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LUMIX S 100mm F2.8 Macro レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

パナソニック「LUMIX S 100mm F2.8 Macro」のレビュー第一弾を公開。等倍マクロとしては驚異的なレンズサイズや滑らかで適度な速度のAF、一般的な撮影では無視できるフォーカスブリージングなどをレビューしています。

LUMIX S 100mm F2.8 Macroのレビュー一覧

まえがき

2024年1月に正式発表。100mmの等倍マクロとしては驚くほど小型軽量なLマウント用のフルサイズ対応交換レンズ。従来のLUMIX S F1.8シリーズとほぼ同じサイズを維持しつつ、1.0倍のマクロ撮影やインナーフォーカスを実現しています。

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  • 2024年2月15日(木) 発売
  • 希望小売価格:134,200円
  • 初値:120,780円
  • フォーマット:フルサイズ
  • マウント:Leica L
  • 焦点距離:100mm
  • 絞り値:F2.8
  • 絞り羽根:9枚 円形
  • レンズ構成:11群13枚
    ・非球面レンズ 3枚
    ・UEDレンズ 2枚
    ・EDレンズ 1枚
  • 最短撮影距離:0.204m
  • 最大撮影倍率:1.0倍
  • フィルター径:67mm
  • サイズ:φ73.6×82.0mm
  • 重量:298g
  • 防塵防滴:対応
  • AF:デュアルフェーズリニアモーター
  • 手ぶれ補正:-
  • その他機能:
    ・フォーカスリミッター

特徴は何と言ってもそのサイズ。競合他社の100mmマクロレンズと比べると、全長が非常に短く、軽量なレンズであることが分かります。やや胴長だった従来のマクロレンズよりも収納性が非情に良好。さらに他と同じくインナーフォーカス仕様のため、レンズ全長が変化することはありません。

100mmの等倍マクロとしては最短撮影距離が比較的短く、被写体との距離が近い点には注意が必要。ただし、レンズ全長が短いのでワーキングディスタンスは大きく変化しないかもしれません。

光学系は他社よりもシンプルで、3~4枚ほど少ない構成となっています。MTFは高周波がフレーム端に向かって低下。他のマクロレンズよりも像高5~6割から外側における低下が目立つ模様。このあたりは実写でどのような影響があるのか確認してみたいと思います。

価格のチェック

売り出し価格は約12万円。他社によっては20万円近い値付けとなっていることを考慮すると、良心的な価格設定と言えるかもしれません。とは言え、このデザインのLUMIX Sシリーズとしては最も高価。

外観・操作性

箱・付属品

LUMIX Sシリーズらしい、黒を基調として赤色のライン。意匠はシンプルですが、「100mm F2.8」とレンズの特徴が分かりやすくプリントされています。レンズ本体のほかに、円筒型レンズフードと説明書・保証書が付属。

外観

他のLUMIX S F1.8シリーズと同じく、プラスチック外装・ゴム引きフォーカスリングの組み合わせ。プラスチック外装は高級感こそないものの、しっかりとした作りで、表面は傷がつきにくいシボ加工のような塗装が施されています。

表面の印字はプリント。エッチングのような加工ではありません。側面にはフォーカスリミッターとAF/MF切り替えスイッチを搭載。価格を考慮するとシンプルなコントロール。レンズサイズ・外観は他の非S Proシリーズとよく似ています。フィルターは67mmで統一され、実用的ではありませんがフードも付け替えが可能となっています。

ハンズオン

300g切りと非常に軽量。キヤノン・ニコン・ソニーの競合製品と比べると重量は半分以下。驚くほど軽いです。そしてコンパクト。手に取った印象は50mm F1.8とほぼ変わりません、

前玉・後玉

このシリーズで統一された67mmのフィルターに対応。前玉にフッ素コーティングが施されているという記載は無いので、ダメージが想定されるシーンではプロテクトフィルターの装着を推奨。前面にはレンズのロゴやフィルター径の表示があるものの、反射を抑えたグレーでプリントされています。

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金属製レンズマウントは5本のビスで本体に固定。周囲は防塵防滴用のシーリングあり。電子接点のあるプラスチック部分には「Made in China」と製造国の記載あり。

