このページではニコンZマウントの交換レンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」のレビューを掲載しています。
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更新履歴
- 2018-10-11:「レンズフード」項を加筆修正しました。
管理人の評価
中央解像力 開放 | とても良好 | 周辺解像力 開放 | とても良好 |
中央解像力 ピーク | とても良好 F4-F8 |
周辺解像力 ピーク | とても良好 F4-F8 |
軸上色収差 | 皆無 | 倍率色収差 | 良好 |
球面収差 | 良好 | コマ収差 | 良好 |
非点収差 | 良好 | 歪曲 | 自動補正 |
周辺減光 | 24mmで目立つ | 逆光耐性 | 非常に良好 |
AF | 並・リニア | MF回転角 | 電子制御 |
最大撮影倍率 最短撮影距離 |
0.3倍 0.3m |
手ぶれ補正 | ー |
フィルター | Ø72mm | 重量 | 約500g |
色 | 良好 | ||
コントラスト | 良好 | ||
ボケ傾向 | 前後とも滑らか・70mmで口径食の影響あり | ||
備考 | レンズフード付属・金属鏡筒・沈胴式ズーム |
24-70mm F4と平凡なスペックですが光学性能は極めて良好。特にコレと言った欠点が無く長所ばかりが目立つレンズ。
望遠側が105mmあれば最高だたが、このパフォーマンスなら「70mmでも仕方ないかな」と思えてしまう。
外観レビュー
サイズ・質感
AF-S NIKKORと比べてマットな黒い仕上がりのデザイン。Nikon Zカメラと相性の良いカラーリングとなっています。
鏡筒には金属パーツが使われており、プラスチック多めのAF-Sと比べて手に取った質感が良好。ただし、熱伝導が良さそうなので冬場はかなり冷たくなるかも。
重量は500gであり、重くも無く軽くも無く、と言ったところ。
一眼レフ用レンズよりも軽く、ソニーFE24-70mm F4 ZAよりは重い。レンズ格納時はソニーFE2470ZAよりも短い全長となるため携帯性はかなり良好。
前玉・後玉
フィルター径は72mm。
同時発表のZ NIKKOR単焦点がどちらも62mmなのでフィルターを揃えるなら72mmに合わせると良いでしょう。ただし、今後登場するレンズが72mm以上のフィルター径となる可能性もあるため注意。
ちなみに本レンズの絞り羽根は開放F4でも(絞り羽根が見えなくなるほど)全開とはならない。このため絞り開放でも玉ボケが微妙に角ばっている。
後玉はマウント面に固定されていない。ズーミング操作により後玉が前方へ移動する仕組み。
防塵防滴仕様のレンズですが、ズーム操作で焦点距離を頻繁に操作するとレンズ内に塵やゴミを吸引する可能性が高い。
操作リング
ズームリングが前方、フォーカスリングが手前に配置されたイマドキなデザイン。
同じ配置となる「AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR」などと比べてさらにフォーカスリングが小さくなっています。
ズームリング
ロック機構はありませんが格納状態から24mmまでの間が固いので誤操作することは少ないはず。
展開後も滑らかながら少し固い動作のため画角の微調整がし易い。全体的に一貫した抵抗感を持っているため慣れれば特に不便さを感じずに使えそう。
フォーカスリング
幅の狭い操作リングですが、抵抗感が皆無なので指先一つで操作可能。
簡単に回すことが出来る反面、フォーカス位置の微調整として使うとなかなか難しい。
Zカメラはフォーカスリングに「露出補正」や「絞り値」を設定することが可能ですが、回しやすいが故に誤操作が大変多くなる。ロック機構が無いためフォーカス操作に設定しておくのが無難。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。このクラスとしては一般的なクオリティ。
バヨネット式マウントでロック方式はシンプルなクリックタイプ。ボタンロック式では無いため、フードを掴んでレンズを回転させると(例えば脱着時など)誤って外してしまうことがあるので注意。
特にZマウントはレンズ装着時の回転方向でレンズフードが外れてしまうので注意(他社はレンズ取外し時の回転方向でフードが外れやすい)。
ズーム動作
格納時は全長が短いものの、70mmまでズームすることで倍近くまで伸びる。一方で35mmまではそこまで伸びない。
内筒(プラスチック製)は2段式のため見た目の好みは分かれるかも。(個人的には1段式が良かった)ガタツキは少なく組み立て精度は良好のように感じられる。
Nikon Z 7に装着
Nikon Z 7とのバランスは良好。大きすぎず、小さすぎず、と言ったところ。
レンズフードが大きいものの、逆さ付け可能なので収納時はそれほど場所を取らない。
そもそも論として逆光耐性の高いレンズだからフード付けないという手も大いにアリ。(ただし、フィルター装着するならフード推奨)
実写レビュー
遠景解像 24mm
- 中央は絞り開放からピークに近いパフォーマンスを発揮。絞ってもコントラストやシャープさの改善は少ない。
- 四隅も中央と同様、絞り開放から良好なパフォーマンス。F5.6がピークとなり前後1段あたりまでがスウィートスポットとなる。
- どちらもF16で回折の影響が目立ち始め、F22でマイクロコントラストに大きな影響が発生する。
- フルサイズ4600万画素の24mmとしては非常に良好なパフォーマンス。
中央
四隅
遠景解像 35mm
- 24mmと同様、中央は絞り開放から回折の影響まで画質に変化がない。とても良好な解像性能。
