAPS-Cミラーレスカメラを投入。特にキヤノンは高性能なAFを搭載した「EOS R50」「EOS R10」が存在します。このあたりと勝負するカメラを投入するのか、エントリーは諦めるのか気になるところ。

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