「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。色収差や球面収差など、大口径レンズで目立ちやすい要素は良く補正されているように見えます。小型軽量で低価格ながらバランスが良いレンズ。
本日のまとめ
全体的に収差を良好に補正しています。どれをとっても「完璧」とは言えませんが、無視できる程度~大きな問題とならない程度に抑えられています。大口径レンズでしばしば問題となる軸上色収差も許容範囲内。厳しい光環境では細部に色付きが発生することもありますが(過信や過剰な編集処理は禁物)、問題を感じるほど目立つシーンは少ないはず。
Overall, aberrations are well corrected. While none of them can be called “perfect,” they are kept to a level that can be ignored or does not cause significant problems. Axial chromatic aberration, which is often a problem with large-aperture lenses, is also within acceptable limits. In harsh lighting conditions, color fringing may occur in fine details, but there should be few scenes where it is noticeable enough to cause concern.
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol4 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
フレーム中央・フレーム隅どちらでピントを合わせても、大きな変化はありません。
- 中央合わせ
- 隅合わせ
- 中央合わせ
- 隅合わせ
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
Adobe Lightroom ではRAW現像時にレンズプロファイルが強制的に適用されます。補正後の出力を見ると、僅かに痕跡が残るものの良好に修正されているように見えます。玉ボケのテスト結果を見る限り、フレーム隅における色づきが少なく、光学的にも良好な補正状態であると推測できます。(ただし完璧ではない)
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
絞り開放で付近でピント面前後に僅かな色収差が発生しています。LUMIX G 42.5mm F1.7と比べると良好であり、絞り開放で問題ないシーンが多い。F2.8まで絞るとほぼ解消します。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
倍率色収差と同じく、自動補正が適用されていると思われる収差。実写テストでは、ゼロにに近いものの、よく見るとごく僅かな糸巻き型歪曲となっているように見えます。これが実写で影響する可能性はほぼありません。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
点光源を大きく拡大すると若干の残存収差あり。無視できる程度であり、F2.8まで絞るとほぼ解消します。
球面収差
ごく僅かに収差が残存しているように見えますが、ほぼニュートラル。良好な補正状態です。軸上色収差のテストを見る限り、顕著なフォーカスシフトもありません。
まとめ
全体的に収差を良好に補正しています。どれをとっても「完璧」とは言えませんが、無視できる程度~大きな問題とならない程度に抑えられています。大口径レンズでしばしば問題となる軸上色収差も許容範囲内。厳しい光環境では細部に色付きが発生することもありますが(過信や過剰な編集処理は禁物)、問題を感じるほど目立つシーンは少ないはず。
問題があるとしたら、今回のテストでは未チェックの遠景における非点収差。遠景解像編で指摘したように、周辺や隅の解像性能が大幅に低下するため、良好な結果を得るには十分に絞る必要があります。
購入早見表
このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 ブラック | |||
OM SYSTEM ストア | |||
楽天市場 ![]() |
Amazon ![]() |
キタムラ ![]() |
|
メルカリ ![]() |
キタムラで中古在庫を探す ![]() |
||
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 シルバー | |||
OM SYSTEM ストア | |||
楽天市場 ![]() |
Amazon ![]() |
キタムラ ![]() |
|
メルカリ ![]() |
キタムラで中古在庫を探す ![]() |
作例
関連レンズ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
- LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.
- LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.
- YN42.5mm F1.7M
- 56mm F1.4 DC DN
関連記事
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol4 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
広告
*手動広告を試験的に導入しています。
期間限定セール
アウトレットなど
キャッシュバック
- キヤノンEOS R カメラ・レンズ 最大5万円
- ソニーα スプリングキャンペーン
- ニコン ミラーレス・一眼レフ 最大7万円
- LUMIX S9 カメラはじめようキャンペーン
- LUMIX カメラボディ キャンペーン
- GFX100S II + GF35-70mm WR キャンペーン
新製品
- DxO PureRAW 5:(ソフト紹介ページ)
- シグマ 16-300mm F3.5-6.7 DC OS|C E・L 予約販売開始
- Sigma BF & I Series シルバーモデル 予約販売開始
- ニコン Z5II 予約販売開始
- VILTROX AF 50mm F2 E・Z 販売開始
- EOS R50 V / RF-S14-30mm PZ / RF20mm F1.4 VCM
- FUJIFILM GFX100RF 予約販売開始
- VILTROX AF 135mm F1.8 Lab Z-mount 国内販売開始
- LUMIX DC-S1RM2
- FE 16mm F1.8 G/ FE 400-800mm F6.3-8 G OSS
- DxO PureRAW 5 正式発表&予約販売開始
カメラメーカー直販・店舗リンク(楽天市場)