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LUMIX G 20mm F1.7 II レンズレビューVol.4 諸収差編

「LUMIX G 20mm F1.7 II」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。

簡易的なまとめ

テストでは軸上色収差がやや目立ったものの、実写で極端なシーンに遭遇する可能性は低い。

より気を付けたいのはコマ収差と歪曲収差。歪曲収差はレンズ補正で自動的に修正されるものの、コマ収差は絞るしかありません。夜景やイルミネーションなど、点光源が多い場合は注意が必要です。風景撮影でも木漏れ日などが点光源となる可能性あり(F1.7を使う機会は少ないと思いますが…)。

気になる点と言えばそれくらいで、多くの撮影シーンで問題が目立つことはありませんでした。小型軽量で低価格なF1.7レンズとしてはよくまとまっているように見えます。

While axial chromatic aberration was somewhat noticeable in tests, encountering extreme scenarios in real-world shooting is unlikely.
More concerning are coma and distortion. Distortion is automatically corrected by lens software, but coma can only be mitigated by stopping down. Caution is needed in scenes with many point light sources, like nightscapes or illuminations. Even in landscape photography, dappled sunlight can act as point light sources (though opportunities to use F1.7 are probably rare...).
That's about the only point of concern; no significant issues were noticeable in most shooting scenarios. For a compact, lightweight, and affordable F1.7 lens, it appears to be quite well-rounded.

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LUMIX G 20mm F1.7 IIのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

  • 左:フレーム中央でピント合わせ
  • 右:フレーム隅でピント合わせ

いずれの撮影方法でも結果に大きな変化はありません。像面湾曲は良く補正されているように見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値全域で良好な補正状態です。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放からF2.8くらいまで軸上色収差の影響が視認できます。実写でここまで目立つ機会は少ないと思いますが、極端なシーンではF4くらいまで絞ると収束。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

未補正RAWではやや強めの樽型歪曲が発生。手動で修正するには複雑な歪み方なので、レンズプロファイルを使った補正がおススメです。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

F1.7の絞り開放でフレーム隅のコマ収差が目立ちます。遠景テストでのコントラスト低下の原因となっていた可能性あり。絞ると徐々に改善し、F2.8では無視できる程度まで収束します。

球面収差

前後の玉ボケを見比べると、完全には一致していません。完璧な補正状態ではないものの、フォーカスシフトの影響はありません(軸上色収差のテスト結果から)。

まとめ

テストでは軸上色収差がやや目立ったものの、実写で極端なシーンに遭遇する可能性は低い。

より気を付けたいのはコマ収差と歪曲収差。歪曲収差はレンズ補正で自動的に修正されるものの、コマ収差は絞るしかありません。夜景やイルミネーションなど、点光源が多い場合は注意が必要です。風景撮影でも木漏れ日などが点光源となる可能性あり(F1.7を使う機会は少ないと思いますが…)。

気になる点と言えばそれくらいで、多くの撮影シーンで問題が目立つことはありませんでした。小型軽量で低価格なF1.7レンズとしてはよくまとまっているように見えます。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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