Dusin Abbottが富士フイルム「X-T5」のレビューを公開。高解像センサーながら優れた画質を実現していると高く評価しつつ、改善したAFは主要なライバルと比べて見劣りしていると言及しています。
Dusin Abbott:Fujifilm X-T5 Review
ビルド・外観:
- カメラ本体はマグネシウム合金製で、防塵防滴仕様である。
バッテリー:
- NP-W235 バッテリーを使用。
- 競争力のあるバッテリーライフで、モバイルバッテリーを使用したUSB充電にも対応している。
インターフェース:
- フラッシュ同期ポートのカバーは回転すると外れる。とても小さいので無くさないように気をつける必要がある。
- 左側面にはmicro HDMI、USB-C、リモート シャッター、マイク ポートなどの主要な接続ポートがある。
- 付属のUSB-Cアダプターを介してヘッドフォンを接続できる。
- UHS-II対応のSDカードスロットがを2つ搭載。X-H2は1つをより高速なCFexpress Type B規格に変更したが、X-T5は従来通りだ。
携帯性:
- 記載なし。
グリップ:
- エルゴノミクス的には、ソニーよりX-T5の方が好きだ。しかし、最近のキャノン R シリーズの方が好みである。
- X-T5のグリップも良い感じだが、大きな手の人は追加グリップが必要と感じた。
- バッテリーグリップには対応していないが、追加のハンドグリップを利用することができる。
操作性:
- カメラ本体のいたるところにダイヤル、スイッチ、ボタンがあり、メニューを見なくても多くのカメラ機能にアクセスできる。
- デジタルなカメラに対するアナログなアプローチであり、個人的には気に入っている。しかし、初心者には難しい操作体系かもしれない。
- コンパクトなボディにもかかわらず、物理コントロールは基本的にX-T4と同じだ。
- Qメニューボタンの位置は、ジョイスティックの真上から、カメラの右上に移動した。個人的には慣れない位置だ。
(訳注:X-T3からX-T4で切り替わり、X-T5に継承されています)- シャッターボタンの半押しが難しい。自然と全押ししてしまう。
手ぶれ補正:
- X-T3までボディ内手ぶれ補正を搭載しておらず、これはX-T4で解決され、X-T5で改善された。
- 光学手振れ補正の有無にかかわらず、最大7段分と評価できる性能だ。
- 手振れ補正の性能は、ソニーやキヤノンよりも改善されている。
- ?Viltrox Pro AF 75mm F1.2 で1/10 秒の手持ち撮影が可能だ。
ファインダー:
- いくつかの古い競合他社よりも優れているが、実際には新境地を切り開くものではない。
- リフレッシュ レート (100 fps) が高く、どのような撮影条件下でもブラックアウトは見られない。
モニター:
- 個人的にはバリアングルが好みだ。動画撮影で正面からモニターすることができる。
- 解像度が向上しているものの、機能はアップグレードされていない。
- タッチ機能も進歩しておらず、キヤノンのミラーレスカメラほど応答性や有用性がない(すべてのメニューオプションにタッチでアクセスでき、画面の応答性も良好)、新しいソニーのカメラよりも見劣りする。
メニューシステム:
- Q (クイック メニュー) はキヤノンのアプローチに似ているが、ナビゲーションはキヤノンのほうが好みだ。
- 幅広いメニュー オプションがあり、ほぼすべてのコントロールをユーザーの好みに合わせてカスタマイズできる。
- 慣れが必要だが、メニューはかなり論理的である。
フォーカスシステム:
- 以前と同様に、フレームの大部分に広がる425の選択可能なAFポイントだ。
- 測距輝度範囲は-7 EV (50mm F1.0 レンズ使用) で、非常に暗い場所でのフォーカス結果は良好だ。ただし、通常よりもフォーカス速度が低下する。
- 従来とほぼ同じフォーカス システムだが、被写体検出に対応している。犬の追従撮影でかなりの成功率を達成した。
- 以前のボディよりも瞳の検出が優れているが、最近のソニーとキャノンほどではない。
- 他のブランドよりも少し手間がかかるが、通常は良好なフォーカス精度を得ることができた。
- 改善は引き続き見られるが、パフォーマンスは他の主要ブランドのレベルに達しているとは思えない。
連写性能:
- 最大シャッター速度が 1/32,000 秒から 1/180,000 秒に大幅に向上している。
- メカニカル シャッターでの連続撮影速度は15fpsと非常に高速だ。α6600の11fpsを軽く上回り、EOS R7に匹敵する。メカニカルシャッターにより、最大1/8000秒のシャッタースピードが可能です。
- X-T3やX-T4の30fpsには非対応だが、クロップモードで20fpsまで対応している。
- EOS R7は30fpsまで対応し、X-H2Sは40fpsを実現している。
- X-H2は20fpsで400枚のRAWを記録できるが、X-T5はバッファーが遥かに速く目詰まりする。同条件で最大72枚の圧縮RAW、41枚のロスレス圧縮RAWを撮影可能だ。
- メカニカルシャッターを使用して 「クロップ」を使用せずに撮影する場合、バッファはさらに速く目詰まりする。圧縮RAWが39枚、ロスレス圧縮RAWが22枚、非圧縮RAWが19枚のみだ。
解像性能:
- X-H2と共有する新しい4020万画素のX-Trans CMOS 5 HR センサーを搭載。
- 私はこの新しいセンサーが気に入っている。多くの点で、妥協することなくEOS R7よりも解像度が高い。
