このページではキヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」のオートフォーカスに関するレビューを掲載しています。
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EOS R フォーカス編
AFフレームと挙動確認
顔検出・追従優先
AFエリアモードで唯一顔検出に対応しているモード。ワンショットAF時は瞳検出にも対応している。顔検出をオフにするとただの全点オート。
メニュー画面の「AF」ページから追従を開始する方法を選択できる。初期設定では「自動」となっており一般的な顔検出に対応。「開始測距点」の機能を選ぶと他社で言うところのロックオンAFのような挙動となる。これを使い分けられる機種はなかなか無い。
顔検出に関しては別項で詳しく紹介。
1点・フレーム小
従来通り、1点フレームはスモールに対応しているものの大きくは出来ない。相変わらずフレームサイズの切り替えはファンクションボタンに登録するか、メニュー画面から切り替えるしかない。M-Fnバーを実装したことだし、1点とスモール1点は分けちゃっても良いと思うのです。
領域拡大 5点・9点
一眼レフではお馴染みの領域拡大モードを実装。基本は1点フレームで上下左右の補助測距点が合焦をサポートする。カメラを振り回して被写体を追いかける状況ならばこのモードが適している。
種類はスポーツカメラと同じ5点と9点。せっかく5655ポジションもあるのだから中央1点のフレームサイズにもう少し柔軟性があると良かったのにと感じる。
ゾーン縦・横
全点オートよりも小さく、1点AFよりも大きいフレームサイズ。挙動は全点オートと似ているが、範囲が狭くなることで障害物や背景にピントが抜けにくくなっている。
開始測距点を絞ることは出来ないので最初の掴みが肝心。掴んだとしても背景が騒がしかったり、被写体と近い距離だったりすると乗り移る可能性が高い。この辺りはAF設定の調整が必要と感じる。
サーボAF+連写
追従機能は「顔検出・追従優先AF開始測距点」を”自動”から”選択した開始測距点”に変更。この設定でニコンの3DトラッキングやオリンパスのC-AF+TRとよく似た動作のAFモードとして利用することが可能。
マルチコントローラーは無いものの、タッチ&ドラッグAFやタッチAFで開始測距点をぐりぐり動かすことが可能。鉄道のように軌道が一定の被写体は奥行方向と水平方向を立体的に動いても問題無く対応していますね。
開始測距点のフレームが大きいため、開始時に間違った物体をロックオンする場合がある。ただし、Z 7と違いいちいちロックオンを解除する手間が無いので咄嗟のリカバリーは簡単。
連写時はレックビュー(撮影した画像を連続的に表示する)となりブラックアウトはしないが、連写速度が遅いので不規則に動く被写体を追うのは厳しい。連写時の使い勝手はより連写速度が速いEOS Kiss M(同じシーンでの参考動画を用意しています。)と比べて少し劣るかな?という印象。
連写・単写後にレリーズボタンを離したタイミングでライブビューが固まるのが少し気になる。
低照度AF
使用レンズ「RF 24-105mm F4L IS USM」
キヤノン最新のフォーカス駆動装置「ナノUSM」を搭載しているだけあって良光条件での動作はとても高速。Z 7+24-70Sのステッピングモーターも十分高速ですがナノUSMが僅かに上手。
ND1000を装着しても明るくコントラストが高い箇所なら素早く安定した動作。比較的暗くコントラストが低い箇所では動作が遅くなるものの、まずまずの速度で合焦する。
EOS Rの低照度性能ギリギリ、もしくは限界を上回る暗所ではパフォーマンスが著しく低下。合焦まで時間がかかるか、測距不可の場合がある。
明るいレンズでパフォーマンスが大きく向上
基本的に開放測距AFとなるため明るいレンズを装着することでパフォーマンスを向上させることができる。特にF1.8など明るい単焦点レンズを使うことで非常に暗い環境でもオートフォーカスが作動するのは素晴らしい。
今回は夜間に部屋の明かりを消し、窓から僅かに入る街灯のみと言った状況でテスト。通常と比べてパフォーマンスは低下するものの、この暗さでオートフォーカスが動作すること自体が感動的。F1.2Lのようなより明るいレンズと組み合わせることでさらにパフォーマンス向上が見込める。
ボディ側のパフォーマンスを有効活用するにはブリージング(ピントによる画角変化)が少ない明るいレンズを使うのがベスト。テストではEF50mm F1.8STMを使用したが、近接時のブリージングが大きく、EOS Rの低照度性能を最大限発揮していないような印象を受けた。
顔検出
使用レンズ「RF 24-105mm F4L IS USM」
ソニーα7ほど離れた距離から検出することは出来ないものの、横顔の食い付きはなかなか良好。顔検出から外れても追従優先AFに切り替わり後姿を追っかけてくれるので便利。ただ、何かの拍子にオートエリアに切り替わってしまったり、背景にフレームが固定されたりするので完璧ではない。
顔検出中は検出フレームの露出が最優先される。特に逆光シーンや背景に明るい被写体が存在する場合、日陰となる顔に合わせて露出を大きく持ち上げるため、背景が白飛びする場合が多い。キヤノンは以前からこの傾向があったものの、従来と比べてかなり持ち上げ量が多い印象。
フォーカスガイド
フォーカスガイドとは?
