外観
全体像
昨年末に登場したキヤノンEFマウント用の最新望遠ズームレンズ。
高速AFで話題となった「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」に次いでナノUSM駆動を採用した2本目のモデルです。
2005年に登場した先代「EF70-300mm F4-5.6 IS USM」からレンズ構成を一新。そしてナノUSMや液晶表示パネルなど比較的新しいキヤノンテクノロジーを採用している。
フルサイズ対応望遠ズームとしては一般的なサイズと重量だ。現行のフルサイズEOSと組み合わせた場合のバランスは良好。
デザインは「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」と似ている。金属マウントにプラスチック鏡筒、そしてスイッチは鏡筒に埋没しているので外観を損ねていない。
高級感がある訳ではないが、極端にチープな印象もない。この価格帯のキヤノン純正レンズとしては健闘しています。
ズーミング・F値の変動
当然のことながらズーミングによる鏡筒の伸縮が発生する。内筒のガタツキは時に感じられない。
開放F値は変動タイプ。焦点距離による推移は以下の通り
F4 | F4.5 | F5 | F5.6 |
70-77mm | 78-105mm | 106-175mm | 176-300mm |
ご覧のように、旧型と比べてレンズの暗くなるスピードがやや早い。
と言っても僅か1/3段の差ですのであまり気にならない。
コーティング・前玉
今回も前玉にはフッ素コーティングが不採用。
メンテナンス性に気を配るのであればEXUSやQuintなどのプロテクトフィルターを買っておきたいところ。
特にレンズフードが付属しないため、前玉保護の必要性は高い。
フィルター径は「EF35mm F2 IS USM」や「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」と同じサイズの67mm。広角レンズやマクロレンズでも使えるので汎用性があるフィルター径。ただし、Lシリーズのズームは77mmを採用しているレンズが多い。
一般的なピント距離・被写界深度指標の表示が出来る他、手振れ量や焦点距離の表示が可能。
ピント距離は使うとして、焦点距離を表示する必要性があるのだろうか?
カメラ側と連動して電子水準器を表示できると面白いのですけどねぇ。
面白いことにAPS-C一眼レフに装着すると35mm判換算の焦点距離が表示される。
なるほど、これなら焦点距離を表示する意味合いがあるかもしれません。
液晶表示らしく柔軟性がある点はグッド。
MODEボタンを長押しすることで背景色と文字の色が反転する。
シチュエーションによって使いやすい配色を選ぶと良いでしょう。設定や配色はカメラの電源をオフにしても記憶される。
バックライトが点灯する機能はないため暗所での視認性は悪い。
実写
広角側(70?135mm程度)では像高(フレーム中央から外側に向かって)8割まで良好だが、それよりも外側がやや甘い。
しかし、中間域や望遠側300mmは絞り開放からフレーム全体で安定した描写。安価な望遠ズームにありがちな「望遠側における描写の甘さ」は感じられない。
お値段の割にはなかなか良いのではないでしょうか。
バリアングルモニタを搭載するEOS 6D Mark IIと組み合わせるとローアングルの撮影もらくちん。
デュアルピクセル CMOS AFとの相性は良好。オートフォーカスの1フレームの大きさから小さな被写体を捉えようとすると前景にピントが引っ張られる傾向がある。
また、広角端より開放F値が1段暗くなる望遠端では暗所におけるパフォーマンスが低下する。どちらにせよカメラ側の問題であり、このレンズのパフォーマンスとは言えない。
接写性能はこのクラスの望遠ズームレンズとしては並。
草花や小動物相手の場合は近寄りきれないと感じるかもしれません。
オートフォーカスが速いため、微風に揺れる草花をサーボAFで追いかけるようなシーンでは有利。
動体撮影に対するレンズのポテンシャルは十分。
後はカメラ側のAF性能やサーボ特性の調整次第と言った感じ。フォーカス速度は十分速いため「ピント優先」で着実に成功コマ数を増やすのも一つの手。
風景撮影でも問題無く活用できる。
RAW形式で出力すると四隅の倍率色収差が若干目立つ。しかし、現像ソフトで適切に補正すると特に気にならない程度。
望遠側の解像力が良好なので、高画質で圧縮効果を活かした写真を撮ることが出来る。後述するがデジタルレンズオプティマイザを適用すると解像感が飛躍的に向上するのでオススメ。
逆光性能は特に不満が無い。フード無しでプロテクトフィルターを付けて運用する人が多いはずなので、プロテクトフィルターの逆光性能次第かも。
