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EOS Kiss Mにシグマ 30mm F1.4 DC HSMはアリか?ナシか?【機材レビュー】

更新日:

大口径レンズ不在のEOS Mを補う!

EOS Kiss Mの登場で人気が急上昇しつつあるEOS Mマウントですが、残念ながらボケ量を大きくすることが出来る単焦点レンズが不足しています。特に広角や標準画角(10~35mmあたり)の大口径レンズがありません。今回はそんな穴を埋めるためにEFマウント用の社外製レンズ「SIGMA 30mm F1.4 DC HSM」をマウントアダプター「EF-EOS M」経由で使えるかどうかチェックしてみました。

外観編

パッケージ・外観

パッケージはシグマGVSらしい外観のデザインです。

箱の右上に印字されている「013」は発売当時の西暦下3桁が表示されています。(2013年登場のため013)

中にはレンズケースとレンズ本体、そして説明書・保証書が入ってます。

この価格帯のレンズでもしっかりとしたレンズケースが付属するのは素晴らしい。ただ、シグマレンズを揃えていくとそのうちこのケースが山となり邪魔となってくるはず…。

レンズ外装はTSC素材と金属パーツで構成されています。質感はArtシリーズらしくとても良好。

ビルドクオリティは純正の同価格帯と比べて遥かに優れていると言えるでしょう。

レンズフードはプラスチック製。反射防止の植毛はありませんが、内面とグリップ箇所にリブの加工が施されています。レンズフードの質感も同価格の純正より良好。

フォーカスリング周辺

約1センチ幅のフォーカスリングはピント全域でおよそ90度の回転角を持っています。その大半は近接0.3~1.0mであり、1m~無限遠までの回転角は10度も無いように感じます。被写界深度を考慮すると使いやすい回転角。

フォーカスリングの動作はやや重いものの、回転は滑らかなので微調整はしやすい。初めは少し重すぎると感じるかもしれません。

超音波モーターでフルタイムマニュアルに対応しているため、純正レンズ(STM駆動)のように「AF前や電源オフ時にはピント位置の調整が出来ない」と言った欠点がありません。

レンズにはAF/MF切替スイッチが存在します。

ボタンが少なく操作性の制限が多いEOS Kiss Mにとって便利な機能と言えるでしょう。このスイッチを使えばボディ側でAF/MF機能をボタンに登録する必要が無くなります。

サイズ・重量

レンズサイズはEF50mm F1.8 STMやEF35mm F2に近いものの、金属パーツが多いためか少し重たく感じます。プラスチック製のEOS Kiss Mに装着すると少しフロントヘビー。

その分しっかりとした質感で純正と比べて頼もしい堅牢性。

レンズ前側

フィルター径は62mm。キヤノン純正レンズでこのフィルター径を採用するレンズは少ない(と言うか無い?)ですが、シグマやタムロンの単焦点・高倍率ズームが採用しています。

EOS Kiss Mはシャッタースピードが1/4000秒までのため、晴天などの環境で絞り開放F1.4を使い辛い(適正露出を保つには1/8000秒やそれ以上が必要)。このためND4やND8の減光フィルターがあると便利です。

マウント側

レンズマウントは真鍮製で堅牢・高耐久。レンズ外装と同じく長く使うことを前提とした強度のように感じます。同価格帯の純正EOS Mレンズはプラスチックマウントだったりするこも…。(例えばEF-M28mm F3.5 Macroとか)

レンズ後玉はピント位置によって移動するリアフォーカスタイプ。無限遠時はマウント面にある後玉が近接時には数ミリほど前へ移動します。レンズ内部へ小ゴミが侵入する余地は少なく、そこまで気にする必要は無いでしょう。

ただし、ニコンFマウントやペンタックスKマウントは機械絞り機構が存在するためEFマウント用よりもメカダストは発生しやすいはず。

カメラとの組み合わせ

EOS Kiss M

EOS Kiss MがAPS-Cセンサーカメラでも比較的小ぶりで軽く、一眼レフF1.4の大口径レンズは少し不釣り合い。

特に質感がしっかりとしているシグマArtレンズはカメラよりも重く、重心がレンズ側に寄ってしまっている。このためカメラを右手でグリップしても左手をレンズに添えていないと安定しない。長時間撮影すると微妙に肩が凝る。

レンズのサイズやバランスは将来的に出るであろう純正EF-M用の大口径レンズに分があるかもしれません。

重さと重心の移動は仕方がないとして、フォーカスリングやAF/MFスイッチに指が掛かりやすいため操作性は良好。

α7 III

あまりこの組み合わせで使う人は少ないと思いますが、MC-11経由でEマウントに装着可能。

α7 IIIとのバランスは良くEOS Kiss Mのようにフロントヘビーとは感じない。

実写編

オートフォーカス

フォーカス速度・フォーカス精度ともに満足のいくレベル。一眼レフカメラで使うよりも快適なのではなかろうか?と言うレベル。

フォーカス速度は大口径単焦点レンズと言うこともあって、STM駆動のズームレンズと比べてやや遅い。とは言っても大口径レンズとしては「普通に速い」と言えるレベルでは無いでしょうか。

