このページではリコーイメージングのコンパクトデジタルカメラ「GR III」のオートフォーカスに関するレビューを掲載しています。
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GR III 外観・操作性レビュー
デザイン
全体的なデザインはマットブラックなボディにシボ加工のグリップが特徴的ないつものGR。
「GR」のロゴは従来通り、正面左下に配置。カラーリングはパッケージと同じダークグレーを採用。レンズ前面のロゴも同じくダークグレーに変更されており、主張し過ぎない色合いとなっている。
毎度おなじみとなったデコレーションリングの限定カラーは青色。「RIOCH BLUE」を意識したカラーリングでしょうか。
カメラサイズは横幅がグッと圧縮されているものの、ボタンレイアウトの簡略化でモニターサイズは同程度。モニターは4:3のアスペクト比から3:2の今どきなタイプへ変更されている。
「RICOH」ロゴはカメラ下部から背面左上へ移動している。
フラットなボディデザインは踏襲されている。ポケットや隙間スペースに収納しやすいのがGood、この特性を持つAPS-CデジカメはGRくらいでしょう。
三脚穴は光軸上から右にズレた場所に配置されています。沈胴式機構のレンズがボディ内に格納されるGR IIIとしては致し方の無い仕様。
三脚に固定したり、カメラプレートを装着するとバッテリー・SDカードが取り出せなくなってしまう点に注意。幸いにもUSBポートから充電は出来るので、メディアカードが取り出せなくなる点に注意すればOK。
レンズ繰り出し
レンズ構成が僅かにシンプルとなっているためか、繰り出し量が少ない印象。ただし、マクロモード時は繰り出し量が増えます。
サイズ・重量・質感
サイズ
1.7型コンデジやソニー以外の1型コンデジと同程度のサイズ感。大変素晴らしい。この筐体の中に18.3mm F2.8レンズとボディ内手ぶれ補正とAPS-Cセンサーが収まっているとは…。
「RICOH GR」シリーズとしては、I・IIと比較して横幅がグッと狭まりコンパクトになっている。
質感
マグネシウム合金製であることに加え、ボディ内手ぶれ補正ユニット搭載により、コンパクトカメラながら密度が高く塊感がある。しっかりとした質感。
手に取った限りでは頑丈な印象。とは言え、RX100 Vを尻もちの拍子に変形させた過去があるので取り扱いには気を付けたいところ。
一方、モードダイヤルやシャッターボタン、方向ボタンやホイールなどはプラスチック感が強い。ここのプラスチック感が前面に出てしまい、あたかもボディ全体がプラスチックであるかのような錯覚に陥った。
せめてモードダイヤルくらいはアルミ削り出しが良かった。
ホールド
程よいフロントグリップとサムレストで小型サイズながら十分良好。親指と中指でしっかりカメラをホールドできるため、人差し指はシャッターボタンに集中できる。
カメラストラップは右肩のみならず右下にも取り付けることが可能。ダイヤル操作を邪魔せずストラップを装着できるのは有難い。
カメラを両手で構えるとこんな感じ。タッチパネル操作に対応したので左手も使ったカメラ操作は増えるはず。
ライブビュー中はモニター8割から外側がタッチ操作に対応していない。このため、意図せずAFエリアを変更してしまうなどの誤操作は少ない印象。
フロントダイヤル・シャッターボタン
ゴム製ではなく、プラスチック製のフロントダイヤル。フジフイルムのように押し込み式ボタンとしての機能は無く、単純にダイヤル操作として利用する。
ダイヤルはカメラに対して垂直に配置され、カメラ内に埋没している。一見すると扱い辛いように見えるものの、実際に使ってみると通常水平に装着されているダイヤルよりも使いやすい。回転感度は程よく、回し過ぎず、回し足りず、と言ったことが無い。
シャッターボタンはクリック感のあるタイプでストロークは従来通り。半押しから全押しまでのストロークは短いので速写に向いている。
ADJレバー
GRではお馴染みのADJレバーは健在。
