DxOMarkのセンサースコアでダイナミックレンジ性能がほぼ互角なα7 IIIとNikon D850を「-3EVアンダーで撮影、後処理で3EV増感」した画像を比較してみました。
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α7 IIIとD850のシャドー持ち上げを比較する
おさらい
Photons to Photosより。
ご覧のように最低感度におけるダイナミックレンジは僅差。
拡張ISO感度 Lowによる柔軟性はD850に軍配あがるものの、手持ち撮影における優位性はα7M3が僅かに良好。
デュアルゲインISOによる回路の切り替えはA7M3がISO600前後、Nikon D850がISO400前後となっている。
DxOMarkによる実効ISO感度の差はほぼ存在しないので今回はこの差を割愛してチェック。
(ダイナミックレンジ差がダイレクトに「シャドーの持ち上げ耐性」の差となるわけではありません。しかし、DxOMarkの測定で”両機のハイライトの粘りがほぼ同じ結果”なので、今回の場合はダイナミックレンジ差がシャドー持ち上げ耐性と同義と言えそうです)
撮影状況
- ミニスタジオで光量一定
- 三脚使用
- α7 III+FE70-200mm F4 G OSS 80mm
- D850+SP70-200mm F2.8 Di VC USD G2 80mm
- 撮影時に適正露出から-3EVアンダーで調整
- RAWファイルをLightroom CCにて現像
- 露出補正で+3EV
- 現像時にカラーノイズ低減をオフ
ISO100
どちらもノイズフリーで3EV程度のデジタル増感なら問題無く使用可能。
4600万画素の有効画素数を持つNikon D850が2400万画素のα7 IIIより高解像であるのは自明の理。
しかし、輝度ノイズがα7 IIIよりも多く有効画素数差ほどの恩恵は受けていないように見える。
ISO800
両方でカラーノイズが発生。
Nikon D850は高解像でディテールがより良好だが、やはりノイズ量はα7 IIIよりも多い(同じ拡大率で)。このため、白色やパステル系の色味に影響が出やすくなるかもしれない。
ISO1600
カラーノイズの差がさらに大きくなった。
ディテールの再現性はほぼ同等でD850の4600万画素という恩恵は感じられない。4600万画素を最大限活用するためには低感度の維持が重要事項で間違いない。
ISO3200
カラーノイズの差はISO1600と同程度でどちらもノイズ量が増加。
ここまでくるとディテールの再現性はα7 IIIがD850の4600万画素を上回っている。スポーツやアクションなど高感度ISOの使用が多く、逆光でアンダーとなった表情を回復させるつもりなら高画素機より低画素機が使いやすいかもしれない。
面白いことに、両機ともファイルサイズがISO100と比べて2倍ほど大きくなっている。α7 IIIが20MB→40MB、D850は30MB→80MBだ。このファイルサイズ差は無視できる量では無く、同じハードディスクに写真を2倍収納できると考えると2400万画素であるメリットは大きい。
今回のまとめ
汎用性のα7 IIIと低感度番長のD850
α7 III ILCE-7M3は尖ったスペックでは無いものの、高感度まで安定した描写性能。
さらにボディ内手振れ補正により手持ち撮影時に低感度を維持しやすい点も特徴。レンズ光学補正のみのNikon D850は広角や標準レンズ使用時にシフトブレや回転ブレに弱かったりするのでボディ内手振れ補正ほど低感度を維持できない。
一般的な手持ち撮影から望遠ズームレンズと組み合わせてスポーツや野生動物の撮影に向いている。
一方でNikon D850は圧倒的な解像性能とトップクラスのダイナミックレンジを低感度域で両立できる点が素晴らしい。
最大限にセンサー性能を引き出すならば三脚の使用、もしくはフラッシュや自然光を利用して低感度の維持を意識する必要がある。もちろん適正露出でシャドーやハイライトの回復が必要無ければ高感度域でも2400万画素機を圧倒する性能を持ち合わせている。野鳥撮影などでトリミング前提の撮影であれば高画素機のトリミング耐性は低画素機で得難いメリットだ。
しかし風景撮影などで「RAW現像の柔軟性」を重視するのであれば低感度での使用を目指したい。これは今後登場するであろうNikon D750後継モデルとD850の関係性でも言うことが出来るポイント。
購入早見表
α7 III ILCE-7M3
センサーを含めた諸性能を考慮すると割安なスタンダード一眼。
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