Lesnumeriquesがニコン「Z fc」のレビューを公開。悪くないパフォーマンスのカメラながら、Z 50とほぼ同じで驚きに欠けると言及。しかし、何よりもデザイン重視のカメラであると評価しています。
Lesnumeriques:Test Boîtier hybride APS-C Nikon Z fc : le design avant tout
カメラの紹介:
- 2021年の夏に正式発表した、Dfを彷彿とさせるレトロデザインのカメラだ。
- Z 50と同じ2090万画素 APS-Cセンサーを使用しており、実質的に中身はZ 50であり、革新的な機能は何もない。
- 競合カメラは数多く、手ごろな価格の「X-T30」や手ぶれ補正を搭載した「X-S10」「OM-D E-M10 Mark IV」、現代的なデザインの「α6400」「LUMIX G9」などが存在する。もちろん「Z 50」も検討すべき候補となるだろう。
要するに競争の激しいセグメントだ。ビルド・外観:
- Z fcの外観は全く新しいデザインではない。成功を収めたフィルムカメラ「FM2」が大きく影響している。そして80年代のスタイルを取り込みつつ、現代のVlog指向も考慮したデザインとなっている。
- ヴィンテージデザインらしく、いくつかのコントロールダイヤルを搭載し、それらしいテクスチャのカバーを張り付けている。ぱっと見は確かにフィルムカメラだ。
- カメラ上部は金属製だが、他の部分はプラスチック製だ。特にシャッターボタンが気になる。
- シャッターボタンの近くにはF値を表示するモニタがある。
- SD UHS-IIに対応するメモリカードスロットはカメラ下部のバッテリースロットの隣にある。
- Z fcはUSB-Cに対応しており、給電によるカメラの動作に対応している。
- Z 50と比較してフラッシュがなくなっている。
携帯性:
- 記載なし。
グリップ:
- グリップやサムレストはまったくない。
- コンパクトレンズを装着した場合は問題無いが、大きなレンズを使用する場合はすぐに問題と感じるだろう。この際は129ユーロのエクステンショングリップに追加投資する必要がある。
操作性:
- ISOダイヤルは一回転しないため、ISO感度を高感度側から下げる場合は元に戻す必要がある。さらに、この操作はロックボタンを押しながら操作しなければならない。これには慣れが必要だ。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- ファインダーはZ 50と同じ236万ドットだ。
モニター:
- Z fcはバリアングルモニタを搭載した初のZカメラだ。Vlogや動画撮影には実用的なシステムである。
メニューシステム:
- 記載なし。
オートフォーカス:
- Z 50と同じEXPEED 6を搭載しており、近い結果を期待できる。
- Z DX 16-50mm F3.5-6.3 VRを装着した場合、Z 50と同様の応答性が見られた。これは優れたパフォーマンスだ。
- 追従AFは完璧と言えないが瞳検出はとても良好だ。しかし、検出性能はキヤノンやパナソニックがより優れている。
連写性能:
- 初期設定では毎秒8枚しか連写できず、ニコンの言う11コマ秒には達していない。
- RAW出力を14bitから12bitへ変更することで公称値の11コマ秒を実現できた。
高感度ISOノイズ:
- Z 50と同じセンサーを搭載している。
- 常用感度はISO 100?51200だ。ISO 204800まで拡張可能である。
- JPEGはとても高品質で、ISO 1600からノイズによる劣化が始まる。
- ISO 3200ではノイズ処理の影響が強くなり、この値を超えると使いにくい画質となってくる。これはカメラのノイズ処理が強すぎるということも原因だ。
- RAWならばISO 3200でもディテールは豊富である。
- ISO 12800は修正ができないノイズが発生する。
ダイナミックレンジ:
- 厳しい露出でもこのAPS-Cセンサーは圧倒されない。
- 低照度ー3アンダーから回復するとノイズが発生するものの、良く抑えられているように見える。
- -5アンダーの回復でノイズはさらに増えるが、画質の劣化は完全ではない。ただし、バンディングノイズが発生する。
- ハイライトの許容範囲は+1.3オーバーまで。これを超えるとディテールが損失し、色情報も失われ始める。
- ハイライトの回復力は我々が評価したZ 50と大きな違いが見られる。
仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- 4K 30pに対応している。Full HDで60fps・120fpsまで利用可能だ。
- 動画の連続撮影は30分に制限されている。
- 動画に高度な機能は無い。
- センサーシフト式の手ぶれ補正には対応していないが、電子式の手ぶれ補正を利用可能だ。
- 動画の画質は市場最高とは言えない。きちんとしているが、コントラストのアクセントが少し強すぎる。この点で富士フイルムのほうが自然な描写だ。
- 動画のオートフォーカスはとても効果的だ。最速ではないが、とても滑らかに動作する。
総評
Z fcは、フィルムカメラの懐かしさを思い出させてくれる素敵なカメラだと思う。オートフォーカスの反応はよく、画質も良好だ。残念ながら、Z 50のリブランディングとしては、「驚き」に欠ける。決して悪いカメラではないが、個性を出すにはあまりにも古典的なカメラだ。その意味では、センサーシフト式の手ぶれ補正がないのはが残念だ。
とはいえ、Z fcは成功しており、素敵で魅力的なハイブリッドとして位置づけられている。
- 長所:
・レトロデザインの成功例
・バリアングル式モニタ
・応答性の高いAF
・瞳検出AF
・給電撮影- 短所:
・エルゴノミクス
・底部のSDカードアクセス
・手ぶれ補正なし
・ISO感度が限定的
とのこと。
確かにZ 50とほぼ同じカメラパフォーマンスですが、そのぶん価格帯もほぼ同じなので、特に批判すべき点とは言えないかもしれませんね。外観重視でZ fc、実用性重視でZ 50と好きな方を選ぶことが可能です。とは言え、この開発リソースを他に回して欲しかった、という意見もありそうですが…。
個人的にZ fcのデザインは好みで、このカメラを1台予約しています。(28SEキットなので10月1日にGET予定)外装の質感は実際に撮手に取ってみないと分かりませんが、金属パーツとプラスチッキーな部分が入り混じり、評価が分かれている印象あり。実際、Lesnumeriquesは富士フイルムなどと比べて少しチープさを感じているように見えます。私は元X-T30ユーザー、現X-S10ユーザーなので、実際にZ fcが手元に届いたら質感を見比べてみたいと思います。
画質はZ 50とほぼ同じながら、どうもハイライトの評価が芳しくない模様。2つのカメラに関するダイナミックレンジの違いは聞いたことが無いので、Lesnumeriquesのテストにミスがあったのか、それとも本当に何かチューニングが施されているのか気になるところ。
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