カメラのレビューはじっくり検証するので時間がかかります。そこでソニー「ILCE-7RM5」で色々と検証中のデータをレビューに先駆けて公開。今回はカメラのダイナミックレンジについて。
ILCE-7RM5のレビュー一覧
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 のダイナミックレンジを確認する
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 のピクセルシフトマルチショットをを確認する
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 の連写性能とローリングシャッター性能を確認する
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 の各種RAWを確認する
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 徹底レビュー Vol.1 外観・操作性編
- ソニー α7R V ILCE-7RM5 ハンズオン 外観と起動時間やシャッター音の確認
Index
ダイナミックレンジを確認する
撮影環境
- 屋内ミニスタジオ
- 高演色LED Ra93 2灯
- 適正露出 ISO 100 F8 1/13秒
- 適正露出+露出補正±5で撮影
- 非圧縮・ロスレス圧縮 L/M/S・圧縮RAW
- Adobe Lightroom Classic CC
・各データを適正露出に補正
・ノイズ補正オフ
・シャープネスオフ - 参考画像(露出を修正する前のデータ)
- 参考:適正露出時のファイルサイズ
・非圧縮RAW:121MB
・ロスレス圧縮RAW L:68.9MB
・ロスレス圧縮RAW M:40.3MB
・ロスレス圧縮RAW S:31.9MB
・圧縮RAW:63.7MB
非圧縮RAW
読んで字のごとく、非圧縮のRAWデータです。圧縮関連の画質低下に関して心配する必要はありませんが、ファイルサイズは圧縮RAWやロスレス圧縮RAW Lの約2倍。ストレージあたりの画像データ保存枚数は約半分となり、それだけ圧迫する価値があるかどうか悩ましいところ。
ファイルサイズはさておき、α7R Vのダイナミックレンジは非常に良好。いつものテスト環境で-5EVまでの露出アンダーを良好に修正可能となっています。-5EVはシャドウが若干ノイジーですが、それでもノイズリダクションを適切に利用することで良好な画質を維持できるでしょう。露出オーバー時の白飛びもよく抑えられています。
シャドウは良好に復元できますが、ハイライトは+3EVあたりから色情報が部分的損失し始めています。4000万画素クラスの競合モデルと比べて、劇的な優位性があるわけではありません。しかし、高解像であることが欠点となっていないように見えます。
ロスレス圧縮RAW L
α7シリーズ第四世代で導入が進む「ロスレス圧縮RAW」をα7R Vも搭載。「ロスがない」と名付けられているように、非圧縮RAWと遜色のない画質でファイルサイズが約半分まで圧縮されています。
テスト結果を確認しても、非圧縮RAWと比べて顕著なダイナミックレンジ差は見られません。処理速度など、特にこだわりがなければロスレス圧縮RAW Lで問題ありません。
ロスレス圧縮RAW M
ロスレス圧縮RAW Mは、通常のイメージサイズ(6000万画素)よりも低い解像度(2600万画素)で撮影できる可能。解像度を抑えることでファイルサイズは通常サイズよりも小さく抑えることができます。
テスト結果を確認してみると。露出アンダーの回復に大きな変化はないものの、露出オーバー時に白飛びしやすくなっています。違いは顕著であり、ハイライトを重視する際はロスレス圧縮RAW Mの使用を避けたほうが良いでしょう。
ほぼ完璧な状態を維持しているのは+2VEまで。このあたりは通常と変わりませんが、+3EVから情報の欠損が激しくなっています。
ロスレス圧縮RAW S
ロスレス圧縮RAW Sは、通常のイメージサイズ(6000万画素)よりも低い解像度(1500万画素)で撮影できる可能。ロスレス圧縮RAW Mよりも解像度を抑えることで、さらにファイルサイズ抑えることができます。このカメラでRAWファイルのサイズを最も小さくすることができるモード。
ロスレス圧縮RAW Mと同じくハイライトの情報が欠損しやすい。ファイルサイズは有利ですが、輝度差が大きいシーンを撮影する際はハイライトをあきらめるか、露出アンダーで撮影してハイライトを優先する必要があります(当然ながらシャドウ復元時のノイズが増加する)。
圧縮RAW
ロスレス圧縮RAWよりも圧縮率が高く、比較して「(情報の)ロス」が発生する形式と言われています。圧縮後のファイルサイズはロスレス圧縮RAWと比較して大差なく、「ロス」を嫌うのであればロスレス圧縮RAWを選べば良い思います。
実際にテストしてみると、ハイライトの上限は非圧縮RAWと同じに見えます。シャドウのノイズが僅かに増加していますが、RAW現像で深いシャドウを強引に持ち上げない限り違いに気が付かないはず。個人的な見解として、常用は圧縮RAWで問題なく、本当に画質を重視する場合のみロスレス圧縮RAW Lで良いのかなと。
今回のまとめ
6000万画素の超高解像センサーながら、ダイナミックレンジが広く、扱いやすいRAWデータが得られます。α7R IVから飛躍的な進化を期待するのは禁物ですが、十分に幅広いダイナミックレンジだと思います。これ以上が必要となると、HDR合成やグラデーションNDなどを使用するしかありません。
少し残念だったのはロスレス圧縮RAW M/Sでダイナミックレンジの低下が見られること。ファイルサイズを抑えることができるのは魅力的ですが、APS-Cや4/3センサー程度までダイナミックレンジまで低下するとフルサイズセンサーを使う意義が薄れてしまうように感じます。と言ってもRAW現像時に強めの補正を適用しなければ十分に良好な画質であり、ISO感度ノイズもよく抑えられています(後日レビュー予定)。
一方で圧縮RAWはロスレス圧縮RAW並みのダイナミックレンジを維持しています(ファイルサイズもかなり近いですが…)。高速連続撮影+では圧縮RAWの使用が前提となっていますが、画質低下はそこまで気にする必要はありません。「ロスレス圧縮RAW M/Sを使うときはハイライトが白飛びしやすい」これだけ覚えておけば、α7R Vで幅広いダイナミックレンジを活かすことができます。
参考情報
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