動画ではピント移動距離の大きい0.3~0.6mの撮影距離を使用していますが、回転角が小さくなる1m~無限遠ならばさらに快適に使うことが出来るでしょう。

サーボAFは一度ピント面に食いつくと、前後の高速移動でもしっかりと追従しています。近距離の子供相手にも実用的なフォーカス速度ですね。

追記:実写での感想

屋外や比較的明るい照明下の屋内であればサーボAFや顔検出でも快適に動作します。ただし、暗かったりコントラストが低い被写体の場合はウォブリング(ピントが前後へ移動する)確率が高くなります。切り返しの動作が遅い超音波モーターではワンテンポ動作が遅れてシャッターが切れない場合もありました。悪条件でのオートフォーカスは今後登場するであろうSTM駆動の大口径レンズのほうが適しているかもしれません。

遠景解像

F1.4

極端な描写の乱れは無いものの「シグマArtシリーズとしてはやや甘めの描写」と感じるかも。

全体的に高解像ではありませんが、四隅まで画質は一貫している印象。ただし、倍率色収差は良好に補正されており、実写では等倍でチェックしてもあまり目立たない。

F2.0

1段絞ると中央は非常にシャープとなりピークに近い性能まで跳ね上がる。

四隅は若干の改善が見られるものの、中央程の改善幅ではない。

F2.8

中央も四隅のF2と比べて徐々に解像性能が改善している。

高解像な中央と比べて四隅はまだ追いついてない。

F4.0

中央はここからF5.6あたりがピークの解像性能。

四隅もだいぶ安定しているが、スウィートスポットはF5.6~F8あたり。

F5.6

中央・四隅ともに安定した描写。遠景の風景撮影ならばF5.6~F8を使いたいところ。

絞り開放の描写と比べてとてもカリッとシャープな画質となるので絞りによる変化を楽しめるレンズ。

F8.0

F5.6と同様。

F11

僅かに回折の影響が出始めるものの、まだ許容範囲内。被写界深度が欲しい場合の使用はやぶさかではない。

F16

中央はピークと比べてかなり解像性能が低下する。

近接解像

絞り開放では球面収差が残存しハロが少し発生。芯を残しつつ滲みが伴う面白い描写。

場合によってこの柔らかさが強みとなりますが、滲みが気になるのであればF2まで絞ると大きく改善します。

その後は絞っても大きく改善しませんが、ピークはF5.6~F8.0あたり。

中距離ボケ(1.5m)

ピント位置がシャープである反面、後ボケはやや硬め。「普通~騒がしい」の中間程度で被写体と後ボケのコンディションによって目立つシーンが存在します。

特に絞り開放の場合、ボケのアウトラインが強調されてしまい主張が激しくなっています。軸上色収差による色づきも見られるため、このような場合はF2.0~F2.8まで絞ることで緩和します。

この一方で、前ボケはソコソコ柔らかいので積極的に前ボケを活用したいところ。

ボケが綺麗なレンズとの比較

個人的に絶賛するマイクロフォーサーズのオリンパス「M.ZUIKO 25mm F1.2 PRO」と見比べてみましょう。

ご覧のように後ボケが滑らかで手前の被写体に集中しやすい描写です。

価格が3倍ほど高いレンズなので比べるのは酷ですがボケ描写の差は確かに存在します。

近接ボケ(0.30m)

中距離と比べて絞り開放時に僅かなハロ(光が滲むこと)が出ている。

ちょっとした味付け程度で全体的な画の締まり具合に影響を及ぼすほどでは無い。コントラストが微妙に低下しているので気になる人は1段ほど絞ると良いでしょう。

1段絞るとハロは解消し、依然として玉ボケは丸い状態をキープしています。玉ボケはF4あたりから角が出始めるものの、F8まで絞っても実使用では問題無い程度。玉ボケは非球面レンズの影響を感じさせない滑らかな質感。なかなか良いと思います。

中距離ほど後ボケは硬く無いので「ちょっとボケが硬いな」と感じたら被写体に少し寄って撮影してみると良いでしょう。

口径食による玉ボケへの影響

F1.4のレンズとしては口径食が少なく、四隅まで変形の少ない玉ボケです。

この特性は玉ボケが多くなる夜景・イルミネーションに適しています。ただし、後述するボケの色づきは大きいので注意。

ボケの色づき

後ボケの縁撮りが少し硬いので余計に色づきが出やすい。前ボケは柔らかいものの、色づきが強くシーンによっては目立つかも。

「F1.4のレンズとしては特に多い」と言う訳ではないものの、場合によって絞る必要があります。F2まで絞るとアウトラインの色づきはかなり緩和します。

歪曲

オンとオフを見比べると四隅が僅かに樽型歪曲の傾向を示している。

キヤノンAPS-Cセンサーは他社と比べてやや小さいため、ニコンDXフォーマットやソニーEマウントで使うと少し違った結果となるかもしれません。

周辺減光

周辺減光が目立つのは絞り開放のみ。1/3段絞ると改善が見られ1段(F2.0)まで絞るころにはすっかり解消しています。

F1.4大口径レンズとしてはかなり優秀なパフォーマンス。

周辺減光補正

残念なことに、EOS Kiss Mとの組み合わせではカメラの自動補正が適切に作用しない。

周辺減光補正をオンにすると部分的に過補正となり光輪のようなハイキー部分が発生する。一部のレンズにおける「あからさまな不具合」とは異なり、フラットで単調な被写体以外では目立たない案件。

