通常、カメラのレビューはじっくり検証するので時間がかかります。そこで今回はソニー「ILCE-7RM5」で色々と検証中のデータをレビューに先駆けて公開。α7R V購入の参考になれば幸いです。
ILCE-7RM5のレビュー一覧
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- ソニー α7R V ILCE-7RM5 の連写性能とローリングシャッター性能を確認する
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 の各種RAWを確認する
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RAW
ファイルサイズ
- 非圧縮RAW:122MB
- ロスレス圧縮RAW L:70.9MB
- ロスレス圧縮RAW M:43.5MB
- ロスレス圧縮RAW S:34.4MB
- 圧縮RAW:64.8MB
同じ構図、露出でRAW撮り比べた結果、ファイルサイズは圧縮RAWが非圧縮RAWのほぼ半分、ロスレス圧縮RAW Lも圧縮RAWに近い水準までファイルサイズを抑えているようです。通常の環境でRAW現像できない(Adobe Lightroomが2022年11月時点で非対応)のため、どれほど画質差があるのか不明ですが、ロスレス圧縮RAW Lのバランスが良さそうです。
非圧縮・ロスレス圧縮・圧縮で差が生じるのはダイナミックレンジだと思われるので、Adobe Camera RAWが対応したら比較検証予定です。
解像度
- 非圧縮RAW:9504×6336(約6000万画素)
- ロスレス圧縮RAW L:9504×6336(約6000万画素)
- ロスレス圧縮RAW M:6240×4160(約2600万画素)
- ロスレス圧縮RAW S:4752×3168(約1500万画素)
- 圧縮RAW:9504×6336(約6000万画素)
非圧縮RAW・ロスレス圧縮RAW L・圧縮RAWは同じ解像度で出力可能。細部を確認しても、解像度に有意な差は見られません。広いダイナミックレンジの必要がなく、解像度のみ重視する場合は圧縮RAWで問題なさそう。一方でロスレス圧縮RAW M/Sは当然ながら解像度が低下するので注意が必要です。
ISO感度ノイズ
ロスレス圧縮RAW M/Sは低解像となることでISO感度ノイズ的に有利となるか?という疑問の下、ISO 6400で露出を固定した状態で撮り比べました。結果は以下の通り。
ダウンサイズしたロスレス圧縮RAW M/Sを見ると、通常の非圧縮RAW・ロスレス圧縮RAW L・圧縮RAWと比べてノイズが低減しているように見えます。これは画素を間引いて読みだしているというよりも、センサー読み出しは通常のRAWで、そこからダウンサイズ時することでノイズが抑えられていることを意味しているのかもしれません。劇的に改善するわけではありませんが、カラーノイズが少ないのでRAW現像しやすそう。このあたりは、今後もう少し突っ込んで検証してみたいと思います。
ローリングシャッター
詳しい説明は省きますが、現行のコンシューマー向けカメラのセンサーは上から下へ順次読み出していく方式(ローリングシャッター)を採用しています。メカニカルシャッターも電子シャッターもこの点で同様ですが、非積層型CMOSセンサーの場合はメカニカルシャッターと比べて電子シャッターのスキャンレートが圧倒的に遅いです。このため、高速移動する被写体を電子シャッターで撮影するとゆがむ可能性があります。当ブログではお馴染みのUSB扇風機をフレーム一杯に収めて撮影した結果が以下の通り。
ご覧のように、RAW出力に関係なく、ローリングシャッターの影響は一定に見えます。このことから、RAW形式が電子シャッターのスキャンレートに影響していないことが分かります。ロスレス圧縮RAW M/Sのように、解像度を下げた場合も同様。やはり、RAW M/Sはいわゆる「オーバーサンプリング」のような状態で、Lサイズのデータを撮影後にMサイズ・Sサイズに圧縮している可能性が高そうに見えます。
今回のまとめ
α7R IVの重い非圧縮RAW(圧縮RAWの場合はダイナミックレンジが少し狭くなる)に悩まされていた方には朗報の高解像センサーモデルです。このカメラのロスレス圧縮RAWのポテンシャルは今のところ未確認ですが、名前通り「ロスレス」だとすると、非圧縮RAWのパフォーマンスそのままで、圧縮RAWに近いファイルサイズとなります。大量に撮影する人はストレージの節約につながることでしょう。
通常、6000万画素もの解像度が必要でない場合は2600万画素・1500万画素までダウンサイズが可能。解像度はもちろん低下しますが、ISO感度ノイズが緩和するので、低照度やスポーツ、野生動物の撮影時などは面白い選択肢となるかもしれません。この場合、連続撮影枚数にどのような影響があるのかは今後の課題にしたいと思います。個人的にはα7R IIIまでの「4200万画素」相当の選択肢があるとなお良かったです。
ローリングシャッターの緩和も期待していたのですが、残念ながらこれは変化なし。6000万画素センサーは6000万画素センサーなので、あきらめてメカニカルシャッターを利用しましょう。これ以上の高速連写と電子シャッター性能が必要であればα1が待っています。
参考情報
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