Digital Camera Worldが「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」のレビューを公開。マクロレンズと大口径の単焦点レンズとしての性質を併せ持ち、良好な光学性能を含めて実用性の高いレンズと評価。
- 特徴:「真の」マクロレンズとは1.0倍(1:1)再現倍率を達成するレンズを指すが、本レンズは最大0.67倍であり厳密にはマクロではない。ただしAPS-Cセンサーの1.5倍クロップにより実効倍率は約1.0倍となり、実質的にはフルマクロに匹敵。画角はフルサイズ換算約52.5mm相当となり、自然な遠近感が得られる標準視野に近い。
- 構造:金属製マウントで、質感は良好。絞りは9枚の円形羽根で、f/1.7〜f/16をカバーし、近接時には有効最小絞りがf/22になる。耐候性シールも確認できるが詳細なコーティング仕様は不明。レンズフードHN-43が付属せず別売りである点はマイナス。
- 携帯性:サイズは約7×7.2cm、重量220gと小型軽量で携行性は非常に高い。完全インナーフォーカスのためレンズ長が変化せず、マクロ時の取り回しも良い。
- 操作性:鏡筒にAF/MF切り替えスイッチがなく、カメラメニューで操作する必要があり利便性が低い。
- AF:高速リニアステッピングモーターによりAFは非常に速く、一般的なマクロレンズに見られる遅さやハンチングが少ない。動画では静粛かつ滑らかなAFが可能で、フォーカスブリージングも最小限。コントロールリングは静かに絞り調整ができる。
- マクロ:0.67倍という控えめな最大倍率は、短焦点マクロ特有の極端に短いワーキングディスタンス問題を緩和する利点となる。最短撮影距離16cmで、レンズ先端から約6cmの距離を確保でき、扱いやすい。
- 手ぶれ補正:光学式手ぶれ補正は非搭載。さらにAPS-C Zカメラにはボディ内手振れ補正も無いため、低速シャッターやマクロ撮影では手ぶれに注意が必要。
- 解像性能:開放f/1.7から中央は非常にシャープで、f/2.8以降は周辺・四隅も良好になる。色収差や歪曲は最小限で、f/11まで安定した性能を維持し、f/16でわずかに回折の影響が出る。全体として画面全域のシャープネスが高い。
- 像面湾曲:記載なし。
- ボケ:標準画角とf/1.7の明るさにより、浅い被写界深度と柔らかい分離が得られる。1.5段分明るい設計は被写体強調や低照度撮影で有利で、一般撮影での表現力が大きい。
- 色収差:f/1.7〜f/2で周辺に軽微なフリンジが出るが、f/2.8以降で改善し、カメラ内補正を使えばほぼ解消できる。
- 球面収差:記載なし。
- 歪曲収差:糸巻き型がごくわずかにあるが実写ではほぼ問題ない。自動補正オンで実質的にゼロとなる。
- 周辺減光:記載なし。
- コマ収差:記載なし。
- 逆光耐性:記載なし。
- 光条:記載なし。
- 作例集:リサイズのみ。
- 総評:APS-C向け「マクロ」レンズとして販売されているが、実質的には明るい標準単焦点としての汎用性が際立つ。0.67倍ながらDXクロップで1.0倍相当となり、近接性能も十分。AFは高速で、一般撮影から寄りまで快適に対応。小型軽量・高画質・手頃な価格が魅力で、弱点はAF/MFスイッチ非搭載とフード別売り。総じて非常に実用性の高いレンズ。
- 競合について:最も明確なのは Z DX 24mm f/1.7。両者ともAPS-C用の明るいf/1.7単焦点だが、価格は24mmが安く、Z DX MC 35mmは大幅に高価。
- 備考:
2025年10月に登場したニコンAPS-C Zカメラ用の単焦点レンズ。
「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」に続く二本目のDX単焦点ですが、共通していることは「f/1.7」の開放絞りのみ。本製品は「f/1.7」を維持しつつ、最大撮影倍率0.67倍の高いクローズアップ性能を実現。(マクロ域で光量が低下しても)実効F値が「f/3.2」と明るく、使いやすいマクロレンズとなっています。
(参考:ニコン「マイクロレンズの F 値が開放にならない理由」)
販売価格はZ DX 24mmより高いものの、マクロレンズと一般的な単焦点レンズの特性を併せ持つ製品と考えると高すぎるとは感じません。
Digital Camera Worldのレビューによると、24mmよりも質感がよく、大口径レンズとマクロレンズの特性を併せ持つ実用性の高いレンズとのこと。解像性能は良好で、諸収差の補正状態も良好のようですね。操作性や同梱品の観点で完璧ではないものの、小型軽量なマクロレンズとしては許容範囲内でしょうか。
私はZ50IIと組み合わせて使用。
解像性能はマクロから遠距離まで良好ですが、コマ収差の影響で周辺や隅の点像再現性やコントラストが少し低め。ベストを尽くすのであれば、DCWが言及しているようにF2.8か、それ以上に絞って使うのがおススメです。
F1.7の大口径レンズとしても利用可能ながら、背景のボケが硬めで、時には二線ボケの兆候が見られます。単純に大口径の標準レンズが欲しいだけならば「VILTROX AF 35mm F1.7」を検討するのも一つの手。
ニコン NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 最新情報まとめ
- 発売日:2025年10月31日
- 希望小売価格:オープンプライス
- ニコンダイレクト:64,900円
- カメラのキタムラ:58,410円
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レンズの仕様
| レンズマウント | Z |
| 対応センサー | APS-C |
| 焦点距離 | 35mm |
| レンズ構成 | 7群8枚 |
| 開放絞り | 撮影距離が∞のとき:f/1.7 撮影距離が0.16mのとき:f/3.2 |
| 最小絞り | 撮影距離が∞のとき:f/16 撮影距離が0.16mのとき:f/22 |
| 絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
| 最短撮影距離 | 0.16m |
| 最大撮影倍率 | 0.67倍 |
| フィルター径 | 52mm(P=0.75mm) |
| 手振れ補正 | - |
| テレコン | - |
| コーティング | SIC |
| サイズ | 約70mm×72mm |
| 重量 | 約220g |
| 防塵防滴 | 防塵・防滴に配慮した設計 |
| AF | STM |
| 絞りリング | - |
| その他のコントロール | コントロールリング |
| 付属品 | •レンズキャップ52mm LC-52B(スプリング式) •裏ぶた LF-N1 |
関連レンズ
- 30mm F1.4 DC DN
- VILTROX AF 35mm F1.7
- VILTROX AF 33mm F1.4
- TTArtisan AF 35mm F1.8 II
- TTArtisan AF 35mm F1.8
- 7Artisans AF 35mm F1.4
- YN35mm F1.8 DA DSM WL
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