シグマ「16mm F1.4 DC DN」富士フイルムXマウント用のレビュー第三弾を公開。今回は恒例の地点から遠景撮影時の解像性能をチェックしています。
16mm F1.4 DC DN X-mountのレビュー一覧
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー 完全版
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.5 ボケ編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.4 諸収差編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.2 解像チャート編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.1 外観・AF編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2022-05-06 晴天 微風
- カメラ:X-S10
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:絞り優先AE ISO160
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC 現像
・シャープネスオフ
・レンズプロファイルオフ
テスト結果
中央は絞り開放からシャープで絞りによる改善はほとんど見られない。敢えて言えばF1.4で僅かにコントラストが低いくらいだ。周辺部も中央と同じくらいシャープだが、コントラストが改善するのはF4周辺とやや遅めである。ベストを尽くすのであればF5.6~F8まで絞りたい。隅は周辺減光の影響を除けば、まずまず安定した結果をF1.4から得ることができる。ただし、解像性能やコントラストを追求するのであれば、やはりF5.6~F8まで絞ったほうが良好な結果を期待できる。全体的にF11まで良好な結果となり、F16で回折の影響が強くなる。
中央
F1.4で僅かなコントラスト低下があるものの、基本的にはほぼピークの性能が得られる。F2まで絞ると僅かに残っていた軸上色収差が解消してピークを迎える。その後はF8付近までほぼ同じ結果を得ることが可能だ。よく見るとF4~F5.6付近にピークの山があるように見えるが、少なくとも2600万画素のX-S10で違いは目立たない。F11~F16で回折の影響により少しずつ性能が低下する。
周辺
中央とほぼ同じ画質だが、F1.4付近は周辺減光の影響が少し暗く写る。絞ると軸上色収差の影響は改善するが、僅かに残る倍率色収差は残る。細部のコントラストがしっかりするのはF4前後で、絞れるのであればF5.6~F8まで絞ったほうが良好な結果を期待できる。
四隅
周辺減光でF1.4の結果がかなり暗くなるが、像の流れは目立たず、16mm F1.4の隅としては良好な結果と言える。絞ると画質が徐々に向上し、F5.6付近でピークを迎える。中央や周辺部ほど良くないが、まずまず良好な結果だ。倍率色収差の影響も目立たないように見えるが、これはLightroomでオフに出来ない自動補正が効いているようだ(RAW Therapeeで現像する少し目に付く)。
まとめ
Artラインのように「絞り開放から隅までキレッキレ」は期待しないほうが良い。あくでもこのレンズは4万円ポッキリで購入できるContemporaryラインだ。大部分はF1.4から十分シャープだが、コントラストのピークは少し先にあり、周辺部や隅の画質をピークに持っていくためには十分に絞る必要がある。絞った際のパフォーマンスは良好だが、同社の「18-50mm F2.8 DC DN」と比べて顕著な違いは無いように見える。
16mmの画角が好きで、絞りを開けて被写界深度が浅いボケを楽しみ、絞って風景撮影に使うのであれば、手ごろな価格でおススメしやすい一本と言える。それに、絞り開放の解像性能は完璧とは言えないものの、他に選択肢があるわけでも無い。そう考えると無難な選択肢である。