独自コンセプトのデュアルカメラを搭載するHuaweiのハイエンドスマートフォン「Mate 10 Pro」を手に入れたのでさっそく見ていきましょう。
前回のテストレビューに続き、今回はミニスタジオを使ったカメラ性能のチェック *写真道楽の延長線上にある記事ですのでカメラ機能中心な視線のレビューです。
Mate 10 Proレビュー実写編
今回は撮影後の編集一切無しのウォーターマーク「LEICA DUAL CAMERA」のロゴを張り付けた画像のみをメインに掲載。Lightroomで編集したRAW現像画像の画像には「LEICA」のロゴがありません。
名勝 東尋坊
初っ端からワイドアパーチャー機能を使ってパチリ。
如何だろうか?スマホのカメラとは思えない程背景がボケている。一見すると一眼レフカメラで撮影したような写真だ。一眼レフでも大口径レンズを使わないとここまでボケは大きくならないでしょう。
しかし、よく見て欲しい。お坊さんが持っている杖(錫杖?)の頭がボケている。このボケ方は非常に不自然だ。
細かく見ると所々違和感があるものの、ウェブ上でパッと見るだけではすぐに不自然さを見抜けないかもしれない。さらにスマホで閲覧している方ならば最後まで気が付かないかもしれない程度。
通常画角は35mm判換算で27mmの広角レンズだが、これを2倍ズームで54mmの標準レンズとして使う事が可能。
当然ながらスマホに搭載されているのは単焦点レンズなのでレンズが動いて画角を変化させている訳ではない。27mmの画角から54mmの画角となるフレームを切りぬいて使っている、いわゆる”クロップ”した写真である。
本来ならばクロップ分解像度は低下するのだが、画像処理で解像感を劣化させることなく54mm画角を使う事ができる。つまり×1.0でも×2.0でも画像の大きさは3968×2976だ。
分かりづらいかと思うので参考までに×1.0の写真と×2.0の写真を下に掲載。
ご覧のように画角が大きく変化する。
×1.0の画質と×2.0の画質が全く同じと言う訳ではないものの、許容範囲内と感じる。
ちなみにRAW形式のファイルは×2.0の状態でも×1.0の画角で出力されている。
ちなみに2000万ピクセルに解像度を設定している場合にはズーム機能を使う事が出来ない。興味深いことに、解像度を2000万ピクセルに設定していたとしてもRAW出力は1200万ピクセル分となる。
つまり、1200万画素のRGBセンサーと2000万画素のモノクロセンサーを使った解像性能で54mm相当の画角を1200万ピクセルで出力しているのかもしれない。
パノラマモードでパチリ。
北風が強くスマホが安定しないコンディションだったが、綺麗に合成できている。これは他のシーンでも楽しく使えそうだ。
HDRモードはその名の通りダイナミックレンジを拡張するモード。合成でDRを拡張しているのか画像処理でシャドーとハイライトを拡げているのかは不明。
画質(主にディテール)は若干低下しているが、それを補うように強くて太めのシャープネスがかけられている。
繊細さは微塵も感じられないが、通常モードよりも力強い描写のため建築物や岩場などはHDRが活きてくるかもしれない。
次に仕上がり設定を撮り比べてみた。
前回のレビューで判明しているように、標準はコントラストが弱く、他の二つはコントラストが強い。鮮やかとソフトの違いは主にマゼンダ系彩度の違いである。
このフレームにはマゼンダ系の色が無いため、鮮やかとソフトの間で彩度の違いは感じられない。
ちょっと寒くなってきたので岩場カフェにて休憩。ワイドアパーチャーでパチリ。
奥行き方向に向かって徐々にボケ量が大きくなってゆく処理は素晴らしいの一言。パッと見で特に不自然な点を指摘出来ない。
このような綺麗なボケを出そうと思うと一眼カメラではレンズを選ぶはずだ。
モノクロモードもPROモードが使えるので凝った露出設定が可能。しかし、モノクロモードではRAW出力が出来ない点は注意しよう。
えちぜん鉄道
ワイドアパーチャー機能を使って電車の全面にピントを合わせた状態でパチリしたものだ。
ご覧のようにまったくボケが出来ていない。
色々と試した結果、被写体から1.5?3mほど離れるとボケ生成が難しくなる傾向だ。
さらに、背景と被写体が複雑に入り混じるフレームではボケ生成にミスが生じる。
例えば窓枠飾りの周囲や隙間の背景はボケ生成の適用外となってる。コップや像など被写体のエッジがスッキリしている場合は違和感が少ないが、このような被写体の場合には注意が必要である。
上手く機能したな、と思ったもののボケちゃいけない窓枠までボケている。
どれも強烈に違和感があるボケ方では無いため撮影中には気が付かなかったりする。
そして、帰宅後に写真を振り返ると初めて不自然さに気が付く。
三国神社
