Lesnumeriquesがキヤノン「EOS-1D X Mark III」のレビューを公開。ファインダーAFはニコン「D6」に少し及ばずも、高性能なライブビューAFや強力なバッファと動画機能を備え、優れたハイブリッドカメラと評価しています。
強力なライブビュー性能
Lesnumeriques:Test Canon EOS-1D X Mark III : le dernier des grands reflex??
- カメラの紹介:
・ニコン「D6」は「D5」のマイナーチェンジ感が強かったが、キヤノンは「EOS-1D X Mark III」でエルゴノミクスを強化し、20コマ秒の連写に対応し、優れたAFシステムを導入している。さらにボディ内で最大5.5KのRAW動画を記録可能だ。- ビルド・外観:
・プロフェッショナルやハイアマチュア向けのカメラだ。前モデルと比べて構造は非常に良く似ている。このため、従来機の操作に慣れたフォトグラファーが混乱することは無いだろう。
・数少ない変更点の一つは、AF-ONボタンがタッチパッド操作に対応したことだ。ジョイスティックとは別に、AFポイントを素早く変更することができる。基本的なエルゴノミクスを損なうことなく、非常に効果的なコントロールだ。
・デュアルCFexpress Bカードスロットを搭載。5.5K RAW動画の内部記録も可能な超高速メモリーカードに対応している。
・ミニHDMI、RJ-45イーサネット、USB-C、フラッシュ同調、マイク、ヘッドホン、リモコン用のポートを搭載している。このようなカメラに期待されているものは全てあるさらにWi-Fiアダプターを装着したり、GPS/Wi-Fi/Bluettothも搭載している。
・バッテリーはUSB-C経由での充電に対応していない。専用の充電器を使う必要があるのは唯一の欠点だ。- 携帯性:
・縦位置グリップ一体型の大きく重いカメラだ。悪天候や衝撃に耐えるように設計されている。- グリップ:
・記載なし。- 操作性:
・30以上のコントロールがあり、3つのスイッチ、2つのジョイスティック、3つのモニターを搭載している。
・ほぼ全てのボタンをカスタマイズできるので、機能を把握する必要がある複雑なカメラだ。
・操作性を理解できたら素晴らしい道具となることだろう。ライバルである「D6」はここまで高度なエルゴノミクスではない。
・一部のボタンはバックライト付きだ。- 手ぶれ補正:
・ボディ内手ぶれ補正は搭載していないが、クロップで利用できる電子手ぶれ補正を搭載している。- ファインダー:
・視野率約100%をカバーし、0.76倍の非常に快適なファインダーである。- モニター:
・タッチパネルに対応した210万ドットモニタだ。メニューシステムも滑らかに操作することが出来る。
・モノクロのサブ液晶モニタを2種類搭載している。- メニューシステム:
・記載なし。- オートフォーカス:
・ファインダーAFはニコンと比べて僅かに劣るが、非常に応答性の高いカメラだ。
・ライブビューを使用する場合は非常に高いパフォーマンスを発揮する。
・低照度でのライブビューAFが非常に高速だ。
・応答性の高い一眼レフに違いないが、優れたハイブリッドカメラである印象が強い。
・ニコンと異なり、ファインダーでの瞳追従が可能だ。
・ライバルのD6とは異なり、ファインダーでの瞳追従が可能だ。従来の被写体追従性に満足している。ライブビューモードにすると、顔検出AFが可能となる。- 連写性能:
・メカニカルシャッターはニコン「D6」が14コマ秒、ソニー「α9 II」が10コマ秒に留まる中、このカメラは16コマ秒での撮影が可能だ。
・電子シャッターを使うと20コマ秒まで連写速度が向上する。
・実写では15fpsの連写速度を実現しており、ほぼ公称値通りだと思われる。電子シャッター使用時は公称値通りの20コマ秒だ。
・バッファを目詰まりさせることはほぼ不可能だ。バッファが詰まる前にメモリーカード容量が一杯となるだろう。- 高感度ISOノイズ:
・同じセンサーを使用している「EOS R6」よりも高感度ISOがより幅広くなっているl
・JPEGはISO3200までハイクオリティだ。それを超えるとJPEG出力時に強いノイズリダクションの影響が見られる。
・ISO12800でノイズ感が強くなり、ISO102400は画質が劣化し過ぎてまともな結果を得ることが出来ない。
・ISO感度ノイズはD6とほぼ同じだ。- ダイナミックレンジ:
・-4EVまできちんとした復元が可能だ。
・ハイライトは+1.6EVまでである。- 仕上がり機能:
