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オリンパスM.ZUIKO 12-100mm F4 PRO&12-200mm F3.5-6.3 実写比較レビュー

このページでは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3」の外観や実写における比較レビューを掲載しています。

スペック編

仕様の確認

焦点距離 12 - 100mm 12-200mm
レンズ構成 11群17枚
DSAレンズ 1枚
・非球面レンズ 3枚
・EDレンズ 5枚
・スーパーHRレンズ 2枚
・HRレンズ 1枚
11群16枚
・非球面レンズ3枚
スーパーEDレンズ2枚
・EDレンズ2枚
・スーパーHRレンズ1枚
・HRレンズ2枚
防滴処理 防塵防滴機構 防塵防滴機構
フォーカシング方式 ハイスピードイメージャAF(MSC) ハイスピードイメージャAF(MSC)
画角 84°- 12° 84°?6.2°
最短撮影距離 0.15m(Wide)
0.45m(Tele)
0.22m(wide)
0.7m(tele)
最大撮影倍率(35mm判換算) 0.6倍相当(Wide)
0.42倍相当(Tele)
0.2倍相当(wide)
0.46倍相当(tele)
絞り羽枚数 7枚 7枚(円形絞り)
最大口径比 F4 F3.5
最小口径比 F22 F22
レンズ内手ぶれ補正機構 あり(VCM機構)
5軸シンクロ手ぶれ補正時 6.5段補正
-
フィルターサイズ ?72mm ?72mm
大きさ 最大径×全長 Ø77.5 x 116.5mm ?77.5×99.7mm
質量 561g 455g
同梱品 レンズフード(LH-76B)
レンズキャップ(LC-72C)
レンズリアキャップ(LR-2)
レンズケース(LSC-0914)
取扱説明書
保証書
レンズフード(LH-76C)
レンズキャップ(LC-72D)
レンズリアキャップ(LR-2)
取扱説明書
保証書

レンズ構成

片や8.3倍、片や16.6倍の超高倍率ズームレンズですが、レンズ構成は17枚・16枚、特殊レンズは12枚・10枚と似ています。価格を考慮すると12-200mmは贅沢なレンズ構成と言えそうです。他社の高倍率ズームレンズと見比べて、どちらも特殊レンズの構成枚数が多く高度な収差補正が期待できます。

防塵防滴

どちらも防塵防滴仕様のレンズですが、12-100mm F4 PROは12カ所、12-200mmはぱっと見たところ7カ所の密封シーリングが施されています。

手ぶれ補正

12-100PROのみ光学手ぶれ補正を搭載しています。

オリンパスのボディ内手ぶれ補正と協調することで非常に強力な手ぶれ補正効果を得ることが可能。しかし、レンズ単体での補正能力も非常に強力でボディ内手ぶれ補正の無いLUMIX機でも快適に使うことができます。

12-200mmは35mm判換算400mmのズームレンズであるにも関わらず光学手ぶれ補正は非搭載。100mm以降はF6.3となるためシャッタスピードとISO感度のバランスは非常に重要となってきます。

例えば、400mmで手ぶれ補正が無い場合は1/400秒以上のシャッタスピードが理想的と言われています。仮に望遠側で4段分の補正効果が見込めるとすると、1/25秒のシャッタースピードでも安定して撮影することが出来ます。ISO感度で言えばISO6400を使わざを得ないところ、ISO400で済むことになります。画質面での差は大きいと言えるでしょう。

価格の確認

約13万円の12-100PROと約9万円の12-200mmの差額はおよそ4万円。決して小さな差額では無く、マイクロフォーサーズ用の単焦点レンズが1?2本は買えてしまうほど。

「利便性を重視して画質やボケは単焦点で」と考え12-200mmをチョイスするのもありでしょう。一方で12-100PROはズームレンジ全域で単焦点並の解像性能を発揮するため、多少高くともコストパフォーマンスは非常に良好。

悩ましい2択ですが、似ているようで全く異なる特性を持つので以下を読み進めていきながら自分の撮影スタイルに沿ったレンズを買うのがおススメ。

外観編

質感

まず第一に金属鏡筒とプラスチック鏡筒の質感の違いが歴然。12-200mmも悪く無い作りのレンズですが、PROレンズのクオリティを前にしてしまうとやはり差を感じます。

フォーカスリング・ズームリングはどちらもゴム製カバーを使わないオリンパスらしい仕上がり。白化する心配が無いので長く付き合うことが出来そうです。

重量は560gと450gで差は100g。少し12-100PROが重いかな、と言う印象。

直径は同じですが、レンズの縮長は12-100PROのほうが1.5cmほど長いので思ったよりも収納性や携帯性に差出ます。(特に垂直にカメラバッグへ収納する時など)

