多くの人が待ち望んでいたオリンパスのマイクロフォーサーズ用2倍テレコンバージョンレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」が発売日を迎えました。私は予約販売開始と共に注文し、幸いにも発売日にゲットすることが出来ました。さっそく手持ちのレンズに装着してその実力を確認してみましょう。
Index
M.ZUIKO DIGITAL MC-20 レビュー
レンズのおさらい
2014年にM.ZUIKO 40-150mm F2.8と共に登場したMC-14から5年後、2019年6月ついに2倍テレコンバージョンレンズ「MC-20」が誕生しました。
対応レンズは
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO(開発中)
の3本と少ないものの、そもそも40-150mm F2.8の汎用性が高いのでこのレンズでほぼ補うことが出来るはず。マイクロフォーサーズ版150mm F2なんてレンズがあるとなお良かったかもしれませんね。
型番 | MC-20 | MC-14 |
---|---|---|
レンズ構成 | 4群9枚 (HRレンズ1枚) |
3群6枚 (HRレンズ1枚) |
防滴処理 | 防塵防滴機構 | 防塵防滴機構 |
倍率 | 2倍 | 1.4倍 |
大きさ 最大径×全長 | Φ59.8×25.9 mm | Ø59.8×14.7mm |
質量 | 150 g | 105g |
MC-14と同じ防塵防滴仕様。そしてレンズ構成は4群9枚とMC-14より1.5倍多い構成枚数となっています。他社のテレコンバージョンレンズと異なり特殊レンズを一枚使ってのが特徴的ですね。
構成枚数が多くなるので逆光耐性が気になるところですが、気合の入った光学設計と期待したいところ。
もともとパフォーマンスの良かった40-150mm F2.8 PROや300mm F4 IS PROの撮影倍率が向上し、それぞれ0.84倍・0.96倍(35mm判換算)とマクロレンズのようなクローズアップ撮影が出来てしまうのも特徴の一つ。
通販で実勢価格は4万円前後。直営店のオリンパスオンラインショップならプレミアム会員やポイント適用などで安い人は3万6千円くらいで購入することができるはず。後述しますが、この光学性能でこの価格設定なら(他社の4?5万円超の2倍テレコンより)安いと思います。
外観
箱の中には説明書・保証書・本体・ソフトケースが入っています。
このソフトケースはMC-14と同じ。カラビナ付きで使い勝手が良いので愛用しています。
全体的に金属パーツを多用した頑丈な作りのテレコンバージョンレンズ。
前後とも防塵防滴仕様となっているのでカメラやレンズへの装着は少しきつめとなっています。
レンズは前方へ大きく飛び出しているので、対応レンズは仕様表通りPROレンズ3本に限定されている模様。
MC-14と比べると厚みのあるコンバージョンレンズです。
将来的にMC-14は300mm F4 IS PRO用、MC-20は40-150mm F2.8 PRO用として落ち着きそう。どちらもF5.6となるのでF値の管理もしやすい。
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROに装着。レンズはMC-20に対応するファームウェアアップデートが公開されているので忘れず適用しておきましょう。ファームウェアアップデートをしなければMC-20経由で動作しないので注意。
厚みのあるMC-20を装着することでレンズ全長が長くなるものの、80-300mm F5.6のインナーズームレンズと考えるとまだまだコンパクトなように感じます。
AF
マスターレンズのAF性能が非常に良好なので、MC-20経由でも軽快なフォーカシングを楽しめます。接写性能が高いので近接側でピントが迷うと少し遅く感じるものの、高速AFで素早く復帰してくれる印象。
レンズ側にリミッターはありませんが、E-M1 Mark IIやE-M1X、そして今後登場するOM-Dにはソフト的なフォーカスリミッターが搭載されるかと思うので積極的に使っていきたいところ。
今回の動画では実施し忘れましたが、四隅のフォーカスポイントを利用しても良好で正確なAFが可能となっています。
解像性能
今回は最も重要な300mm時の解像性能をチェック。
絞り開放(F5.6)から甘さを感じず、問題無く使えるレベルでフレーム周辺部も安定した描写となっています。F8まで絞ると僅かにコントラストが改善してピークの画質。絞っても周辺部は大きく改善しない模様。
F11以降は徐々に回折で解像性能が低下するので基本はF5.6-F8で使うこととなるはず。被写界深度が必要であればF11-F16もやぶさかではない画質。F22はグッと甘くなるので避けたほうが良さそう。
マスターレンズの光学性能も手伝って画質低下の少ない2倍テレコンとなっているようです。
マスターレンズ・MC-14との比較
マスターレンズの150mmとMC-14装着時の210mm、そしてMC-20装着時の300mmとで同じ位置から撮影して比較。150mmと210mm時のイメージは引き延ばしてMC-20と同等のイメージサイズとなるように調整しています。
僅差ではあるもののMC-14より良好な解像性能を発揮。遠景のディテール再現が良好なので「クロップでは無くテレコンバージョンレンズを使う」意義を十分に感じることが出来ると思います。
曇天と言うこともありコントラストは良好に維持されています。晴天時に逆光耐性がどれほど変化するのかは後日確認したら追記予定。
マクロ
300mm時は35mm判換算で0.84倍と非常に高い撮影倍率となります。
インナーフォーカスでほぼ最短撮影距離のようなピント位置でも収差変動は目立ちません。とても良好な画質を維持しています。まさに超望遠マクロレンズと言っても過言では無いはず。
光学手ぶれ補正を備えていないので300mm接写の手ぶれは強め。マイクロフォーサーズで最も強力な手ぶれ補正を備えるE-M1Xをもってしても1/200秒前後は確保しないと安定して撮影は出来ません。当然、曇天や雨天ではISO感度が上がりやすいので画質の維持に気を付ける必要があります。
被写体を周辺部や四隅に配置しても目立つ収差は無くシャープな描写を維持しています。
防塵防滴と言うこともあり、この時期のマクロ撮影が楽しくなるアイテム。
近接時でもE-M1Xとの組み合わせでオートフォーカスは良好に動作。体が前後してピント位置がズレやすいのでC-AFで使うと良いかもしれません。
作例
オリジナルデータはFlickrにて公開しています。
40-150mm F2.8 PROが生まれ変わるおススメアイテム
非常におススメできるコンバージョンレンズ。
40-150mm F2.8 PROが80-300mm F5.6 Macro PRO として生まれ変わったかのようです。あらためてオリンパスのレンズが凄いと感じることが出来ました。
顕著な光学性能の低下無しで0.84倍(300mm時 35mm判換算)の撮影倍率を得ることができる超望遠ズームはとても便利。
×1.4 MC-14と比べて、目立った画質低下が無いので使用頻度は断然MC-20となることが予想できます。今からコンバージョンレンズを買うならMC-20をおススメします。しかし光学手ぶれ補正無しの300mmであることに加え、開放F値がF5.6となるのでシャッタースピードの管理はシビアとなる点は注意しておくべき。
購入早見表
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