このページでは一眼カメラ用交換レンズ「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」のレビューを掲載しています。
Index
レビュー
仕様の確認
56mm F1.4 | 45mm F1.2 PRO | 75mm F1.8 | |
レンズ構成枚数 | 6群10枚 | 10群14枚 | 9群10枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 (円形絞り) | 9枚(円形絞り) | 9枚(円形絞り) |
最小絞り | F16 | F16 | F22 |
最短撮影距離 | 0.5m | 0.5m | 0.84m |
最大撮影倍率 | 0.13倍 | 0.1倍 | 0.1倍 |
フィルターサイズ | φ55mm | Ø62mm | Ø58mm |
最大径 × 長さ | ø66.5mm x 59.5mm | Ø70×84.9mm | Ø64 x 69mm |
質量 | 280g | 410g | 305g |
耐候性 | 簡易防滴 | 防塵防滴 | ー |
コンパクトな大口径単焦点レンズとしてはオリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」に次いで焦点距離が長いレンズです。
このレンズと似た焦点距離では60mm F2.8のレンズが2本あっただけなので、このレンズが面白い選択肢となることは明らかでしょう。
明るいレンズながら、サイズは75mm F1.8よりも小さく軽量。価格は実売4万円チョイとかなりお手頃な価格設定となっています。
外観・操作性
箱・付属品
箱
シグマグローバルビジョンシリーズ(SGV)らしいシンプルでスタイリッシュなデザインです。
簡潔で分かりやすいですが、レンズマウントの表記は小さいので注意。
付属品
Contemporaryシリーズと言うこともあって、パッド付レンズケースは付属しません。
説明書・保証書・レンズフード・前後のキャップのみ同梱されています。
レンズ外装・フード
外装
公式ウェブサイトで特に言及はされていませんが、フォーカスリング周辺は金属製でマウント部周辺がプラスチック、レンズマウントが真鍮製。
ビルドクオリティはとてもしっかりとしており、実売4万円程度のレンズとしては満足以上の結果を感じることでしょう。
16mm F1.4、30mm F1.4と共通するクオリティです。
フォーカスリング
約23mm幅のゴム製。程よく抵抗感があり動作は滑らか。一般的な操作速度で回転させると、ピント距離全域を移動するのに540°ほどの回転角が必要です。
レンズフード
プラスチック製の円形フードが付属。形状は「30mm F1.4 DC DN」に付属するフードと似ていますが、異なるものです。
前玉・後玉
フィルター
フィルター径は55mm。67mmの16mm F1.4や52mmの30mm F1.4とはサイズが異なるので気を付けたい。
前玉
やや大きめの凸レンズ。フラットなレンズペンではメンテナンスし辛いので私は早々に保護フィルターを被せてしまった。
最新Art、Sportsラインのレンズと異なりフッ素コーティングは施されていないっぽい。メンテナンス性、保護性の観点からフィルター付けておいたほうが良いかもしれない。
GFやPENなど小型マイクロフォーサーズカメラと組み合わせる時にレンズフードを付けたくない時にもフィルター装着がおススメ。
後玉
前玉と同じくフッ素コーティングは施されていないので汚さないように注意したい。
レンズと鏡筒の間の隙間は極僅かであり、粉塵の混入はとても少ないはず。
マウント
真鍮金属製。マウント周囲には簡易防滴用のシールが施されている。防塵防滴仕様では無いので過酷な環境での使用はほどほどに。
カメラとの組み合わせ
35mm判換算で112mmとなる画角の大口径レンズと考えるととてもコンパクト。携帯性が苦にならない中望遠レンズは素晴らしい。
バランスが良いのはグリップのあるE-M1 Mark IIやG9だが、PENやGFなどに装着してもバランスは悪く無い。
オートフォーカス
