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キヤノン「EOS R7」徹底レビューVol.1 外観・操作性編

キヤノン「EOS R7」のレビュー第一弾を公開。今回がボディの外観や操作性、起動速度やシャッター音について確認しています。

EOS R7のレビュー一覧

外観・箱

箱・付属品

EOS R7 18-150レンズキットを購入。黒を基調としたEOS Rシリーズらしいシンプルなデザインだ。表面は少し光沢があるので傷がつくと目立ちやすい。

間仕切りはプラスチック製容器を使用している。従来品と比べると充電器やバッテリーの配置が確立しているので、元に戻す時に分かりやすい。

付属品

カメラ本体のほかに、ストラップやバッテリー、外部充電器が付属する。レンズキットであるRF-S18-150mmにはレンズフードが付属していないので、必要であれば別途注文しておく必要がある。

外観

デザイン

キヤノンEOS Rシリーズらしいボディだ。EOS RPやEOS R5・R6と同じように、ボディに対してファインダーが上部に突出しておらず、左右に向かって少し撫で肩の曲線デザインを採用している。「Canon」「EOS」のロゴは従来通りのフォント・配置で、カメラの型番を瞬時に判断できる。塗装は従来通りグレー味のあるブラックをマットな質感で塗装している。

質感

シャーシはマグネシウム合金を使用しているが、外装は基本的にプラスチックパーツを使用している。底面もプラスチック製だ。全体的な印象としてはEOS 90Dに近い。EOS R5などマグネシウム合金を多用しているカメラと比べると僅かに質感が劣るものの、堅牢性について不安は無く、決して安っぽい印象は受けない。

底面

プラスチック製の底面にはシリアル番号やバッテリースロットがある。縦位置グリップ用の端子は存在せず、当然ながら純正品として縦位置グリップは用意されていない。バッテリーグリップに対応していたEOS 90DやEOS 7D Mark IIと比べると気になるポイントだが、バッテリーライフを伸ばしたいのであれば、携帯可能なUSB-PD対応バッテリーでUSB経由の充電・給電となっている。縦構図時の保持力を強化したいのであれば、社外製グリップの登場を待つしかない。

バッテリーはEOS R5やR6と同じ、最新の大容量バッテリー「LP-E6NH」を使用。大容量であることに加え、USB-C経由での内部充電や外部給電駆動に対応している。キヤノンAPS-Cカメラとしては電源周りのスペックが画期的だ。古いバッテリーも利用可能だが、その際はUSB給電・充電に対応していない可能性がある。バッテリースロットのドアは防塵防滴仕様で、内部に浸水しにくいようになっている。

メモリーカード

EOS R7はSD UHS-IIに対応するカードスロットを2基搭載している。次世代メモリーカードである「CFexpress」に対応していないのは残念だが、手ごろな価格で流通しているSD UHS-IIで十分と言う人は多いだろう。シールが施されたバッテリースロットと異なり、メモリカードスロットのドアにシールは施されていない。この辺りの仕様は「EOS 90Dと同程度の防塵防滴」という主張を裏付けるものとなる。問題は無いと思うが、耐候性に過信は禁物だ。

ハンズオン

サイズ

132.0×90.4×91.7mmのカメラサイズはAPS-Cミラーレスとしては決してコンパクトではないが、ボディ内手ぶれ補正を搭載する高級機としては一般的だ。ただし、しっかりとしたグリップを搭載しているぶん、奥行方向のサイズが少し大きくなる。もしも収納性や携帯性の優先順序が高いのであれば、一回りコンパクトなEOS R10も検討してみると良いだろう。

重量

バッテリー込みで612gだ。一眼レフカメラと比べると軽量だが、APS-Cミラーレスの中では重量級である。EOS R7以上に重たいカメラは富士フイルムのX-H2SやX-H1くらいのもの。グリップが大きく握りやすいので、使用時の重量感は軽減されるかもしれない。しかし、カメラバッグ収納時は僅かに重いと感じる。

カメラグリップ

ボディそのものはコンパクトだが、カメラグリップが大きく、大きなレンズを装着しても快適だ。一眼レフカメラほど大きなグリップではないものの、EOS Kiss Mシリーズのグリップと比べると厚みがあり、しっかりと握ることが出来る。