飼い慣らされた猫を撮るには画角が狭すぎた。
野良猫だと使いやすそうですが、その場合にはボケ量が足らないと感じるかも…。
オートフォーカスが速いので、スナップ撮影に使えないこともない。レンズがやや大きいですが…。
手ぶれ補正の効果はキヤノンが主張する通り、4段分ほどの効果を得ることができる。ミラーレス一眼の強烈な補正効果と比べるとやや物足りなさを感じますが、一眼レフの望遠ズームとしては良好な補正効果。
ボケに関して軸上色収差の問題は皆無。
前後のボケは硬すぎず、さわがしくもない。前後でボケの癖に偏りもないので使いやすいボケ味と言う事が出来るでしょう。
デジタルレンズオプティマイザを活用しよう
抜群の解像性能や色収差補正を持つレンズではありませんが、キヤノン純正の画像編集ソフト「Digital Photo Professional 4」の「デジタルタルレンズオプティマイザ」を使う事で描写が大化けする。
デジタルレンズオプティマイザとはなんぞや?と書き始めると長くなるので以下のサイトを参照してください。
デジタルレンズオプティマイザの効果を確認するために他社製ソフトで現像した場合と比較。
色味を合わせるのは面倒なので解像感についてのみチェック。
ご覧のように一目瞭然。
デジタルレンズオプティマイザの適用度をMAXにすると細部のもやっと感が全くない。
ローパス効果が低減したのかレンズの甘さが解消されたのか言及できませんが、効果があるのは確か。
ベイヤー配列っぽさも無くなり、ペンタックスのリアレゾやオリンパスのハイレゾに近いものを感じる。
すごいぞキヤノン!
ただし、DPP4でデジタルレンズオプティマイザを適用する場合に処理が結構重い。これをカメラ内で適用できるEOS 5D Mark IVはすごいですなぁ。
EOS Kiss X9でF16まで絞って撮影。全体的に回折の影響で細部がもやっとした写りとなっている。
しかし、デジタルレンズオプティマイザを適用して現像すると回折の影響は綺麗サッパリ解消する。被写界深度優先で絞りまくっても良さそうだ。
まさに魔法のような補正技術。
安価なズームレンズでここまで描写するならばLレンズ必要ないかもしれない。むしろ安ズームだからこそデジタルレンズオプティマイザの恩恵を受けやすいのかもしれません。
解像力が増す分、描写が硬調となるためポートレートやゆるふわ撮影には不向き。
風景やマクロ撮影には頼もしい機能。なるほど、これは純正レンズでEFマウントを揃えたくなるなぁ(DLOは純正レンズしか対応していない)。
遠景の風景撮影でもご覧の通り。岩肌の緻密な描写の違い明らか。
他社製ソフトのシャープネス処理で解像感を出そうとするとシャドーの輝度ノイズが目立ってしまう。しかし、デジタルレンズオプティマイザを使った場合は圧倒的にノイズの目立ちが少ない(僅かながらノイズは発生する)
ベイヤーっぽさが緩和される点からニコンやソニーに対する強みと言えるかもしれません。ペンタックスはリアルレゾリューションシステムという独自の合成撮影によって解像感を高める機能を搭載しています。しかし、ワンショットで”それっぽく現像できる”キヤノンのデジタルレンズオプティマイザは素晴らしい。
まとめ
解像度 | ? | DLOで補完可能 |
ボケ味 | このクラスとしては良好 | |
機能性 | 効果的なIS・高速AF・非防塵防滴 | |
価格 | 純正ズームとしては安価 | |
総評 | 強くオススメできる |
より安価な社外製レンズ「SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD Model A030」や「APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO」と比べると高価ですが、カメラメーカー純正の望遠ズームとしては比較的安価。ニコンのAF-Pでも7万、ソニーのGレンズは10万円を超えている。
そして安いわりに良く写り、そしてオートフォーカスは静音で高速。解像感が物足りない場合はデジタルレンズオプティマイザで補う事も可能。
安価な社外製を使うくらいなら、奮発してこのレンズがオススメ。
シグマのライトバズーカ「100-400mm F5-6.3 DG OS HSM」と比べてどうか?
400mmまでの焦点距離が必要であれば100-400mmがオススメ。ただし、重量やサイズは70-300mmクラスとは一線を画す。写りはレンズ補正無しでも非常に良好だが、デジタルレンズオプティマイザを適用した本レンズと比べると厳しい。
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