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シグマ 18-50mm F2.8 DC DN RF レンズレビューVol.4 諸収差編

シグマ「18-50mm F2.8 DC DN RF mount」のレビュー第四弾を公開。諸収差について、全体的に完璧な補正状態とは言えないものの、概ね問題の少ない状態に抑えられているように見えます。

今回の簡易的なまとめ

このレンズで収差が問題になるとすると、標準域以降の軸上色収差とズーム両端の歪曲収差。軸上色収差が影響するシーンは限られていますが、歪曲収差は常時補正しておくのがおススメです。幸いにもボディ内、(プロファイルに対応する)RAW現像ソフトで補正することが可能。過度に心配する必要はありません。全体的に見て、この価格帯のAPS-C用大口径ズームレンズとしては健闘しているのかなと。

If aberration is an issue with this lens, it is axial chromatic aberration after the standard range and distortion at both ends of the zoom. Although axial chromatic aberration affects only a limited number of scenes, it is recommended that distortion be corrected at all times. Fortunately, it can be corrected in the body and with (profile-compatible) RAW development software. There is no need to worry excessively. Overall, I would say that this lens is a healthy performer for an APS-C large-aperture zoom lens in this price range.

18-50mm F2.8 DC DN RF mountのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

18mmの接写時は像面湾曲が非常に目立つものの、より重要となる遠景では良好な補正状態です。絞り開放から大きな問題はなく、遠景のパンフォーカスが得られます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

18mm

レンズ補正をオフにすることで若干の色収差を確認できます。影響は軽微で自動的に補正可能。特に問題無い程度。

24mm

18mmよりも若干良好ですが、ゼロではありません。

28mm

24mmと同じ。

35mm

広角側と比べると色収差がほぼゼロに抑えられています。全く問題ありません。

50mm

35mmと同じく全く問題無し。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

18mm

ピント面前後に極わずかな色づきがあるものの、これが実写で目立つことは非常に稀。問題視する必要は無いと思われます。

35mm

広角側と比べると色収差がやや目立つようになります。極端な高コントラストの状況で色づく可能性あり。F4まで絞っても残存しており、F5.6なで絞ると少し改善します。

50mm

35mmと同じく少し目立ちます。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

18mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

ミラーレス用レンズでしばしば見られる極端な歪曲収差ではありませんが、レンズ補正をオフにすることで顕著な樽型の歪曲収差が発生。風景撮影では軽い魚眼効果が得られる許容範囲内かもしれませんが、直線が重要となるシーンでは補正必須。

24mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

18mmとは打って変わって非常に穏やかな樽型歪曲。未補正でもほぼ問題ない水準に見えます。

28mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

広角側とは異なり糸巻き型の歪曲収差。穏やかな収差で影響は軽微。

35mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

28mmとは異なり、強めの糸巻き型歪曲収差。かなり目立つので補正必須のシーンが多いと感じるかもしれません。

50mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

35mmと同じく強めの糸巻き型歪曲。広角側の樽型を含め、レンズ補正は常時適用がおススメ。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

全体的に完璧な補正状態ではなく、わずかに影響が残存しています。顕著な収差ではなく、1段絞ると改善します。点光源の再現性が極めて重要という撮影以外で問題となることは少ないでしょう。

球面収差

18mm

特に大きな問題は無いように見えます。

50mm

広角側と比べるとボケの縁取り付近における光量が変化しています。若干の影響があるものの、これが顕著に目立つことは少ないと思われます。

まとめ

このレンズで収差が問題になるとすると、標準域以降の軸上色収差とズーム両端の歪曲収差。軸上色収差が影響するシーンは限られていますが、歪曲収差は常時補正しておくのがおススメです。幸いにもボディ内、(プロファイルに対応する)RAW現像ソフトで補正することが可能。過度に心配する必要はありません。接写時の像面湾曲は別の問題点ですが、このようなシーンで全体のパンフォーカスが重要となる撮影シーンは限られています。ただ、近距離でのアーカイブ撮影には適していません(と言っても広角側のみですが)。コマ収差も完璧な補正状態とは言い難いですが、大部分の撮影で問題ない程度に抑えられていると思います。全体的に見て、この価格帯のAPS-C用大口径ズームレンズとしては健闘しているのかなと。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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