ジョイスティックやリアホイールは親指で自然と操作しやすい配置となっているが、指が短い私には少し上過ぎる。M-Fnボタンや録画開始ボタンは自然と指をかけることができ、ISOボタンやLOCKボタンは意識して手を動かさないと難しい。

グリップサイズは大きめだが、ミラーレスらしく全高はそれほど高くない。小指が余りがちとなり、追加グリップが無いのでこれを補う手段がないのは残念だ。せめてEOS RPのようにエクステンショングリップが用意されると良かった。

コントロールレイアウト

正面

正面にはキヤノンでは珍しいAF/MFスイッチを搭載。従来通りプレビューボタンとしても機能するが、カスタマイズで別の機能を割り当てることも可能だ。

最初は戸惑ったものの、慣れてくると使いやすい形状・配置と感じた。富士フイルムにも似たようなコントロールがあるが、圧倒的にこちらのほうが使いやすい。特にレンズ側にコントロールが無い低価格でコンパクトなRFレンズで重宝する。今後はフルサイズカメラにも導入して欲しい。レンズ側にAF/MFスイッチが存在する場合はレンズ側が優先される。

背面

一見すると背面ホイールの無いEOS Kiss系のコントロールレイアウトに見えるが、実はファインダー左にジョイスティックと統合されたコントロールとして存在する。

最も目を引くのはファインダー横の統合されたジョイスティックと垂直ホイールだ。このようなデザインのカメラは初めてで、操作に慣れる時間が必要となる。奇抜なデザインに見えるが、実際に使ってみると普通のジョイスティックとホイール(ダイヤル)だ。操作はあっという間に慣れると思うが、ホイールは指と接触する面積が小さく少し操作し辛く感じる。機能は一般的なジョイスティックとホイールと同じで、カスタマイズなども従来のEOSカメラと同様だ。

ボタンカスタマイズに対応しているのはAF-ON、AEL、フォーカスフレームボタン、そして4方向キーと中央のSETボタンを自由に変更することが可能だ。特にこのクラスのキヤノンカメラで方向キーのカスタマイズに対応しているのは珍しく、様々な機能を呼び出すことが出来るのは便利と感じる。カスタマイズ可能な機能も増えているので、EOS R7を購入した際はまず最初に確認しておきたい。MENUボタンは左上に存在するが、カスタマイズで右側のボタンのどこかに配置することも可能だ。ただし、ソニーのようにメニュー操作時の「キャンセル・戻る」として機能はしない。

上面

上部のデザインはEOS R6とよく似ているが、ロックボタンが追加され、電源スイッチを搭載している点で異なる。特にキヤノンの電源スイッチは左肩にあることが多く、ベテランキヤノンユーザーであれば慣れが必要かもしれない。慣れてしまえば右手のみで撮影が可能だ。

電源スイッチには動画モードへの切替機能がある。これによりモードダイヤルを操作する必要が無く、動画撮影時のP/A/S/M/Fvモードへの移行も簡単となる。

追記:妻にEOS R7を使ってもらったところ、電源スイッチを回しすぎて動画モードへ切り替えてしまうことが多々あった。このスイッチを理解していれば問題ないと思うが、特に初めてEOS R7を使う人にとっては誤操作の原因となる可能性がある。

フロントダイヤル周辺のM-Fn・動画撮影・ISOボタンはカスタマイズ可能だ。残念ながらLOCKボタンはカスタマイズできない。

ファインダー

0.39型の236万ドットOLED電子ファインダーを搭載。光学系のファインダー倍率は1.15倍だ。必要十分なスペックと言えるが、EOS R7の価格設定を考えると少し見劣りする部分である。特に不満は感じないが、強みとも言えない。
EOS R3と同じくOVFビューアシストに対応しているので、ライブビュー時のハイライトやシャドウの諧調を確認しやすい。ちなみに背面液晶パネル使用時の見え方にも変化がある。