操作性

ズームリング

どちらもズームレンジ全域の回転角は90度ほど。左手で掴んでグイっと一回操作すれば広角端から望遠端まで素早くズーム可能です。

12-100PROは25mmまでの回転角が大きく微調整しやすい一方、12-200mmは12-100PROの倍の領域を同じ回転角でカバーしていることもあり微調整はしづらい。

フォーカスリング

どちらもフォーカスバイワイヤのフォーカスリングを搭載。

12-100PROのマニュアルフォーカスクラッチを使わない限り特に操作性に違いはありません。

前玉・後玉

前玉

どちらも72mmのフィルタースレッドを採用。前玉の大きさは同程度となっています。

12-200mmはレンズ前面にモデル名やフィルター径が印字されているため、フィルターを装着すると白字がフィルター面に反射して写りこんでしまう可能性があります。

どちらもフッ素コーティングを施している記述は確認できませんが、12-100PROは比較的新しい「Z Coating Nano」により逆光耐性を強化しています。12-200mmはコーティングについて特に記述はありませんが、従来通りの「ZERO Coating」を施しているのではないかと思います。

後玉

どちらも後玉は固定されておりズーミングにより前後へ移動することはありません。

レンズマウントはどちらも4本のビスで固定されています。

製造国が印字されており、12-100PROは中国、12-200mmは日本で製造されている模様。中国工場は既に閉鎖されているため、12-100PROに関して今後のロットはベトナム製になると思われます。

レンズキャップ

12-200mmは従来のヘアライン加工が施されたレンズキャップでは無く、シボ加工に変化しています。

面白いことに、12-200mmはレンズキャップも日本製。

レンズフード

形状はよく似ていますが、12-100PROのLH-76Bはロックボタン付きレンズフード。LH-76Cはロックボタンが無いレンズフードとなっています。

互換性があるためPROのフードを12-200mmに装着することも可能。その逆もしかり。

面白いことに12-200mmはレンズフードも日本製。

マニュアルフォーカスクラッチ

12-100PROのみフォーカスリングをスライドさせることでMFを利用できる「マニュアルフォーカスクラッチ」を備えています。

ミラーレス用レンズで実際にピント距離目盛に合わせてフォーカシングできるレンズは珍しい。操作性はとても良好でフォーカスバイワイヤと感じさせない滑らかさで動作します。

光学手ぶれ補正とL-Fnボタン

前述した通り、12-100PROのみ光学手ぶれ補正を搭載。側面のスイッチでON/OFFすることが出来ます。

下部の「L-Fn」ボタンにはボディ側と同じようにボタンカスタマイズで機能を割り当てることが可能。

オートフォーカス

どちらも小型軽量なフォーカスレンズで静音・高速なフォーカスを実現しています。

E-M1Xと組み合わせる限りでは差を感じないパフォーマンスで利用可能。

ただし、12-200mmはほぼ全域で12-100PROより暗いレンズであり、特に100mm以上では1段以上も差が発生してしまいます。低照度や低コントラストな状況でAFの正確性や速度に影響が出る場合もあります。

実写編

遠景解像 12mm

三脚に固定してそれぞれのレンズで撮影。

撮影後に「Adobe Lightroom Clasicc CC」の初期設定にてRAW現像したものをクロップ。

中央

違いが分からない程度に開放からどちらも良好。コントラストの違いも感じられないため、どちらのレンズで撮影したかを確認するにはEXIF情報に頼るしかない。

12-200mmが16.6倍ズームであることを考えると予想以上に良かった。

12-200mmのほうが多少色収差が目立ち、ディテール・コントラストの再現性も悪い。と言っても、予想していたよりも良好で、実写で大きくクロップしない限りは大きな違いを感じない。

遠景解像 100mm

中央

広角端と比べるとパフォーマンス差が大きい。

色滲みと僅かなハロっぽさから低コントラストとなっている12-200mmと比べ、12-100PROは驚くほど良好な解像性能を維持。開放は僅かに解像性能が低下しているものの、F5.6まで絞ると広角端と遜色ない程シャープになる。

12-200mmもF8まで絞ることでシャープネスが僅かに改善するものの、12-100PROの領域にまで到達することは無い。

フレーム端の領域ではさらに差が顕著となる。

開放から完璧に実用的な解像性能を発揮する12-100PROと比べると、12-200mmはF8-F11まで絞って使いたいと感じるパフォーマンス。それでも12-100PROの領域に到達することはありません。

遠景解像 100mm(JPEG版)

Lightroom Clasicc CCで現像するよりも、ボディ内現像のJPEG出力で12-200mmの画質に(多少)改善傾向が見られる。

12-100PROとまではいかないものの、ガッツリとクロップしない限りは12-200mmでもかなりまともな描写。

JPEG出力の絞り開放

ウェブサイトで使う程度ならば違いは全く感じません。

ボケ 12mm

細かいこと言わなければほぼ同じ描写。

12-100PROは四隅が口径食でケラレが発生しているので、敢えて言えば12-200mmのほうが良好。また、F3.5における玉ボケの輪郭が滲んで少し柔らかい描写に見える。

