オリンパス製ミラーレス「OM-D E-M5 Mark III」が発売日を迎え、2回目の週末が終わりました。このページでは先週と今週にOM-D E-M5 Mark IIIで撮影した写真を添えながらオートフォーカスについての所感を書き連ねてみたいと思います。
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E-M5 Mark IIIのオートフォーカス
動画で確認
フォーカスモードについて
S-AF/C-AF
特に大きな変更点は無し。
E-M5 Mark IIなどコントラストAFモデル(E-M1系以外)を使っていた人であれば像面位相差AFの恩恵を大きく感じるはず。
S-AF
E-M5 Mark IIIで言及されていませんが、S-AFはハイブリッド(像面位相差+コントラスト)、C-AFは像面位相差AF単独で動作すると思われます。位相差検出単独のC-AFと比べ、コントラスト検出を交えたS-AFは少しもたつく感じ。これはE-M1系と同じ傾向です。
C-AF
C-AFはE-M1系譲りの超速AF。組み合わせるレンズ次第で非常に快適となるはず。苦手なシチュエーションだと徹底的に不安定となる場合があるものの、コントラストが確保されている大部分の被写体ならば問題無いはず。(例えば電車の窓ガラスとか、フラットなボディパネルのはピントが合いづらい)
C-AFは特にE-M1 II(Ver3.00)やE-M1Xと同様、C-AFのカスタマイズ性が強化されているので使い勝手が向上しています。特に「中央スタート」や「中央優先」機能は一度確認しておくべき。
ハイブリッドAFを使用している分、検出精度が向上しているか?と言うとそうでもない。個人的に(悪条件では)位相差AF単独のC-AFのほうが優れていると感じるシーンがしばしばあります。
ちなみに親指AF(AF設定で「AFLAELボタン」でAFを動作)でC-AF中でもレリーズ優先設定は機能します。
E-M1XやE-M1 Mark II(FW3.00で追加)の「C-AF+MF」には対応していません。システム的に導入できるならば省いてほしく無かったところ。
C-AR+TR
近い勝手は従来通り、要改善ポイント。なんと言っても被写体が小さいとフォーカス精度が不安定。
至近距離・被写体をクローズアップしている場合は軽快な追従性能となりますが、それでも長時間は安定しません。ピントが乗り移りやすく、信頼性はロックオンから数秒が限度。長時間ロックオンし続けると、ロックが外れてしまう・ズレてしまうことがしばしば発生します。
フォーカス精度を重視するならば、1点やグループエリアでC-AFを使った方が無難。この辺りの改善はオリンパスにとって課題だと思うのですよねえ…。
幸いにもALLエリアでも「C-AF 中央スタート」機能が備わっています。C-AF+TRよりは安定感があるはず。それでも完璧とは言えませんが。
MF
ファインダーが従来の液晶パネルからコントラストの高いOLEDパネルに変化しています。このため、ファインダー使用時にピントの芯が見やすくなった、ような気がする。
フォーカスエリアについて
121点
E-M1 Mak IIから始まった「TurePic VIII」に搭載されている121点AFシステムを搭載しています。フォーカス枠の表示を「MODE2」へ切り替えることでALLエリアでのC-AF中はクラスター表示に対応。
グループエリア
5点・9点に加え、さらに大きい25点グループエリアに対応。
25点は比較的広いフォーカスエリアですが、「C-AF中央スタート」機能を活用することで意図したポイントからC-AFをスタートさせることが可能。
AFターゲットパッド
E-M1Xのようにジョイスティックを搭載していないものの、ファインダー使用時にモニターを操作することでフォーカスエリアの移動が可能。E-M1 Mark IIも対応していますが、グリップまでの距離が長いのでE-M5 Mark IIIほど手軽に操作できません。
レスポンスは良好で気になる遅延は無し。
操作領域が右半分固定
タッチパネルの操作領域は右半分固定。つまり左手を使った操作が非常にやり辛くなっています。メニューから領域を変更できると良かったのですが、E-M5 Mark IIIでそのような機能は見当たりません。なぜこのような仕様にしたのか理解に苦しむところ。
タッチAF
基本的にはモニターをタッチしてフォーカスエリアを指定できる、他社と似たような機能です。
ただし、タッチAF時のフォーカスエリアと通常時のフォーカスエリアが異なっているオリンパスの独自仕様。E-M5 Mark IIIに限った話ではありませんが、非常に使い辛い。
タッチAF使用時でもファインダーでAFターゲットパッドを利用できますが、「HOME」機能が利用できません。私は「HOME機能でフレーム中央へ戻す」ように使っているので不便と感じます。(追記:タッチAF中はOKボタンを長押しすることで中央へ戻すことが可能)
さらにタッチAF作動時は「マルチFn」の一部機能を利用することが出来ません。例えば「ハイライト&シャドウ」や「アスペクト比の変更」など。その一方、「拡大」は利用可能となっています。