・記載なし。- 動画:
・静止画重視のカメラだが、最大5.5Kの12Bit RAW動画に対応している。フル画角の60fpsで内部記録が可能だ。
・RAW動画は1分で18GBの非常に重いフォーマットだが、キャリブレーションやレタッチの自由度は高い。同時に別のカードスロットへ4K出力も可能だ。
・クロップ無しでDCI 4K 4:2:2 10Bitの60fps撮影が可能だ。
・ただし、4K 60pではAFを使用することが出来ない。AF対応は30fpsまでである。
・60pでAFを利用したい場合、Full HDかクロップした4Kを使用する必要がある。総評
EOS-1D X Mark IIIは興味をそそられるカメラだ。プロ向けの縦位置グリップ一体型カメラだが、ふたを開けてみるとハイブリッドカメラとして非常に完成度が高いことがわかる。たとえニコン「D6」がAFの応答性と画質でわずかに上回っていたとしても、高性能スポーツ一眼レフであることに変わりはない。さらに、これまでのデジタル一眼レフにはない、連写性能を実現している。
また、このジャンルに特化したハイブリッド機としては一歩先を行く、デジタル一眼レフカメラで最も充実した動画モードを実装している。まだミラーレスカメラを導入できない人にとって、汎用性と信頼性は期待以上のものだ。
ミラーレスを受け入れる人にとって、EOS R5とR6は特にオートフォーカスが魅力的と感じるはずだ。もしも他社への乗り換えも厭わないのであれば、ソニーがα9 IIを用意している。
長所:良好な仕上がりのボディ・防塵防滴・完璧でカスタマイズ可能なエルゴノミクス・タッチパネル・デュアルCFexpress・20コマ秒連写・無制限バッファ・応答性の良い顔検出・ISO6400までのノイズ耐性・高い機能性の動画・5.5K RAW動画
短所:大きく重い・ボディ内手ぶれ補正なし・固定された液晶モニタ・ノイズリダクションが強いJPEG・ファインダーでの低照度AF・4K 60pはAF非対応・給電非対応
とのこと。
Mark IIと比べて中身が別物となっている最新モデルですね。ファインダーAFはセンサーを一新して専用の処理エンジンを導入。自社開発の2000万画素センサーは5.5K 60p RAW動画出力や20コマ秒の静止画連写に対応。処理エンジンは最新版「DIGIC X」を導入してC-RAWやHEIF出力、CFexpress Bカードなどに対応しています。さらにワイヤレス接続はWi-FiとBluettothを内蔵し、引き続きGPSも利用可能です。価格設定は高くなりましたが、その分、高機能なカメラに仕上がっています。
新ギミックとしてAF-ONボタンは赤外線センサーを内蔵し、トラックパッドのように利用できるのは便利。静電容量式のタッチパネルでは無いため、手袋を装着したまま使用できるのも強みと言えそうです。
ファインダーAFは専用センサーに加えてAF/AE用の処理エンジンを導入していますが、それでも「D6」に軍配が上がる模様。しかし、ライブビューAFがファインダーAFと同様まで性能が向上し、特に低照度AFではファインダー以上のパフォーマンスを発揮。さらに電子シャッター時に20コマ秒の連写速度で撮影可能と考えると、優れたハイブリッドカメラと言えそうです。
最大のライバルは最近登場したソニー「α1」でしょうか。5000万画素と高解像ながら30コマ秒の高速連写に対応しています。AFはα9譲りで、さらに高性能化している驚異のミラーレスカメラ。CFexpress Bカード機ほどのバッファ性能ではありませんが、大部分の撮影では問題ない程度のバッファ性能を備えています。
電子ファインダーですが、倍率が0.9倍と大きく、パネルは944万ドットと前代未聞(α7S IIIと同じですが)の高解像。リフレッシュレートは240fpsを利用可能で、ブラックアウトフリーの連写にも対応しています。
キヤノンのライブビュー連写はレックビューの問題が残っており、ファインダー時ほど滑らかに被写体を確認することが出来ません(高速連写時)。この辺りを改善するまではソニー「α9 II」や「α1」と同等のライブビュー性能とは言えないかも。EOS R5やEOS R6も同様の傾向が見られるので、この辺りは今後の課題。次世代モデルでは、この問題を積層型CMOSセンサーやグローバルシャッターで改善するのか気になります。個人的にAFシステムやエルゴノミクスはキヤノンのほうが好みなので頑張って欲しいところ。
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