12-200mmの「F3.5」と12-100PROの「F4」におけるボケ量の差はほぼ無いに等しい。

ボケ 100mm

100mmでは「F4」と「F6.3」となるためボケ量に微妙な差が生じている。4/3段ほど絞り値に差があるので場合によってはもう少し目立つかもしれない。

ボケ質に関してはどちらもまずまず良好。非球面レンズの影響は軽微で特に厄介と感じるほど玉ねぎボケの傾向はありません。

逆光耐性

今回のテストでは「Nano Z Coating」が施されている12-100PROのほうが良好でした。ゴーストの種類はそれぞれ特徴があり、使いやすさには個人差が出るかも。

12-100PROの場合、絞った時に発生する紫色のゴーストが度々厄介となる。12-200mmは典型的なレンズフレアが絞り開放から発生する場合もありますが、割とこちらのほうが扱いやすい印象。

マクロ

仕様上では広角側であまり寄れない12-200mmも実際に使ってみると12-100PROと同程度まで接写可能。望遠側の撮影倍率も同程度。

望遠側はワーキングディスタンスを開けやすいのでマクロ撮影に便利。

画質的には12-100PROの100mmが最も良好、次いで12-200mmの望遠端、どちらも広角マクロは周辺部が色収差などでやや甘い。

12-200mm F3.5-6.3の「200mm」有用性は?

12-100PROと12-200mmの比較に焦点を置いてしまい、200mmのサンプルをいくつか撮り忘れていました。申し訳ない!

遠景解像 @F6.3(JPEG)

E-M1Xの2000万画素を使い切る解像性能では無いものの、12-200mmの100mmで撮影してクロップするよりも200mmまでズームして撮影したほうが良好な解像性能なのは確か。

感触としては12-100PROの100mmクロップと12-200mmの200mmズームで同程度の解像性能。

ボケ @F6.3(JPEG)

圧縮効果の恩恵は大きく、同じ被写体サイズで背景を吹き飛ばしたいと思ったら100mm F4より200mm F6.3のほうが有効。

35mm判換算で400mmの画角で背景を調整するのは難しいですが、暗いズームレンズでこのような浅い被写界深度を楽しめるのはありがたい。

中距離で後ボケを入れると僅かに騒がしくなるものの、高倍率ズームにしてはかなりまともな描写と言えるでしょう。

今回のおさらい

12-100mm F4 IS 12-200mm F3.5-6.3
価格 高価 比較的安価
質感 金属製・とても良好 プラスチック製・良好
防塵防滴 とても良好 良好
手ぶれ補正 異次元の効き目 非搭載
操作性 とても良好 良好
サイズ 大きい やや大きい
AF とても高速 とても高速
遠景解像 広角 とても良好 とても良好
遠景解像 望遠 とても良好 まずまず使える
遠景解像 超望遠 使えない 絞ればまずまず
ボケ 広角 まずまず良好 まずまず良好
ボケ 望遠 良好 良好
ボケ 超望遠 使えない 面白い
逆光耐性 平凡 平凡
マクロ 凄い寄れる
100mm 画質良
凄い寄れる
200mm 画質並+

光学性能は間違いなく12-100PROのほうが優れ、強力な手ぶれ補正やレンズ鏡筒の堅牢性を加味すると価格設定以上の価値を感じることが出来る。凄まじい安定感のあるレンズ。ただ、望遠側100mmの画角・圧縮効果が不十分と感じる時もしばしば。あと微妙にサイズが大きく、E-M1系やG9系以外の小型ボディで使うにはバランスが悪い。

一方で12-200mmは望遠側の画質で多少劣るものの、広角側のパフォーマンスは12-100PROに肉薄しています。さらに200mmの画角や圧縮効果を楽しむことができ、オートフォーカスは同程度。200mm側の暗さ(F6.3)や手ぶれ補正非搭載である点には注意が必要なものの、利便性の高いズームレンズ。12-100PROとの差額で単焦点レンズなどを買い揃えるのもアリ。

どちらが良いか?と言う問いに答えるのは非常に難しいですが、最終的にはカバーエリアの画質に妥協できるかどうか。12-200mmの画質(解像性能・手ぶれ補正非搭載の影響からくるISO感度の上昇スピード)に妥協できるなら、汎用性が高く安価な12-200mm。

妥協なき、パーフェクトに近い解像性能が欲しいなら、価格差やサイズ・ズームレンジを抜きに迷わず12-100PROを選ぶべき。

購入早見表

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