ただし、左右の動作はISO感度では無く、無くなった露出補正ボタンの代わりとなっている。露出補正機能はADJレバー固定でカスタマイズ不可。他のダイヤルやボタンで操作できないのは頂けない。ADJレバーの機能は任意に変更できると良かった
小さなADJレバーでポチポチ露出補正を変更するのはやや面倒。従来通りボタン式で操作したかった。
ADJレバー押し込み後の「ADJモード」はカスタマイズ対応で5枠設定可能。(カスタマイズの詳細は後日レビュー)
背面ホイール
他社でも多くのモデルで採用している背面ホイールを導入。個人的にコレは失敗だったと感じています。
まず第一に背面ホイールの役割が少なく、カスタマイズ不可。MFモード時のピント操作やメニュー画面の操作のみ対応。ファームウェアアップデートで「露出補正」や「AFモード変更」「撮影距離」あたりをダイレクトに変更できるようになると嬉しい。
第二にホイール感度が悪く、MF操作時は近接から無限遠まで移動させる場合にとても面倒。
極め付けは指の掛かりが悪いこと。ローレットの切り込みが細かく滑りやすい、LUMIX GMやEOS M3に近い形状。滑らないように指に力を入れると誤ってボタンを押し込んでしまい誤操作の元となる困った操作性。
この点、パナソニックは使いやすさを改善し、LUMIX GFシリーズでホイールの太さと形状を変更している。
個人的にはGFシリーズのホイール形状で及第点となり、GR IIIのホイール形状は許容し難い。何が言いたいのか分からない方は、一度家電量販店でGR IIIのホイールとGFシリーズのホイールを触り比べてみると差が歴然であることが理解できるはず。
幸いにも機能面から背面ホイールの存在が空気。使わないので特に気にならないで済んでいると言ったところ。
その他ボタン類
動画ボタン
モードダイヤルの「動画モード」が無くなった代わりにカメラ側面に切替ボタンが配置されている。
と言ってもカスタマイズ対応のFnボタンなので、動画を一切使わないのであれば他の機能を割り当てればOK。
従来モデルと同じようにボタン長押しで「WiFi」もしくは「絞りプレビュー」機能を呼び出し可能。
再生ボタン
露出補正ボタンが無くなり再生ボタンがサムレスト上部に配置されました。ボタン配置は特に問題無く、片手操作でも問題無く押すことができる。
ただ、GR IIにあった露出補正ボタンが無くなったのは実に惜しい。
ちなみに電源オフ時でも再生ボタン長押しでレンズを格納したまま再生機能を利用することが可能。そのままメニュー画面へも移行できる。
ISO・ドライブ・ホワイトバランスボタン
それぞれカスタマイズ対応。カスタマイズ機能はADJ機能と被るので使いやすいほうを取捨選択して設定すると良し。
ISOやドライブはADJレバーに割当可能なので切替機能などFnボタン固有の機能を割り当てるとイイ感じ。
マクロモードボタン
MFモード以外ではマクロモードへ移行する機能を持っている。(無限やスナップモードでもマクロモードではAF対応)
MFモードではこのボタンを押すことで背面ホイールを使ったピント位置の操作が可能となる。
DISPボタン
モニター情報を切り替えることが出来る他、長押しすることで拡大に対応。割とマクロ撮影時に重宝する。
拡大はシャッターボタン半押しで解除されるものの、シャッターボタンを離すと再び拡大画面へ戻る。
ワイドコンバージョンレンズ
ワイドコンバージョンレンズ GW-4
金属製鏡筒のしっかりとした質感のコンバージョンレンズ。レンズレビュー編で述べた様にパフォーマンスはかなりイイ。
出目金レンズながら72mmフィルターに対応しているため、プロテクトフィルターを始めNDやC-PLを利用可能。確認する限りではケラレが発生しない。
GRへの装着はレンズアダプター経由で49mmフィルタースレッドへねじ込み式。ミラーレス用のワイドコンバージョンレンズとしても利用できるが周辺部はGRと組み合わせるよりも甘い気がする。
フード
ねじ込み式で頂点が定まっていないため、バヨネット式では無くゴム製かぶせ式のレンズフードとなっている。特に固定されるわけでは無く、ゴムの摩擦力でレンズにくっついている。何かに引っ掛けるとズレる他、埃などごみが付着しやすく除去し辛いのが難点。