- さらに高い解像度が必要な場合、センサー シフト機能を利用して1.6億画素のピクセル シフト マルチショットを使用できる。残念ながら、カメラ内で合成することは出来ない。
- 大きくクロップしても、まだ X-T4 の解像度レベルを備えている。
高感度ISOノイズ:
- ISO 6400の結果を見ると、解像度が向上したにもかかわらず、X-T4 と比較して大きな後退があるとは感じない。
- ISO 800 では、シャドウでのみ検出可能なノイズがわずかに発生する。ただし、ベース ISO との大きな違いはなく、ISO 1600 でもほとんど違いはない。
- ISO 3200 では、コントラストがわずかに低くなり、ノイズがわずかに多くなり、 ISO 6400 と 12,800 で同じ傾向が続く。ノイズはより粗くなり、シャドウ領域でより目立つようになる。
- 拡張ISO 25,600)は、ソニーやキャノンのカメラ とほぼ同じに見えるが、ノイズが多く、シャドウはそれほど深くない。
- ISO 51,200 は避けるべきだ。
- X-Trans センサーはよりフィルムグレインのようなノイズ パターンを生成すると言われているが、ほとんどのカメラで見られるパターンノイズと違いはない。
- ただし、色の忠実度が強みだ。ISOが上がるにつれて、グリーンやマゼンタへのシフトは見られず、シャドウの領域に明らかなバンディングもない。
- 実写でISO 12800は完全に実用的だ。
- 解像度がどれだけ向上したかを考えると、非常に見事な性能だ。
ダイナミックレンジ:
- 意図的に露出を4段下げた画像を復元した。すると、ほとんどペナルティなしで復元することが出来た。
- ただし、よくあることだが、ハイライトはシャドウの回復よりも見劣りする。
- ハイライトは3段分でも白飛びや一部の色の損失で画質が劣化する。ソニーはこの点で約半段優れている。
画質・仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- 4Kフレーム レートは依然として60fpsだ。最高のスローモーションを得るにはFullHDを使う必要がある。
- F-log2により、編集時の柔軟性が高まり、とても綺麗な映像を撮影することができる。
- 改善された手振れ補正は、大きなメリットとなる。
- 静止画と動画の設定をすばやく変更できるのが便利だ。
- 新しいフジノンレンズは動画撮影に適している。
- X-H2のパフォーマンス (8K、より優れた冷却機構) には匹敵しないが、それでも動画撮影で非常にしっかりとしたカメラである。
総評
X-T4から素晴らしい進化を遂げている。新型センサーは間違いなくずば抜けた性能だ。旧型の2600万画素も好きだが、このセンサーの方が断然好きだ。キヤノンのEOS R7に搭載された3200万画素センサーと比較しても、優れた解像度を実現している。このカメラの画質は間違いなく素晴らしい。
個人的にカメラの操作性を楽しんでいるが、膨大な量の物理的なコントロールに少し戸惑うかもしれない。オートフォーカスは引き続き改善されているが、より洗練されたものを見てみたかった。ソニーとキヤノンはこの点で優れている。また、バッファが非常に浅いため、アクションカメラとしては限界がある。しかし、他のほとんどの撮影は見事にこなせるだろう。
最大の競争相手は、より深いバッファ、優れたメモリーカード、8K動画、バリアングルモニタ、高解像度EVF、フルサイズHDMIポート、3.5mmヘッドフォン、縦位置グリップや冷却ファンなどの多くの機能を追加したX-H2とるだろう。X-T5との価格差はわずか300ドルだが、もしあなたの仕事に動画撮影やスポーツ写真が含まれているなら、300ドルを追加する価値は十分にある。
X-T5はよりコンパクトで、一部の人が好むレトロな外観と操作体系のカメラだ。しかし、他のブランドでフルサイズに移行することが賢明な選択かもしれないかどうか疑問に思わせるのに十分な価格帯だ。
- 長所:
・新型4000万画素センサーが良好
・クラシカルな美しい外観
・強化された手振れ補正
・AI技術を駆使した優れたAF
・競争力のある連続撮影速度
・小型
・30万回耐久メカシャッター
・優れたバッテリーライフ
・優れたディテール
・優れたISO性能
・優れたダイナミックレンジ
・6K 30pを含む動画仕様
・膨大なカスタマイズ
・しっかりとしたエルゴノミクス
・レンズラインアップ- 短所:
・チルトモニタに戻ってしまった
・瞳AFは依然としてソニーやキヤノンほどではない
・競合他社ほどシームレスではないトラッキングAF
・バッファが詰まりやすい
・タッチ操作が限定的
・Qメニューのナビゲーション
とのこと。
X-H2と同じセンサー・プロセッサを搭載しつつ、従来よりも小型軽量化したX-Tシリーズの最新モデルですね。X-H2との価格差を考慮するとスペック差(連続撮影能力・動画機能)が目立つものの、比較して小型軽量で、連続撮影を重視しない静止画撮影であれば程よい性能・携帯性と感じるかもしれません。AFは従来機と比べて改善しているものの、キヤノンやソニーの最新モデルほどではない模様。このあたりは今後のファームウェアアップデートでどれほど改善するのか気になるところですねえ。タッチ操作のシステムや応答性についても言及していますが、個人的には富士フイルムのタッチFn機能は便利と感じています。
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