- 四隅も中央とほぼ同じパフォーマンス。
- 回折以外で目立った画質低下が無くフレーム全体で良好。
中央
四隅
遠景解像 50mm
- 35mmと同様、中央は絞り開放から回折の影響まで画質に変化がない。とても良好な解像性能。
- 四隅も中央とほぼ同じパフォーマンス。
- 回折以外で目立った画質低下が無くフレーム全体で良好。
- 描写に変化がなく、欠点が見当たらない。正直に言うと解像性能が良すぎるためチェックしていてあまり面白くない。
中央
四隅
遠景解像 70mm
- 中央は他の焦点距離と同じく開放からトップスピード。
- 標準ズームにありがちな「望遠側四隅の解像低下」は見られず、フレーム全域で良好な解像性能を維持。
- もし望遠側の四隅解像が悪いと感じたら、それは光軸回転の手振れや保護フィルターなど別要素の原因が考えられる。
中央
四隅
ボケ 24mm
標準ズーム24mmにおけるボケ質と考えるとかなりまともで使いやすい。極上では無いものの、滑らかで欠点が目立たず、悪く無い描写性能。
玉ボケは周辺部まで円形を維持しているが、四隅は口径食の影響を大きく受けているように見える。
ボケ 35mm
24mmと同様、滑らかで使いやすいボケ質。四隅の口径食は24mmも少なくフレーム全域で自然な描写。
非球面収差による「玉ねぎボケ」や軸上色収差による色づきも少なく特に欠点は無し。
ボケ 50mm
35mmと同様、滑らかで玉ボケの変形が少ない。単焦点レンズかと思うような綺麗なボケ質。
ボケのグラデーション部分についても特に騒がしさを感じない。
ボケ 70mm
他の焦点距離と同様、ズームレンズとしてはかなり綺麗なボケ。
唯一残念なポイントは四隅で口径食の影響がモロに出ている事。
周辺減光
- 24mm:このレンズで最も減光が目立つポイント。デジタル補正に頼らず解消したい場合は2段ほど絞りたい。
- 35mm:24mmよりもマシだが四隅の減光はそれなりに目立つ。
- 50mm:24mmや35mmと比べるとかなり良好。
- 70mm:50mmと比べて四隅の減光効果が強いものの広角端よりはかなり良い。
24mm
35mm
50mm
70mm
歪曲
デジタル補正が適用され、この効果をカメラ側でオフにすることが出来ません。Lightroomでもレンズプロファイルが自動で適用されます。
補正後の画像を見る限りでは24mmがやや樽型。70mmは軽微な糸巻き型となっているように感じます。自動補正後に四隅の解像性能が悪くなっているという訳でもないので問題は無さそう。
逆光耐性
鬼のような逆光耐性。
強い光源をフレーミングしてもフレアやゴーストは滅多に目立たない無い。むしろフレアやゴーストがどうやったら出せるのか真剣に悩んだ。
F16やF22など小絞りを使うと微細なゴーストのみ確認できる。
小絞り時の光芒はおとなしくあまり目立たないタイプ。
オートフォーカス
ステッピングモーター駆動らしい切り返しが軽快なオートフォーカス。
静粛性は超音波モーターと比べて遥かに静かなので動いたことに気が付かない事もしばしば。ブリージング(ピント距離による画角変化)が少ないので動画撮影との相性はとても良好。
一方で大デフォーカス状態からピントの移動距離が長い場合は初速の遅さを感じることもある。特に低照度でAFが迷うときやローライトAF時の動作が少し遅い。
まとめ
Good |
|
Bad |
|
良いレンズなのだけど、ニコンZシステムを船出を飾るには地味なスペックの標準ズーム。と言うのが正直なところ。よく言えばカタログスペックに依らない、堅実で実直なニコンらしいレンズ。
このレンズ一本で評価するのは難しく、超広角F4ズーム・望遠F4ズームが揃って初めてシステムとして成立するであろう一本。この調子で残り2本が揃うのであればかなり期待したい。
カメラ側の性能不足という側面があるかもしれないが、動き物を撮ると少し不満を感じるかもしれない。
サンプルギャラリー
オリジナルデータはFlickrにて公開しています。
購入早見表
レンズデータ
レンズ仕様
型式 | ニコン Zマウント |
---|---|
焦点距離 | 24mm-70mm |
最大口径比 | 1:4 |
レンズ構成 | 11群14枚(EDレンズ1枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり) |
画角 | 84°-34°20′(撮像範囲FX) 61°-22°50′(撮像範囲DX) |
焦点距離目盛 | 24、28、35、50、70mm |
ピント合わせ | IF(インターナルフォーカス)方式 |
最短撮影距離 | 撮像面から0.3m(ズーム全域) |
最大撮影倍率 | 0.3倍 |
絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) |
絞り方式 | 電磁絞りによる自動絞り |
最大絞り | f/4 |
最小絞り | f/22 |
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) | 72mm(P=0.75 mm) |
寸法 | 約77.5mm(最大径)× 88.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで、沈胴時) |
質量 | 約500g |
付属品 | ? レンズキャップ72mm LC-72B(スプリング式) ? 裏ぶたLF-N1 ? バヨネットフードHB-85 ? レンズケース CL-C1 |
MTFチャート
レンズ構成図
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