マニュアルフォーカス時に指定したフォーカスフレームにピントが合っているかどうかを簡単に判断できる機能です。メニュー画面の「AF」2項に存在する機能です。初期設定ではオフとなっているので、必要であればオンにしましょう。
ピーキング(ピントが合っている領域を色付けして可視化する従来からの機能)よりも視覚的に”合焦までの距離”を確認でき、合焦時の判断もわかりやすい。
ピーキングと併せて使うことも可能。マニュアルフォーカスがとても簡単とんる便利な機能ですね。
文章では分かりづらいと思うので、実際に使っている様子を動画で見てみましょう。
動作確認
かなりイイ
- 合焦まで必要なピント距離の操作が分かりやすい
- フォーカスフレームに連動して表示される
- ピーキングと併せて利用できる
- RFレンズならピント距離表示も可能
従来のフォーカスピーキングや自動拡大機能と比べてとても分かりやすい。構図に集中しつつフォーカス操作をピント距離をアシストしてくれる機能はありそうで無かった機能。ピーキングでざっくりとピントを合わせ、最後の詰めをフォーカスガイドで確認する感じ。
前後のピン表示は最初こそ分かりづらいと感じるかもしれませんが、「上が奥方向」「下が手前方向」と覚えておけば特に問題無いはず。大デフォーカス時や極端な低コントラスト時は検出不可のため注意。
特にフォーカスフレームと連動した表示方法は秀逸。似たような機能はニコンZ 7にも導入されています(フォーカスエイド)。しかし、フォーカスエイドはファインダー左下の見づらい位置に表示されていたり、ピント面の前後は表示できてもピント距離までは把握できなかったり、EOS Rのフォーカスガイドと比べて1周り、2周りは使い勝手が悪い。
顔検出・瞳検出が連動する
すげえ!と思ったのは顔検出や瞳検出連動フレームにも対応していること。
特に瞳検出フレームで利用できるのはかなり便利と感じる人もいるはず。
注意点
拡大操作中は使用不可。ただし、フォーカスガイドを使う限り拡大操作の必要性はそこまで無いかもしれません(かなり正確)。
フォーカスフレームの範囲は1点AF、もしくはスモール1点と同等のサイズのみ。そして、フレーム内では前景が優先されるため、フレーム内に障害物が入り込むと正確に動作しないかもしれません。
電源再投入時のピント移動について
ステッピングモーターやナノUSM駆動のレンズは電源をオフにすると所定のポジションにフォーカスレンズが格納されます。このため、無限遠にピントを固定して電源を落としたい場合などで不便。
ただし、カスタム設定メニュー5にある「電源オフ時のレンズ格納」をオフにすることでピント位置が固定された状態で電源のオンオフが可能となります。ただし、この場合はレンズ繰り出し式フォーカスの内筒も格納されない状態となるため注意が必要です。
まとめ
追従AFと連写性能の組み合わせ、そして瞳AFこそソニーα7シリーズに劣っているものの、「思っていたよりも使いやすいな」と言う印象。特に従来のキヤノンミラーレス「EOS M」シリーズと比べて改善点がそこそこ多い。
特に追従優先AF(開始測距点設定機能)や領域拡大AFの実装は大きい。あとは追従AF/AEの高速連写が実現されると結構イイ線いくのではないでしょうか。
ただ、このブログでは再三述べていますが、やはりマルコンは付けて欲しかった。
タッチ&ドラッグAFはわずかにラグのある動作で、十字キーを使った操作はポジション多すぎて素早いフレーム移動が出来ない、ダイヤル操作はそこそこ素早く設定できるが前後のダイヤルが微妙に操作し辛い、などなど3種類の操作方法はどれもマルコンの代わりになるとは思えない使い勝手。
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