レンズアダプター GA-1
ワイドコンバージョンレンズ GW-4装着に必須アイテムながら別売り。
総プラスチック製レンズアダプターは作りが非常にチープ。マグネシウム合金のGR IIIと比べると非常に脆そう。かなり安っぽいパーツの割に5千円近い実勢価格には不満を感じる。これはGW-4に付属すべき”パーツ”でしょう。
GR IIIへしっかり装着しても少しガタツキが残る。GW-4が金属製鏡筒で塊感のある重いコンバージョンレンズだけに、このプラスチック製アダプターを経由するのは非常に恐ろしい。
アダプターにはコンバージョンレンズの他、49mm円形フィルターを装着して使うのもあり。(アダプターにワイドコンバージョンレンズの情報が記録されているのでEXIF情報はおかしくなるかもしれない)
ストラップ
取り付け場所はカメラ上部の左右とカメラ下部右側に一か所の計3カ所。
オーソドックスなのは上部右側ですが、カメラが小さくモードダイヤルやコマンドダイヤルと近いことから操作の邪魔になる恐れあり。
個人的におススメはカメラ下部右側。
アクセサリーポート
メディアカードスロット
UHS-I対応でバッテリースロットの隣に配置。
内蔵メモリーを2GB備えているので、JPEG出力なら200枚程度撮影可能。(RAW出力だと20枚前後)
バッテリー
小型軽量・ボディ内手ぶれ補正の割を食っているのがバッテリー。
大動脈から出血しているかの如く電力を消費するため、1?2時間ほど密度の濃い撮影をすると残量が半分以下となっているはず。
そもそも論として1,040mAhしかない小サイズのバッテリーであることに加えて、ボディ内手ぶれ補正という消費電力の高そうな機能が備わっているので仕方ない。こまめな充電が不可欠。
モバイルバッテリーか予備バッテリーはマストアイテムと言い切っても良いくらい必須。バッテリーは空の状態からモバイルバッテリーによるUSB経由の充電で約40分ほどかかる。最善を尽くすのであれば予備バッテリーとモバイルバッテリーを併せ持つのが望ましい。
起動速度が速いのだから、スリープ設定を1分より短い時間で設定できると良かった。(電源切ればいいのだけど…)
USBポート
悪いことばかりではない。
前述したようにUSB充電対応となった上にUSB給電にも対応。しかもバッテリー無しでも動くため、最悪バッテリーが切れたとしてもモバイルバッテリーとUSBケーブルで使うことが出来るのは地味にありがたい。
USBポートはカメラグリップ下部に配置されています。
グリップ側のため給電しながら使う場合には少し邪魔と感じるかも。
今回のおさらい
GR III外観・操作性の特徴
- 限定カラーリングは青色
- 3:2のタッチパネルモニタ
- 通常時のレンズ繰り出し量が減ってる
- 従来通りマグネシウム合金ボディ
- ADJレバーの機能がISOから露出補正へ変更
- ADJモードのカスタマイズ枠は5つ
- 背面ホイールは低機能で操作性が悪い
- 動画機能はFn機能で呼出
- 再生ボタン長押しで電源オン対応
- 金属鏡筒のワイドコンバージョンレンズ
- GW-4用レンズフードは従来撮りゴム製
- プラスチック製レンズアダプター
- 2GB内蔵メモリー搭載
- 低容量バッテリーだがUSB充電・給電対応
GR IIIの外観・操作性に関する満足度は75点。
おもな減点ポイントはプラスチック感MAXのレンズアダプターと背面ホイールの機能性・操作性。これは実際に手に取って確認してもらいたいポイント。
同じ価格帯のカメラで言うと、質感や高級感はX100Fのほうが良好。ただし、圧倒的な携帯性と右手に集約された操作性はGR III。
コンパクトながらカスタマイズで操作に柔軟性があり、レスポンスの良いタッチパネルで小気味良い使い勝手を楽しめる。
その一方で露出補正がADJレバー固定だったり、背面ホイールが機能的・人間工学的に要改善だったりと気になる点が残されている。
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