OMデジタルの新製品「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の手振れ補正と連続撮影時のバッファについてチェックしました。手振れ補正は効果を実感できなかったものの、バッファは確かに増えている模様。
OM-1 Mark IIのレビュー一覧
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- OM SYSTEM OM-1 Mark II ファーストインプレッション
手振れ補正
環境
- OM-1 Mark II
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(150mm使用)
- 1/125秒から1段刻みでチェック
- 撮影距離 3m / 無限遠
- 撮影時は壁に背を預け、ファインダー使用
- 各シャッタースピードで20枚撮影
- 評価
・Excellent:三脚固定時と同程度のシャープネス
・Good:Excellentよりも低下するがシャープ
・Bad:明らかにぶれている
テスト結果
少なくとも1/15秒までは100%の成功率で撮影可能。至近距離でも3段分の補正効果は期待できるようです。4段分までシャッタースピードを低下させるとシャープネスの低下を確認。それでも半分はしっかりと固定したような結果を得ることができました。5段分(1/4秒)まで遅くすると完全なミスショットが混じり始めますが、それでも良好な結果を得られる割合が多い。6~7段分まで遅くすると撮影結果が不安定となります。
無限遠の撮影距離では5段分の補正効果まで確実に止めることが可能。換算300mmの望遠でセンサーシフト式手振れ補正のみでここまでの効果が得られるのは流石。6段分まで遅くしてもほぼ確実に止めることができるようです。ただし、1秒を超えると急速に不安定となり成功率が大幅に低下します。これは広角や標準域でも同じ傾向が見られるので、手持ちのスローシャッターは1秒未満に抑えておくのがおススメ。
OM-1との比較
公式にはOM-1よりも僅かに性能が向上していると言われていますが、少なくとも今回の撮影環境では変化を感じませんでした。(OM-1のほうが良好なくらいですが、「OM-1 II > OM-1」の順序でテストしているため、体がスローシャッターに慣れてしまったためかもしれません)
体感できるほどの違いがどこにあるのかは不明。機会があればシンクロ手振れ補正や広角域でもチェックしたいところ。
バッファ
撮影環境
- OM-1 Mark II
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
- MF
- RAW / RAW+JPEG F
- 20fps / 60fps / 100fps / 120fps
- 5秒 / 10秒 / 15秒 の連続撮影時における撮影枚数を計測
- ProGrade Digital COBALT SD UHS-II 64GB
- 撮影ごとに初期化
- ノイズリダクション オフ
- 連写優先設定
テスト結果
fps|撮影時間 | 5秒 | 10秒 | 15秒 |
60コマ秒 | 265 | 327 | 388 |
100コマ秒 | 262 | 323 | 385 |
120コマ秒 | 250 | 321 | 379 |
SH1の場合、どの連写速度でも5秒間の連続撮影でバッファが詰まっている模様。それでも一度に撮影できる量は200枚を超えており、非常に深いバッファを備えていることが分かります。その後はSD UHS-IIへの書き込み速度がボトルネックとなり、どの連写速度でも5秒間に60枚(12fps)程度まで速度が低下。
fps|撮影時間 | 5秒 | 10秒 | 15秒 | 20秒 |
20コマ秒 | 100 | 203 | 302 | 403 |
撮影速度を20fpsまで落とすと、SDカードへの書き込み速度とバッファとのバランスが良好。少なくとも20秒までは速度低下無しで連続撮影が可能。ただし、これはあくまでも「RAW」のみの場合であり、JPEGを同時に出力した際の結果は以下の通り。
RAW+JEPG
fps|撮影時間 | 5秒 | 10秒 | 15秒 |
20コマ秒 | 100 | 202 | 302 |
60コマ秒 | 246 | 289 | 331 |
カメラ側の設定は「NR オフ」「連写速度優先」のJPEG出力となっています。少なくとも20fps時はなんの影響もなくJPEG出力を併用可能。60fpsでは最初の5秒こそ「RAWのみ」と同程度ですが、その後は10fps程度まで速度が低下します。
OM-1との比較
120fps
fps|撮影時間 | 5秒 | 10秒 | 15秒 |
OM-1 II | 250 | 321 | 379 |
OM-1 | 140 | 194 | 248 |
同じ設定でOM-1と比較したところ、バッファ倍増とまではいかないものの、非常に良好な結果を得ることが出来ました。バッファが詰まった後はどちらも10-12fpsまで速度が低下しています。バッファぶんOM-1 Mark IIが有利ですが、その後に差は広がりません。
20fps
fps|撮影時間 | 5秒 | 10秒 | 15秒 |
OM-1 II | 100 | 203 | 302 |
OM-1 | 101 | 186 | 235 |
20fpsの場合、OM-1 Mark IIは20秒まで速度低下がありません。しかし、OM-1は10秒持たずに速度低下が発生。20fpsで立て続けに連続撮影する場合はOM-1 Mark IIが有利とみて間違いないでしょう。
バッファクリア
どちらも高速連写でバッファを詰まらせた後、レリーズを終了して書き込みが終わるまでの時間を計測しました。どちらもRAWのみ。
- OM-1 Mark II:約19秒
- OM-1:約15秒
バッファの増加量を考慮すると、予想していたよりも差が大きくありません。連続撮影中の書き込み速度(バッファが詰まった後)が同程度にもかかわらず、何故バッファクリア時に大きな差が発生しないのか謎。
まとめ
バッファ増量はOM-1 Mark IIにおける数少ないハードウェアアップグレードとなるポイント。連続撮影が多く、特に連写時間が長い、頻繁に連続撮影するのであればバッファ増量は大きなアップグレードと感じることでしょう。60fpsや120fpsを使わなかったとしても、20fpsで連続撮影できる時間も大幅に伸びています。プロキャプチャーモードの連続使用などでも恩恵を感じるはず。LUMIX G9 PRO IIもバッファが大幅にアップグレードされていますが、OM-1 Mark IIはそれ以上の連続撮影が可能。またG9 PRO IIは連続撮影の種類によっては200コマで強制的に撮影が終了する設定もあるので若干使い辛いです。(解像度やファイルサイズの違いもありますが)マイクロフォーサーズで連続撮影を重視する場合はOM-1 Mark IIが最有力候補と言っても過言ではありません。
バッファクリアもOM-1比でなぜか速い。とはいえ、CFexpressと比べると圧倒的に遅いです。同価格帯でもCFexpress対応モデルが増えているので、OMDSにも期待したいところ。また、連写性能や連続撮影枚数の向上に合わせて、そろそろ連写時のカットをグループ化(一連の撮影を一括削除、再生など)して欲しいです。手振れ補正はほとんど変化を感じません。望遠域では効果がないのか、有効な撮影距離が異なるのか、今のところ不明。このあたりは機会があれば換算600mmの超望遠や12-100mm ISとの組み合わせでテストしてみる予定。今のところ大幅に改善されたとは感じませんが、OM-1の時点で非常に優れた手振れ補正であることに違いありません。トップクラスのパフォーマンス。