このページではオリンパス製マイクロフォーサーズ対応交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro」の解像力テスト結果とレビューを公開しています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro 解像性能 検証
レンズのおさらい
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro | ||||
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焦点距離 | 30mm(35mm判換算60mm相当) |
---|---|
レンズ構成 | 6群7枚(DSAレンズ1枚、EDAレンズ1枚、非球面レンズ1枚) |
フォーカシング方式 | ハイスピードイメージャAF (MSC) |
画角 | 40° |
最短撮影距離 | 0.095m |
最大撮影倍率 | 1.25倍(35mm判換算 2.5倍相当) |
最近接撮影範囲 | 13.9 x 10.4mm |
絞り羽枚数 | 7枚(円形絞り) |
最大口径比 | F3.5 |
最小口径比 | F22 |
フィルターサイズ | Ø46mm |
大きさ 最大径×全長 | Ø57x 60mm |
質量 | 128g |
35mm判換算で2.5倍の最大撮影倍率を備える標準マクロレンズ。
新品でも約25,500円程度と手ごろな価格を実現しており、マイクロフォーサーズ用AFマクロレンズとしては最も安い。使いやすい焦点距離と言うこともあり、キットレンズからのステップアップやマクロレンズに興味がある人にとって最有力候補。
安価ながら6群7枚のレンズ構成に「非球面レンズ」1枚、「DSAレンズ(大偏肉両面非球面)」1枚、「EDAレンズ(特殊低分散非球面)」1枚と特殊レンズを3枚も使った贅沢な作り。
フォーカス駆動はレンズ内で完結するインナーフォーカス式を採用。静音性が高く、高速フォーカスで快適な撮影に対応しています。
最大撮影倍率は「1.25倍(35mm判換算 2.5倍相当)」ですが、それを実現するための最短撮影距離は「9.5cm」と非常に短いです。9.5cmはセンサー面からの距離ですので、レンズ先端から被写体までの距離は数センチしかないと考えておいたほうが良いでしょう。当然、被写体に自身の影が写りこんでしまう可能性は高いです。
あくまでも「最大撮影倍率だと撮りにくい」と言うだけで、テーブルフォトやちょっとしたクローズアップの撮影ならば他のマクロレンズ(似たような焦点距離の)と同等の使い勝手です。
「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」のような光学手ぶれ補正を搭載していないので、ボディ内手ぶれ補正を搭載していないカメラボディでは手ぶれの影響を受けやすくなります。三脚を使ったり、シャッタースピードを維持するなどして対応する必要があります。
撮影環境
イメージ図です。マイクロフォーサーズのRAWアスペクト比は「4:3」であり、測定時は4:3に合わせてフレーミングしています。このため、「3:2」イメージセンサーよりも四隅領域の判定が厳しめとなる傾向があります
テスト環境
- カメラボディ:OM-D E-M1X
- 交換レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- OM-D E-M1XのRAWファイルを使用
- ISO 64 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
解像力テスト結果
絞り開放から四隅まで「まずまず良好」なパフォーマンスを発揮。
高級単焦点レンズのようにキレのあるシャープさではありませんが、絞り開放から全体的に「2000」を超える数値なので安定感のある画質と言えるでしょう。
絞ると全体的に解像性能が向上し、「2500」を超えるとても良好な画質となります。ただしピークに達するのが比較的遅く、F5.6~F8まで絞る必要がある点には気を付けておくべき。
回折の影響はあるものの、F11付近までは良好な画質を維持しています。
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F3.5 | 2769 | 2057 | 2358 |
F4 | 2769 | 2108 | 2441 |
F5.6 | 3134 | 2413 | 2659 |
F8 | 3301 | 2891 | 2691 |
F11 | 2857 | 2691 | 2496 |
F16 | 2330 | 2358 | 2302 |
F22 | 1784 | 1775 | 1748 |
実写サンプル
ハイレゾショット
通常の2000万画素の画像データより高解像であるのは間違いありません。しかし、80MPのハイレゾRAWデータから現像する解像性能としては物足りない感じ。
絞り開放付近だと高解像撮影を活かすことが出来ないので、やはりF5.6~F8までは絞りたいところ。
正直に言うと、このレンズでハイレゾを積極的に使う必要はありません。
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F3.5 | 3357 | 2677 | 2647 |
F4 | 3384 | 2663 | 2506 |
F5.6 | 4147 | 3143 | 2799 |
F8 | 3782 | 3370 | 3223 |
実写サンプル
M.ZUIKO 60mm F2.8 Macroとの比較
望遠マクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」と比べると、絞り開放やピークのパフォーマンスで見劣りしているのが分かります。
画質差があるのは確かですが、カジュアルに使う標準マクロとしては気にならない画質差だと思います。心配し過ぎる必要はありません。
60mm F2.8との差は特にハイレゾショットを利用した時に顕著となります。被写体までの撮影距離を長くあけ、ハイレゾショットで事後のクロップ耐性を高めたいのであれば60mm F2.8のほうが適しています。ただし、F8付近まで絞れば僅差となります。
雑感
2万円台で手に入るカジュアルな標準マクロレンズとしては立派な性能。
決して最高のパフォーマンスでは無いものの、四隅まで安定した解像性能で使いやすい画質です。
ハイレゾショットを使うとキレがイマイチと感じるかもしれませんが、1600万画素モデルで普通に撮影するぶんには全く問題ありません。
もしお財布に余裕があるならば、光学手ぶれ補正を搭載している「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」も検討してみると良いでしょう。
今回使用した機材
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