他のF1.4 DC DNと似たフォーカス動作。遅くは無いが爆速でもない。静かでそこそこ速いオートフォーカス。
コントラストAFのLUMIX機と像面位相差AFのOM-Dと比べると、像面位相差AFを使ったほうがやや速いように感じられる。
マニュアルフォーカス
前述したように、フォーカスリングの実質的な回転角はとても大きいのでピント面の微調整は容易。LUMXやOM-Dで自動拡大にも対応している。
遠景解像
中央
開放のみ少し色被りしているのは色収差では無くホワイトバランスが暴れているためだと思われる。
絞り開放からとても良好で安定した解像性能だが、他の絞り値と比較するとエッジがやや甘い。
F2まで絞るとキレが増し、安定した描写はF5.6まで続く。F8で僅かに回折の影響が出始め、F11、F16で徐々に解像感が低下する。
中央ハイレゾ(F1.4:F4)
8000万画素ハイレゾでは絞り開放とピーク時の切れ味の差が分かりやすい。
四隅
細かく見なければF1.4から完全に実用的な画質。後述する周辺減光の影響を排除するとしたら2段は絞るべき。
F2.8からF11までは画質に大きな変化はない。
四隅ハイレゾ(F1.4:F4.0)
絶対的な解像感で言えば差があるものの、8000万画素ハイレゾで目立った描写の甘さが感じられないのは凄い。
接写解像(周辺部)
撮影距離・倍率
最短撮影距離、最大撮影倍率はマイクロフォーサーズ用レンズと比べて考えると平凡。「寄れない」と感じることは少ないが、「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」のように常軌を逸した接写性能を持つレンズと比べると見劣りしてしまう。
接写解像
F1.4から使えなくも無いが、1段絞るとさらに安定する。
F2.8でピークとなり、F5.6まで持続する。そしてF8から徐々に低下し、F16はF1.4より僅かに甘い。
後ボケ
滲みを伴いとても柔らかいボケ。これは良いレンズだ。
これらレンズのボケも良好だが、後ボケの質感に関してはこのレンズがおススメ。
多くのレンズと同じく、2段絞ると柔らかさが消失するのでレンズの味を活かすならF1.4~F2あたりを使いたいところ。
軸上色収差・ボケ質
ボケ質
後ボケが滲みを伴う柔らかいボケであるのに対し、前ボケはやや硬調。
積極的に後ボケを取り入れ、騒がしくなりそうな前ボケは避けたほうが良いかも。
軸上色収差
F1.4では僅かに残存しているが、F2まで絞ると大部分で解消する。
滲む後ボケは色づきが少ないものの、やや硬調な前ボケは色づきが目立つ。つまり色収差の点からしても騒がしい前ボケは避けるべき。前ボケを入れる場合は絞り開放では無くF1.8~F2あたりまでは絞ったほうが安定する。
玉ボケ
マイクロフォーサーズからするとイメージサークルが大きいAPS-C用レンズ。ソニーEマウントで使うよりも口径食の影響が小さいのは自明の理。
F1.4の大口径中望遠レンズと考えると口径食による影響は確かに小さい。玉ボケの変形はゼロでは無いが、F2まで絞るとほぼ円形となる。
この作例では分かりづらいかもしれないが、非球面レンズの影響と思われる玉ねぎボケを僅かに確認できる。影響は小さいので実写で目に付くことはまずない。
コマ収差・光条
コマ収差
絞り開放でも影響は極僅か。強烈な光源であるイルミネーションで影響が小さいことから、天体や夜景などはほぼ問題とならないはず。
APS-C用のイメージサークルを備えているレンズの利点(収差が大きくなるのはマイクロフォーサーズのフレーム外)と言えるかもしれません。
光条
残存するコマ収差はF2まで絞ると解消し、F4~F5.6にかけて徐々に光条が生成され始める。F8まで絞れば綺麗な線状となる。
周辺減光
LUMIXのシェーディング補正をオフにするとF1.4で少し減光が目立つものの、1/3段絞れば改善が見られ、半段以上でほぼ解消する。
明るいレンズとしてはとても良好。
逆光耐性
レンズフード無しでもなかなか良好。シンプルなレンズ構成が功を奏しているのかゴーストの発生は控えめでフレアも僅か。ポートレートレンズとして強烈な逆光下で撮影するならば、中程度のゴーストが発生する場合はあるかもしれない。