後玉はマウント付近に固定され、動くことはありません。

フォーカスリング

表面のグリップがゴム製の幅広いフォーカスリングを搭載。他のLUMIX Sレンズと同じく、適度な抵抗で滑らかに回転します。レスポンスは「ノンリニア」「リニア(90-1080°/最大」で設定の変更が可能。ノンリニア時でもストロークは長めで、高精度のMF操作が可能。

スイッチ

側面にはフォーカスリミッター「FULL / 0.5-∞ / 0.25-0.5m」と3系統のフォーカスリミッターとAF/MFスイッチを搭載。AFはダブルフォーカス構造で比較的高速ですが、カメラ側が完璧とは言えないので(後述)リミッターを使う機会は多いかもしれません。

レンズフード

円筒形レンズフードが付属。プラスチック製でフィルター操作窓は無し。ただし、ロック構造があるので、外す際はボタンを押しながら回転しないと外すことが出来ません。必要最低限のデザインですが、内側には反射防止の切込みがあり、マットな塗装と合わせて適切な作り。前述したように、同シリーズのレンズフードを共用可能。50mm F1.8はしっかりと装着できましたが、20-60mmの花形フードは少しガタツキがあります。

装着例

LUMIX S5IIに装着。100マクロを装着しているとは思えないコンパクトサイズのシステム。片手での保持は簡単で、フロントヘビーでも無いため安定感は良好。全長が短いので俯瞰のマクロ撮影も比較的容易となっています。ただし、レンズ側に手振れ補正がないため、ボディ側の補正能力が重要となります。

AF・MF

フォーカススピード

本レンズはステッピングモーターとデュアルフェイズリニアモーターのダブルフォーカス仕様。近距離時の収差補正に優れ、フォーカス速度が良好であるのが特徴。このレンズも例にもれず、滑らかで高速なAFを実現しています。

注意すべきはカメラ側の性能。現在のLUMIX S5II(FW Ver2.2)だと低照度や低コントラストでは合焦しにくく、ストロークが長い近距離側で迷走しがち。撮影距離が定まっている場合はフォーカスリミッターで動作範囲を制限するのがおススメ。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・2m・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

マクロ撮影時は画角が大きく変化するものの、通常の撮影ではほとんど変化しません。フォーカスブリージングは光学的に良く抑えられているように見えます。

精度

LUMIX S5IIと組み合わせた限りでは問題なし。被写界深度の浅いマクロ域でも正確に動作します。

MF

前述した通り、使い勝手の良いフォーカスリングで「リニア」「ノンリニア」を使い分けながら利用可能。応答性は良く、細部のピント合わせでも滑らかな操作を実現しています。

まとめ

驚くほど小型軽量な等倍マクロレンズですが、少なくとも機能や操作性に妥協はほとんどありません。同シリーズで使いまわすことができる67mmフィルター、使い勝手の良いフォーカスリング、滑らかでブリージングが抑えられたダブルフォーカスなど評価できるポイントが多い。スイッチ類は最低限で、Fnボタンはありませんが、妥協点と言えばそのくらい。小型軽量のため三脚座や三脚リングは不要と感じますが、人によっては「(マクロ撮影で)あったほうが良かった」と感じるかもしれません。

肝心の光学性能はチェック・テスト中。小型軽量で(比較的)シンプルな構成なので妥協点がどこかにあるだろうと予想していたのですが、思っていたよりも全体的に良好。近距離でも収差を抑えたシャープな描写で、ボケもまずまず滑らかで綺麗。ニコン「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」のように強烈な解像感はありませんが、必要十分な解像性能を備えています。撮影距離が長い場合でも、ポートレートで上半身くらいまでなら滑らかで綺麗なボケ。ただし、口径食がやや目立ち、周辺部が荒れる場合があります。イルミネーションシーンなど、コントラストが高い状況では玉ねぎボケが目立つこともあるので注意が必要です。マクロ域の撮影は概ね良好ですが、被写体が動いている場合にAF-Cで追従し損ねたり、ハンチングしたり迷走する時がありました。このあたりはカメラ側の問題だと思いますが、将来的にファームウェアアップデートで改善を期待したいところ。

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作例

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