タッチAFのフレームを解除するには「OK」ボタンを押す必要があります。解除すると、タッチAFで指定したエリアでは無く、「タッチAFで指定する前のフォーカスエリア」に配置が戻っています。これも地味に使い辛い。
恐らくこのオリンパスの使い勝手で、相性が良い人と悪い人がいるはず。
顔・瞳検出
ミラーレスシステム黎明期から瞳検出に対応していたオリンパス。検出精度はぼちぼち、検出後のピント精度はかなり怪しい。正直に言うと、家族写真で顔検出メインならばLUMIXを持ち出します。
像面位相差AF+顔検出機能は子供を撮るときに便利なのですが、イマイチ精度が安定しないので悩ましいところ。被写界深度が深いキットレンズならまだしも、大口径単焦点や望遠ズームだとピントを外すことがしばしばあります。
カスタマイズ
全てを説明していると長くなるので、従来と比べて目新しいポイントのみを紹介。(詳しくはメニューシステムをレビューする時にでも)
C-AF中央スタート・C-AF中央優先
- 中央スタート:C-AFで最初に測距するエリアが中央固定
- 中央優先:グループエリア時に中央領域へ優先的にピントを合わせる
「1点」以外のグループエリアやALLエリア時に機能します。E-M1 II(Ver3.00)やE-M1Xでも利用可能。
これまでグループエリアやALLエリアは広い範囲の中から自動的に被写体にピントを合わせる仕様だったため、「ここに合わせたい」という微調整に不向きな機能でした。
ところがこれらが実装されたことにより、狙った部位へピントを合わせやすくなっています。(C-AF中央優先オフの場合)感覚的には「C-AF+TR」に近い操作性のグループエリアを使用することが可能です。
これでグループエリア時もクラスター表示に対応していれば使いやすかった。今のところグループエリア時の合焦表示が遅すぎる&1枠のみ、となっているので視認性は非常に悪い。
実写にて
フォーカス速度
レスポンスの良さはE-M1系譲り。デュアルVCMの「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」を始め、適切なレンズと組み合わせることで軽快なAF。
初動で大暴投しなければ、そのまま追従連写へ移行することが出来ます。
イルカショーではステッピングモーター駆動の「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を使用しましたが、特に問題なく快適なAFを楽しめました。
比較的被写界深度が深く、背景のコントラストでピントを掴んでしまいそうなシーンでしたが問題なし。
至近距離めがけて爆走するウサギにもなんとか追従。ただし、イルカと比べると成功率は下がります。(追従が遅れたり、狙った部位にピントが来なかったり)
C-AF+TRは相変わらず使い物にならないので、5点?9点のグループエリアが使いやすい。ただし、不規則に動く被写体相手に5?9点エリアは狭すぎるため、25点やALLエリアの「中央スタート」が使いやすかったです。25点の場合は「中央優先」設定をオフにしておくと良いでしょう。
フォーカス精度
前述してきた通り、C-AF+TRは状況によって避けるべき。不規則に動く被写体を追いかけるのに便利ではありますが、何しろ不安定で信頼できないのがマイナス。
C-AFも完璧とは言えませんが、広いグループエリアで「中央スタート」のほうがまだ使いやすいと感じるはず。
キットレンズやF4ズームの被写界深度なら問題ありませんが、F2.8ズームやF1.4大口径レンズの場合は「おや?」と感じる場合が多い。
低照度でのパフォーマンスはまずまず良好。E-M1 IIの初期ファームウェアと比べると大分良くなったと感じます。
それでも低コントラストな状況で全く歯が立たない場合もありますが…。
雑感
上位機種と”ほぼ”遜色の無いAF性能ですが、オリンパス機が抱える問題も依然として存在。
コントラスト検出の従来機と比べて快適であり、E-M1 IIやE-M1Xと比べて目立った違いはありません。組み合わせるレンズによっては超高速AFとなり、軽快な撮影を楽しめるはず。
その一方でピント精度は不安定。正確な時もあれば、甘い時もある。E-M1 IIやE-M1Xの追従18コマ秒連写に対応していないため、「数打てば当たる」的な使い方をし辛いのは確か。
家族写真で使うには良い携帯性のカメラなので、これで顔検出とC-AFの精度がもう少し向上してくれればバッチリなのですけどねえ…。
小型軽量でタッチフォーカスを多用するカメラにも関わらず、タッチ操作周辺の改善も無し。ピンチ操作でAFフレームサイズを変更したり、AFターゲットパッドの領域を変更することも出来ません。この辺りは是非ともLUMIXを見習ってほしいところ。
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参考:E-M1 Mark II・E-M1X
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