レンズフードを装着した一般的な撮影であればまず問題は無いはず。
競合レンズ考察
使用経験があるレンズは「☆」
- ☆M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO:F1.2と明るく、画角が広く、後ボケはより滲みやすい。さらに防塵防滴、MFクラッチ機構、L-Fn、高速AFと足回りも完璧。比較的サイズが大きく、価格は倍以上と言うことを除けば中望遠でベストな選択肢。
- ☆M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8:56mm F1.4よりコンパクトで全体的な光学性能も良好。ただし、遠景解像で像面湾曲の影響が大きく、フレーム全域の解像性能は見劣りする。
- ☆M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro:マイクロフォーサーズでは貴重な望遠マクロレンズ。似たような焦点距離だが使い勝手はまるで違うので本レンズと併せて持っても問題無いはず。ただし、遠景解像は45mm F1.8と同じく像面湾曲が目立つ。
- ☆M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8:コンパクトな望遠単焦点としては面白い選択肢。絞れば切れ味抜群だが、開放の色収差は56mm F1.4よりも多め。そして後ボケがやや硬調なのが気になるところ。面白い選択肢だが、描写は56mm F1.4のほうが好み。
- LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.:使ってことが無いのでノーコメント。防塵防滴仕様では無いが、F1.2と明るく、光学手振れ補正を内蔵しているのがメリット。
- ☆LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.:大口径中望遠レンズながら、撮影倍率0.2倍(35mm判換算で0.4倍)と面白いほど寄ることができるレンズ。比較的お手頃な価格設定で小型ながら光学手振れ補正を搭載しているのでLUMIX GF・GMシリーズとの相性は抜群。
- ☆60mm F2.8 DN:価格/光学性能を考慮した際のコスパは異常。ただし、F2.8と単焦点にしては少し暗く、56mm F1.4が登場した今となっては悩ましい選択肢。個人的にはより高価でも56mm F1.4がおススメ。
- VoightLander NOKTON 42.5mm F0.95:競合レンズの中では最も明るい上に接写性能が高い。絞り開放の解像性能は球面収差の影響が大きいものの、その分ボケはかなりソフトで幻想的。電子接点を持たないフルマニュアルのため、他のレンズとは一線を画した使い勝手。
まとめ
マイクロフォーサーズでボケ重視の写真を撮りたいのであればおススメできるレンズ。
特に目立った欠点が無いばかりか、解像性能やボケ質は特筆すべき価値のあるパフォーマンスを持っている。これで実売4万円チョイと言うのだから安い。
光学手振れ補正が搭載されていないため、GFやGMなど小型LUMIX機では使い辛いかもしれないが、他の最新マイクロフォーサーズ機ならどれもボディ側に手振れ補正が搭載されているので大きな問題とならないはず。
Points
- 大口径ながら小型軽量
- 簡易防滴
- しっかりとした作りの鏡筒
- 快適な動作のオートフォーカス
- 絞り羽根の動作音が少し大きい
- 開放からフレーム全域でシャープな遠景解像
- 開放から安定した接写時の解像性能
- 最短撮影距離や撮影倍率は平凡
- 滲みを伴う滑らかな後ボケと少し硬調な前ボケ
- 僅かな軸上色収差とゼロに近い倍率色収差
- 口径食の影響が少ない玉ボケ
- 影響の少ないコマ収差
- 光条はF8以上で綺麗な形状
- コストパフォーマンスは抜群
- 周辺減光はF1.4でのみ目立つ
- 良好な逆光耐性
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