CAMERA LABSがカールツアイスの交換レンズ「ZEISS Otus 1.4/100」のレビューを掲載しています。
高価だが間違いのない光学性能
- 距離情報はカメラ側に伝わらず、位置に関係なく0.01mの値となる。電子接点があるにも関わらず、ニコンの一部機能は無効化してしてしまう。NIKKORやシグマは距離情報が伝達される。さらにシグマのキヤノン版はレンズプロファイルも利用可能だ。
- 絞り羽根はニコンやシグマと異なりメカ絞りとなる。
- フォーカスリングは315度の回転角を持つ。このようなレンズとしては理想的な回転角だ。フォーカシングではいくらかブリージングが目に付き、無限遠と1.15mでは倍率が11%変化する。これはとても顕著で動画撮影では好まれないかもしれない。
- 絞りリングはF11まで半段ごとにクリックストップが備わっている。デクリック機構は無いため動画撮影には不向きだ。
- 鏡筒は戦車のような金属製のため、寒い環境ではレンズが非常に冷たくなる。
- 大口径レンズとして軸上色収差は避けられない問題だが、実写では極僅かで目立たない。比較してNIKKORは僅かに目立つ色収差、シグマとOtus 85は色収差が発生しない。
- Z 7にマントすると、DXフレーム四隅は絞り開放から良好なパフォーマンスだ。像面湾曲は見られない。
- DXフレームではシグマがダントツ、FXフレームではOtus100>SIGMA>Otus85となる。NIKKORは4本の中では最もソフトだ。
- 遠景でもF1.4からフレーム全体で優れたシャープネスを発揮する。ただし、周辺減光が強く影響するため、四隅パフォーマンスが悪化している。遠景でもフレーム全体のシャープネスは4本の中でベストとなる。NIKKORはやはり最もソフトだ。
- 周辺減光はF1.4で2EV以上の非常に強い減光が発生する。
- コマ収差はシグマよりも目立つが、NIKKORやOtus85よりも良好だ。
- ボケは滑らかで玉ねぎボケの兆候は無い。玉ボケはシグマやNIKKORよりも良好だ。
- ボケ描写でシグマを打ちのめすのは難しいが、Otus100も悪く無い。
- 逆光耐性はシグマと同程度だ。
Otus 1.4/100は間違いなく優れたレンズだ。絞り開放からフレーム全域でシャープな上にボケはとても柔らかい。軸上色収差は良好に補正され、レンズ外装は戦車のように頑丈で洗練されたデザインだ。
とは言え、5,000ドルの価格設定はシンプルに評価できる値付けではない上、大きく、重いレンズ(シグマ105mm F1.4ほどでは無いが)だ。そして、100mm F1.4の浅い被写界深度のマニュアルフォーカスは315度の回転角を持つフォーカスリングを持ってしても難しい。そして手ぶれ補正を搭載していないため、ニコンやソニーのミラーレスにマウントして利用するのが良いだろう。
- AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED:全域で優れたシャープネスと僅かな色収差、信頼性の高いAFを利用可能だ。光学性能はシグマやツアイスほどでは無いが、比較的スリムでフィルター径は82mmとなっている。Otusと比べて350g軽量で半値である。
- 105mm F1.4 DG HSM Art:今まで見た中で最も美しいボケ描写のレンズだ。Otusより200g重いが、光学性能はNIKKORを上回りOtusに匹敵する。そしてAF対応レンズだ。価格はOtusより遥かに安いが、価格を抜きにしても私はシグマを選ぶだろう。
長所:全域でシャープ・軸上色収差が少ない・コマ収差が少ない・良好なボケ
短所:MF限定・非常に高価・大きく重い・防塵防滴無し
とのこと。
価格差ほどの性能差は無いようですが、作例を見る限り非常に良好なレンズですね。お手頃価格でハイパフォーマンスなシグマの存在が悩ましいところですねえ。CAMERA LABSのThomas氏は「価格抜きにシグマ」と高く評価しているようです。
ツアイスらしいパンチの効いた描写に高い光学性能を求めるのであればOtus 1.4/100となるのかもしれません。光学性能だけでは評価が難しく、今後数多く掲載されるであろうユーザー作品などを確認して購入をじっくり検討するのが良さそうです。
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