七工匠「7Artisans AF 27mm F2.8」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズ外装の作りや操作性、AFの動作をチェック。価格を考慮すると良好な作りで、AFもキビキビと動作します。
簡易的なまとめ
製品提供を受けている
このレビューは焦点工房より無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
レビュー内容の簡易的なまとめ
TTArtisanのような絞りリングこそないものの、良好な作りでAFもキビキビと動作します。個人的には(光学性能を抜きにしても)TTArtisanよりこちらがおススメ。質感の良い金属鏡筒や滑らかに回転するフォーカスリング、シンプルながら見栄えの良いデザインなどなど。
7Artisans AF 27mm F2.8のレビュー一覧
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー 完全版
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.5 諸収差編
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.4 ボケ編
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.3 遠景解像編
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.2 解像チャート編
- 七工匠 7Artisans AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.1 外観・操作・AF編
Index
まえがき
7Artisans2本目となるソニーEマウント用のAFレンズ。APS-Cに対応した中口径のコンパクトな標準レンズで、フルサイズ判換算で40.5mmに相当する画角の焦点距離の単焦点。リバースエンジニアリングのサードパーティ製レンズですが、USBポート経由でファームウェアアップデートが可能。互換性の最適化に利用することができます。
- 公式ウェブサイト
- 焦点工房
- 情報収集ページ
- 発売日:2024.4.25
- 初値:¥22,500
- マウント:E
- フォーマット:APS-C
- 焦点距離:27mm
- レンズ構成:5群6枚
- 開放絞り:F2.8
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根:6枚
- 最短撮影距離:0.3m
- 最大撮影倍率:不明
- フィルター径:52mm
- 手ぶれ補正:-
- テレコン:-
- コーティング:不明
- サイズ:φ64×48mm
- 重量:172g
- 防塵防滴:
- AF:STM
- その他:USBポート
- 付属品:
5群6枚のシンプルな光学設計で、フォーカシングは全群繰り出し式を採用。構成は銘匠光学「TTArtisan AF 27mm F2.8」とよく似ていますが関連性は不明。公開しているMTFが全く異なる曲線なので、単に似たように見える光学系というだけなのかもしれません。
価格のチェック
販売価格は2万円前後。TTArtisanよりも手頃な価格で導入しやすいパンケーキAFレンズ。
外観・操作性
箱・付属品
白を基調とした箱の外装にはレンズのスペックや図面がプリントされています。AF専用ではなく、MFレンズ「II」世代あたりからこのようなデザインに切り替わっています。レンズ本体のほか、前後キャップとUSBケーブルが付属。レンズフードはありません。
外観
外装はフォーカスリングを含めて総金属製のしっかりとした作り。凝った意匠ではありませんが、肉厚な金属外装の質感はシグマIシリーズやソニーF2.5 Gとよく似ています。外装の表示は「7Artisans」のロゴを除けば全てプリント。高級感を醸し出すポイントではありませんが、価格を考慮すると妥協できる範囲内。
TTArtisan AF 27mmと比べると少し厚みがあるものの、質感は7Artisansがより良好。ただし、絞りリングの操作を好む場合、7Artisansにはそれがありません。
ハンズオン
レンズ重量は172g。サイズを考慮するとやや重めですが「金属とレンズの塊」を実感でき、かつ実用に問題ない程度に抑えられています。
前玉・後玉
全群繰り出し式の光学系は鏡筒の奥深くに隠れています。フードは付属していないものの、特に問題ありません。フォーカシングにより光学系が前後に移動しますが、すべては鏡筒内で簡潔するため全長に変化なし。前方の52mmフィルターソケットに保護フィルターを装着することで、実質的なインナーフォーカスレンズとして使用可能。
金属製レンズマウントは3本のビスで本体に固定。防塵防滴には非対応のため、マウントにシーリングはありません。後玉はマウント付近にありますが、フォーカシングで前方へ移動するものと思われます。周囲は不要な光の反射を防ぐために黒色で塗装。やや光沢が残っている点が気になるものの、大きな問題は無いように見えます。
フォーカスリング
スリットのある小さな金属製フォーカスリングを搭載。かなり強めの”粘り”があるため、回転操作には少し力が必要です。重めの操作ではあるものの、滑らかなに回転し、レンズの応答性は良好。バイワイヤでフォーカスモーターを動かすタイプですが、特に問題はありません。リニアレスポンスで再現性が良く、ピント全域のストロークは約135度と使いやすい。ただ、ピント位置が0.8m周辺でピント移動がギクシャクする領域があります。近距離や遠景では特に問題なし。
ケラレ耐性
厚みのあるフィルターを2枚重ねても問題ありません。ドーム型のフードを装着してもケラレることはありません。
装着例
α7R Vに装着。APS-C用のレンズなので非常にコンパクトで、α6700などと組み合わせても全く問題ないサイズ。
AF・MF
フォーカススピード
全群繰り出し式ですが、キビキビとしたフォーカス速度を実現。近距離の動体撮影にベストな選択肢ではないものの、大部分の撮影に利用できるポテンシャルを備えています。AF-SとAF-Cで挙動に大きな差はありません。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
全群繰り出し式のフォーカス構造らしく、ピント位置により画角がリニアに変動します。このような動作を好まない動画撮影には不適と言えるでしょう。
精度
今のところα7R Vとの組み合わせで大部分は問題なし。稀に無限遠でピントの山を掴みそこなうことがあるくらい。また、初期のファームウェアでは絞り動作時の露光で強制リセット(接続が瞬断するような動作)がありましたが、最新のファームウェアを適用すると問題は解消。
MF
繰り出し式のステッピングモーター駆動ですが、滑らかな動作。細かいピント合わせ時に(0.8m周辺以外で)ギクシャクする様子は無し。
まとめ
TTArtisanのような絞りリングこそないものの、良好な作りでAFもキビキビと動作します。個人的には(光学性能を抜きにしても)TTArtisanよりこちらがおススメ。質感の良い金属鏡筒や滑らかに回転するフォーカスリング、シンプルながら見栄えの良いデザインなどなど。敢えて言えばサードパーティ製(しかもリバースエンジニアリング)としての互換性。ファームウェアアップデートで改善する可能性があるため、何か不具合を感じたら更新情報をチェックしたほうが良いでしょう。肝心の光学性能はというと、これが思いのほかよく写ります。周辺減光や逆光耐性は弱点と感じますが、小型軽量で2万円の価格設定から予想できる範囲内に抑えられている印象。気軽に使えるAPS-C用の小型単焦点を探しているのなら面白い選択肢になると思います。
購入早見表
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作例
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