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ニコン「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」レンズレビュー 解像チャート編

ニコン「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」のレビュー第三弾を公開。今回はお馴染みの解像力チャートを使用した近距離撮影時の解像力をテストしています。

まえがき

2019年に「Z 50」と共に登場した最初のNIKKOR Z DXレンズの一つ。沈胴機構を採用したコンパクトな標準ズームレンズながら高い光学性能と手ぶれ補正を実現していると言われています。レンズ構成は7群9枚で、そのうち1枚のEDレンズと4枚の非球面レンズを採用した力の入った光学設計。

概要
レンズの仕様
マウント Nikon Z 最短撮影距離 0.25-0.3m
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 0.2倍
焦点距離 16-50mm フィルター径 46mm
レンズ構成 7群9枚 手ぶれ補正 4.5段
開放絞り F3.5-6.3 テレコン -
最小絞り F22-40 コーティング 不明
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ70×32mm 防塵防滴 対応
重量 135g AF STM
その他 沈胴機構
付属品
レンズキャップ

最短撮影距離はズーム全域で0.25~0.3mであり、広角側では少し寄りづらい。ただし、望遠側では35mm判換算で0.3倍の実用的なクローズアップ性能を実現。小型軽量ながら4.5段の光学手ぶれ補正に対応しているほか、防塵防滴にも配慮した設計の実用的なスペックに仕上がっています。

2021年8月現在でZマウント用レンズとしては最も小型軽量。特に沈胴機構を採用したレンズのため、内筒格納時の携帯性・収納性は抜群。これで高い光学性能と静かで高速なAF、防塵防滴仕様なのだから凄い。

価格のチェック

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解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Nikon Z 7
  • 交換レンズ:NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 200 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

16mm

テスト結果

中央

絞り開放から3000を超える非常に良好な性能。同じ2000万画素センサーを使用しているマイクロフォーサーズカメラの数値も良くて3000?3500となるので、このテスト環境では上限に近いパフォーマンスと言える。
F4で急激に改善しているものの、F5.6で急速に低下しているので、おそらく異常な数値が出てしまったものと思われる。その後に何度かテストした平均値では3000前後となった。
回折の影響を受け始めるF11までは一貫したパフォーマンスを発揮し、F16も使えなくはない画質。ただしF22まで絞ると2500を下回るため、出来れば避けて通りたい。

周辺

絞り開放から中央に近いとても良好な性能を発揮。やはり絞っても性能に大きな変化は無く、回折が始まるまで一貫したパフォーマンス。将来的により高画素センサーになったとしても耐えられる可能性が高い。

四隅

中央や周辺と比べると少し見劣りするものの、開放から2500を超える良好な性能。絞ることで徐々に改善し、F5.6で中央や周辺と画質差の少ない均質性の高い画質を実現する。その後は回折開始から最小絞りまで似たような性能を示している。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F3.5 3090 2904 2520
F4.0 3694 2904 2667
F5.6 2938 2904 2761
F8.0 3004 2867 2731
F11 2909 2756 2610
F16 2456 2312 2159
F22 2342 2104 1949
実写確認

24mm

テスト結果

中央

16mmと同じく絞り開放からとても良好な性能を発揮。絞っても改善は見られず、寧ろ徐々に低下してゆくのが特徴的。出来れば絞り開放で撮りたいものの、被写界深度や周辺・隅の画質とバランスを取るつもりなら絞る必要がある。画質は絞るごとに低下するが、F11までは下がり幅が小さく、実用上に問題は無いはず。

周辺

絞り開放から中央とほぼ同じ良好な性能。F5.6まで絞ると中央とほとんど差の無い均質的な画質となり、それ以降もほぼ同じ水準を維持している。

四隅

絞り開放こそ中央や周辺よりワンランク低い画質だが、絞ると少しずつ改善し、F8で中央と同等の均質性の高い画質を獲得するに至る。そこから絞ると回折により画質が低下し始めるので、風景撮影ならばF8を基準の絞り値として使いたい。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.2 3071 2726 2400
F5.6 2896 2838 2696
F8.0 2838 2815 2884
F11 2750 2604 2312
F16 2341 2312 2196
F22 2108 1962 1933
F29 1816 1816 1670
実写確認

35mm

テスト結果

中央

絞り開放の数値が3000を下回るものの、それでも非常に良好な画質に違い無し。24mmと同じく絞っても改善せず、寧ろ画質は低下してしまう。回折の影響はF16まで緩やかなので、必要な被写界深度に応じて自由に絞り値を選べば良い。F16を超えると急激に画質が低下し始めるので注意が必要。

周辺

絞り開放から中央とほぼ同じ画質。コンパクトな標準ズームの中間域でパフォーマンスを維持しているのは凄い。F5.3以降のパフォーマンスも全体的に中央とにている。

四隅

16mmや24mmと異なり、絞り開放から中央や周辺と同等の良好な画質。絞りによる傾向も似ており、特に画質面で絞り値を意識する必要が無いのはGood。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.3 2957 2867 2779
F5.6 2946 2802 2809
F8.0 2733 3071 2607
F11 2594 2721 2637
F16 2454 2312 2283
F22 1951 1853 1816
F32 1598 1651 1583
実写確認

50mm

テスト結果

中央

標準ズームの望遠端と言えばパフォーマンスが低下しやすい焦点距離。しかしながら、他のズームレンジと同等の解像性能を維持している。パフォーマンスはF8まで維持しているものの、以降は回折の影響で急速に低下する。最小絞りはF40だが、1500を下回る非常にソフトな画質であり、正直なところ使いたいとは思わない。

周辺

なぜか中央よりも良好な数値だが誤差の範囲内。ズームレンズの望遠端とは全く感じない性能であり、躊躇することなく50mm F6.3を使うことが出来る。ただし、ピークを維持できるF値の幅は狭く。F8を超えると急速に画質が低下する点には注意が必要。

四隅

中央や周辺と比べるとワンランク画質が低下するものの、それでも絞り開放の性能は広角側や中間域と比べて大きく見劣りしない。絞ると徐々に画質が改善するものの、F11まで絞ると中央や周辺の画質が低下し始める。全体の画質を重視するならF10?F11を、隅のわずかな甘さを妥協できるのであればF6.3?F8がおススメ。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 2994 3170 2548
F8.0 3136 3159 2637
F11 2543 2779 2761
F16 2342 2519 2331
F22 1945 1991 1956
F32 1467 1495 1480
F40 1275 1275 1264
実写確認

今回のおさらい

小型軽量で手ごろな価格の沈胴式ズームレンズながらズーム全域で良好な解像性能を発揮。特にこれと言った弱点は存在せず、広角端・望遠端におけるフレーム隅の僅かな画質低下のみ。明るいレンズでは無いのでF値の自由度は少ないが、絞り開放から良好な画質なので、被写界深度の調整で絞りを調整すればOK。

将来的に2400万画素・3000万画素のDXセンサーが登場することで状況が変わる可能性があるものの、少なくとも2090万画素センサーを搭載する「Z 50」「Z fc」で使うぶんにはズームレンジ全域でこれと言った問題もなく使用可能。

では将来的に、より高画素センサーで使うようになったらどう感じるのか?
おそらく、中央の広い範囲は高解像センサーにも耐えうる性能であり、高画素になればなったぶんだけで高解像な結果を期待出来るはず。
その一方で、広角端16mmや望遠端50mmにおける周辺や隅の画質は伸び悩むと思われる。キレのある画質さえ望まなければ問題とならないかもしれないが、中央と隅の画質は今より開く可能性が高い。

購入早見表

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