モニター

3.0型 162万ドットのカラー液晶を使用したバリアングルモニタを搭載。従来のキヤノン製APS-Cカメラよりも高解像で、撮影後の結果を確認しやすくなっている。初期設定だと明るい日中で視認し辛くなるが、クイックメニューにも設定可能なモニター輝度設定で明るくすることで改善可能だ。従来通り、キヤノンらしい洗練されたタッチ操作に対応している。

センサー保護

カメラは初期設定で電源オフ時にメカニカルシャッターを利用したセンサー保護機能が有効となっている。これでレンズ交換時にセンサー面へ小ゴミが付着する可能性を低減している。もちろん繊細なシャッター幕に触れないように注意が必要だ。必要無ければ、保護機能をオフにすることも出来る。

レンズ装着例

RF-Sレンズをはじめ、フルサイズ用RFレンズやアダプター経由でEF-Sレンズ使用時もバランスが取れている。大きなカメラグリップなので、望遠ズームレンズや大口径レンズを装着しても問題は感じない。レンズマウントとグリップの間の空間も余裕があり、手袋を装着したままでも、窮屈にはさほど感じないだろう。

起動時間の確認

起動時間は非常に短く、電源投入後に素早くシャッターを切ることが出来る。もちろんレンズ側のAFなども関係してくるが、スナップ撮影に適した起動速度と感じる。

センサー保護機能をオフにして同じテストを繰り返してみたが、起動速度に顕著な改善は見られなかった。

シャッター音の確認

シャッター音はやや軽めで、EOS 90Dと言うよりもEOS M系のシャッターに近い印象を受けた。ただし、EOS Mのように電子先幕シャッター限定ではなく、先幕シャッターもメカニカルに対応している。完全メカニカルでも動作音は静かで軽めだ。

電子先幕シャッター(過去のカメラではソフト撮影)に切り替えても連写時の動作音そのものに変化はあまり無い。今回は撮りわすれてしまったが、シングルショット時はメカニカルシャッターと電子先幕シャッターでハッキリと違いを聞き分けることができる(特にスローシャッター時)。

まとめ

良くできたカメラである。
競合他社と比べてしっかりとしたカメラグリップを備え、よく考えられたコントロールレイアウトを採用。ざっと使った限りでは優れたAFシステムも強みになると感じた。

「おススメできるカメラか?」と聞かれると、まだ判断がつかない。
競合他社と比べて良好なAFシステムを搭載し、連写性能やコントロールのバランスも良い。効き目の高いボディ内手ぶれ補正やセンサー除塵システム、3250万画素の高解像センサーを使用していることを考えると決して高い価格設定ではない。

電源スイッチ同軸の動画モードや統合されたジョイスティックとホイール、キヤノンとしては画期的なAF/MFスイッチなども評価できるポイントとなるだろう。しかし、価格を考えると非常に平凡なファインダー、次世代メモリカードに非対応のデュアルスロット、バッテリーグリップ非対応などなど、カメラの販売価格を考慮すると気になる部分がいくつもある。全体的な感触としてはEOS 90Dと同じアッパーミドルなポジションとカメラだ。

個人的に気がかりなのは「EOS R7の上が存在するのか」どうか。例えば富士フイルムは積層型CMOSセンサーやCFexpressカードスロットに対応した次世代のハイエンドモデル「X-H2S」をここ最近発表したばかりである。

マグネシウム合金製の堅牢な防塵防滴仕様で、CFexpressの超高速バッファクリアに対応したプロスポーツモデルをキヤノンが投入する可能性はあるか?少なくともEOS R7の欠点を考えると、上位モデルが登場する余地は残しているように見える。その場合、上位モデルの登場を待つのも一つの選択肢となるだろう。

ただ、EOS一眼レフの動向を見れば分かるように、キヤノンはAPS-C ハイエンドモデルに積極的ではなく、おそらく市場にそのような需要が少ないのだと思う(一時的にニッチな需要が集中する可能性はあるかもしれない)。仮に登場するとしても、フルサイズのハイエンドモデル「EOS R1」登場後になると思われる。EOS R7を今買ったとしても価値がすぐに目減りすることは無いはずだ。キヤノンAPS-Cでオールラウンドな最高の選択肢を探しているのであればEOS R7を検討してみると良いだろう。

参考情報

購入早見表

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EOS R7 18-150mmキット
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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