とは言え、もともと減光量が少ないので減光補正をオフにしておくのも一つの手と言えるでしょう。

発色

カメラ側のホワイトバランスをプリセットで固定し撮影。

ミニスタジオでのチェックでは色温度に大きな変化はありませんでした。実写でAWBを使用した時にシグマは「ちょっと寒色寄りかな?」と感じるシーンはあったものの、ひょっとしたら勘違いかもしれない、と言う程度のもの。

フルサイズフレームで撮影すると…

余談ですが「APS-C用レンズをフルサイズで使うとどうなるか?」と言うことでマニュアルで切替が可能なフルサイズミラーレス「α7 III」にマウントアダプターMC-11経由で装着してテスト。

無限遠側は四隅がガッツリとケラレます。

絞っても四隅のケラレは残るためレンズ光学的にフルサイズのイメージサークルは持ち合わせていないことが分かります。とは言ったものの、APS-C用としてはかなり広いイメージサークルを持っていると言えるかもしれません。

絞った際に安定した描写となるのはオレンジ色の枠まで。それを超える領域では描写が乱れて使えない。

フルサイズ30mmをカバーはしていないものの、APS-Hくらいまでならイケるのでは無いでしょうか?例えばsd Quattro Hとか。

通常のAPS-Cフレーム枠で使うならば、イメージサークルはかなり余裕があることが分かります。周辺減光・歪曲・玉ボケの形状などが良好である訳と言えるかもしれませんね。同じ理由で倍率色収差の補正にも一役買っていると言えるかもしれません。

ちなに、近接すればするほど四隅のケラレは軽減されます。最短撮影距離まで近寄りしっかり絞ればケラレはほぼ無くなるはず。

絞り開放でも四隅の減光を「雰囲気」を楽しめるのであれば実用範囲内。フルサイズの30mm F1.4として使えるのは結構面白いですね。ただし、ボケはやや騒がしい。

まとめ:EOS Kiss Mに30mm F1.4 DC HSMはアリ

このレンズの特徴

  • 頑丈で質感の良いレンズ鏡筒
  • この価格帯としては贅沢な付属品(フード・ケース)
  • やや重めのフォーカスリングだがフルタイムマニュアルに対応
  • AF/MFスイッチがあるためEOS Kiss Mにとって便利
  • レンズサイズが大きくKiss Mとの組み合わせでフロントヘビー
  • オートフォーカスは一眼レフよりも高精度で快適だが暗所のサーボAFは劣る
  • 遠景解像は絞り開放で少し甘く、ピークはF5.6~F8
  • 近景は絞り開放でハロが出やすいものの絞ると急速に改善する
  • 後ボケは近接で柔らかく滑らかだが、中距離では少し硬い
  • 玉ボケは口径食が少なくイルミネーションや夜景に適している
  • ボケの色づきは強めに発生するため、場合によって1段絞る
  • 歪曲や周辺減光は大口径レンズとしては良好
  • Kiss M周辺減光補正を使うと適切に補正されないためオフ推奨
  • 発色は良好だが絞り開放ではコントラストが僅かに低下する
  • フルサイズ枠で使うと四隅がケラレるが近接時は緩和する

いや、もう全然アリですよアリ

唯一注意するところがあるとすれば「周辺減光補正」をオフにすることくらいでしょうか。

EF-Mマウントの大口径レンズが不在の中にあって一筋の希望に見える一本。もしも将来的にF1.4大口径レンズがキヤノン純正から出たとしても「ちょっとお高い」はず。3万円台でゲットできるこのレンズの存在価値は潰えないかと思います。

危惧していたオートフォーカス性能は全くの杞憂となり、一時期の不安や迷いは月の裏側まで吹き飛んで行きました。精度はバッチリで一眼レフのようにUSB Dockを使った微調整とは無縁。

ではレンズの描写は抜群か?と言うとそうでもなく、絞り開放は少し癖がある。「絞り開放からシャープなレンズ」を想像していると、無限遠の甘さやピント面の手前の色づき(パープルフリンジ)に幻滅してしまうかも。

その辺を寛容な心で受け止めると絞り操作により描写の変化を楽しめるナイスな一本と感じるはず。加えて絞ればシグマらしくカリッとした描写。

購入早見表

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