被写体と背景を面で捉えると不自然さがないボケ方。
何気ない背景から玉ボケまで作り出すとはなかなか凄い。
やはり近接の場合はワイドアパーチャー機能が正常に動作する(自然か不自然な置いとくとして)。
丸岡城
やや逆光気味のためか左上がフレアっぽくコントラストが低下している。
こうなってしまうとRAW現像での修正も限界がある。出来れば手でハレ切りを出来るのであれば実施しておきたい。
自然公園・温室
水たまりの落ち葉をワイドアパーチャーでパチリ。
目に見えて不自然な写真となった。
反射と透過が混ざり合うようなシーンはまだ検出精度がよろしくないらしい。
ワイドアパーチャーと通常モードの比較をパチリ。
細かいこと抜きにして、ワイドアパーチャーは楽しい。
細かい事を気にしだすと不自然な箇所が所々にある。
マクロレンズ無しで接写性能は良好。
×2.0ズームを使えば大抵のシーンで十分な接写が可能だ。
HOゲージ用の小物も×1.0でここまで大きく撮影することが出来る。
スモールセンサーながら接写ではワイドアパーチャー要らずのボケ量となる。ただし、ワイドアパーチャーと比べてボケ質がやや汚い。
イルミネーション
イルミネーションはスマホで難しいシーンかなと思いつつ突撃。
何も考えず撮ってみたところ、思ったよりも良い。
拡大すると粗があるものの、イルミネーションの写真を拡大して鑑賞する人は少ないだろう。
ワイドアパーチャーも効果的に動作する。
一眼用のレンズでは玉ボケが変形してしまうところでも綺麗な遠景の玉ボケを維持している。(維持というか生成)
ただし、奥行き方向のボケ表現は難しいらしく一律で同じサイズの玉ボケとなってしまう。
イルミネーションのトンネルならば手持ち撮影でキレイな画質を維持できる。F1.6の明るいレンズであり、被写界深度が自然と深くなる小型センサーカメラならでは。
残念ながらコマ収差は非常に大きい。例えば四隅の点光源は拡大しなくとも変形しているのが判る。
マニュアルフォーカスモードで敢えて玉ボケを作ると左のようなボケ味となる。
ワイドアパーチャーと違い、一般的なレンズらしい玉ボケだ。
三脚を使って10秒の長時間露光。
iPhone 4sやXperia Z1を使っていた身としては驚きの画質。スマホでここまで撮れたら御の字でしょう。
当日はやや小雨だったが、防水性能を有しているので特に心配は無かった。
基本はRAW出力に対応するPROモードを使っていたが、JPEGで問題ない場合は「夜景モード」がオススメだ。
言ってしまえばオリンパスのライブバルブのような機能である。
シャタースピードはスマホ側で自動調整されるが、露光中の結果表示は逐次更新されながらライブ画像として表示される。露出が十分ならば途中で露光を終了することも可能。
イルミネーションでは基本的にAEがとても正確なので途中で露光を停止する必要は無かった。
ワイドアパーチャー機能よりも感動したモード。惜しむらくはRAW出力に対応していないこと。
今回のおさらい
- ワイドアパーチャーは複雑な被写体をボカすには不向き。しかし、シンプルな被写体を背景から分離させるには効果的である。
- ワイドアパーチャーは1.5?3m以上離れると効果を発揮しなくなる。
- 通常でも2倍ズームでも解像度は同じ(ただし画質は2倍ズームが僅かに劣る)
- 2倍ズーム中でもRAW出力は27mmの画角となる。
- 2000万ピクセルの解像度を使用中は2倍ズーム不可。
- パノラマモードは綺麗に合成される。
- HDRは全体的に画質が低下するものの、ダイナミックレンジが拡張され、シャープネスは太く強くなる。
- モノクロモードではPROモード中でもRAW出力不可。
- 逆光シーンではフレアの影響でコントラストが低下しやすい。
- 反射と透過が混ざり合うシーンではワイドアパーチャーが上手く機能しない。
- 2倍ズームを合わせて使えば接写性能は良好。
- 拡大して確認しない限りイルミネーションでも使える画質。
- コマ収差は大きい。
- 夜景モードはオリンパスのライブバルブモードのような機能。RAW非対応。
正直に言うと一眼カメラや高級コンデジの画質と比べて数段劣るのは事実。特に風景撮影など解像性能やダイナミックレンジを必要とする場合に差が大きく感じられる。
その一方で花などのマクロ撮影や夕景夜景の長秒露光時などはMate 10 Proでも十分な画質と感じる。スモールセンサーと明るいレンズの組み合わせが強みとなって活きてくるシーンだ。
粗削りながらワイドアパーチャー機能を使う事で近接する被写体をフルサイズ一眼レフのようなボケ描写で演出することも可能。部分的に不自然な処理だがSNSやスマホで閲覧するならばまず問題ない画質だ。
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