ニコン「NIKKOR Z 85mm f/1.8 S」のレビュー解像チャート編を公開。性能が低下しやすい近距離でも全く問題が見られず、中央から隅まで安定感のある結果が得られました。
NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sのレビュー一覧
- NIKKOR Z 85mm f/1.8 S レンズレビュー Vol.3 遠景解像編
- NIKKOR Z 85mm f/1.8 S レンズレビュー Vol.2 解像チャート編
- NIKKOR Z 85mm f/1.8 S レンズレビュー Vol.1 外観・操作・AF編
今回のまとめ
少なくともNikon Z システムで利用できる85mm F1.8としては最高性能。近距離におけるパフォーマンス低下が目立たず、中央から周辺・隅まで一貫した結果が得られる珍しいレンズです。「ハイスピードレンズ」としてF1.8を利用し、後からクロップするような撮影シーンにも十分活かせる性能と言えるでしょう。(例えば屋内の動物や子供の撮影など)
At the very least, it is the best 85mm F1.8 lens available for the Nikon Z system. It is a rare lens that does not show a noticeable drop in performance at close distances, and delivers consistent results from the center to the periphery and corners. It is a lens that can be fully utilized in shooting scenes where you use F1.8 as a “high-speed lens” and crop the image afterwards (for example, when shooting animals or children indoors).
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:Z 8
- 交換レンズ:NIKKOR Z 85mm f/1.8 S
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・レンズプロファイル オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
収差が変動しやすい近距離でもフレーム全域でF1.8から良好な結果。安価な社外製AF 85mm F1.8が苦手とする領域であり、特に周辺や隅のパフォーマンスはNIKKORが圧倒的。絞っても大幅な改善はありませんが、F1.8から実用的な良像をフレーム全域で得ることが出来ます。
中央
遠景と比べると収差が若干目立つものの、それでもF1.8からシャープでコントラストの高い結果が得られます。少なくとも4500万画素のZ 8では絞っても大きな改善はありません。
周辺
中央とほぼ同じ結果。全く見劣りしない画質であり、部分的に切り取った画像を見比べても中央なのか周辺なのか判断が付かないほど。やはり絞っても改善が見られないほど、F1.8からシャープ。
四隅
驚いたことに、隅もほとんど落ち込みがありません。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.8 | 4063 | 4008 | 3474 |
F2 | 3865 | 3694 | 3744 |
F2.8 | 4361 | 4302 | 3725 |
F4 | 4322 | 4227 | 3847 |
F5.6 | 4362 | 4073 | 3482 |
F8 | 4576 | 3790 | 3501 |
F11 | 4184 | 3623 | 3167 |
F16 | 3369 | 3225 | 3058 |
実写確認
競合製品の比較
Zマウントで利用できる社外製の中望遠レンズと比較。(テストモデルがソニー機 6100万画素のため参考までに)
どの製品も遠景では良好な結果が得られていますが、近距離では絞り開放の中央解像が低下したり、周辺や隅の性能が大幅に低下しています。近距離で安定した結果が得られるのはNIKKORのみ。もしも、撮影距離が短いシーンが多く、開放でシャープな結果を得たい場合はNIKKORを強くおススメします。
まとめ
少なくともNikon Z システムで利用できる85mm F1.8としては最高性能。近距離におけるパフォーマンス低下が目立たず、中央から周辺・隅まで一貫した結果が得られる珍しいレンズです。「ハイスピードレンズ」としてF1.8を利用し、後からクロップするような撮影シーンにも十分活かせる性能と言えるでしょう。(例えば屋内の動物や子供の撮影など)
高解像だからボケが硬いかというとそうでもなく…。絶妙に残された収差のおかげで、予想していたよりも柔らかいボケ質が得られます。このため、Z MC レンズほど絞り開放から高解像・高コントラストではないものの、ポートレートレンズとしては適切と言えるでしょう。
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作例
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