このページではリコーイメージングのコンパクトデジタルカメラ「GR III」の画質レビューを掲載しています。
2019-03-22:「内蔵NDフィルターの影響」を追加しました。
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RICOH GR III 画質レビュー
今回は従来と異なり、サンプルイメージを一つのファイルにまとめてみました。
参照するイメージ数が減った一方、ファイルサイズはかなり大きくなっているので注意。
高感度ISOノイズ
高照度
照度が十分な環境であればISO3200まで画質低下の少ないイメージ。
ISO6400でノイズ増加が目に見えるものの、ISO12800までは実用範囲内。
ISO25600からさらにノイズが増加し、ディテールの維持が難しい。そこから最高感度ISO102400までは段階的にノイズレベルが上昇する。25600?102400は緊急用だが、ISO 102400を使うくらいなら別の手段を講じたい。
同イメージにおける別箇所をクロップしたものを以下に掲載。やはりISO3200までは快適に利用できる。ISO6400?12800まで実用的な画質を維持。
低照度
無理に暗部を持ち上げなければISO3200まで良好。ディテールを妥協すればISO6400もなんとか、ISO12800も…まぁなんとかOK。
ISO25600以降はノイズでディテールが完全に潰れてしまうので個人的には使いたくない感度。
高照度と同じように別箇所をクロップ。
ISO12800まではなんとか文字を識別することが可能だが、ISO25600以降はかなり難しい。
やはりISO3200まではとても良好な画質。ただし、実写ではフラットで極端なシャドウにISO 2400程度でもノイズが浮くこともある。
高感度ノイズリダクション
低照度でISO6400を使用し、ノイズリダクションを分けてボディ内現像したもの。
個人的にはディテール優先なので弱設定が最適解。標準?強だとディテールが溶けてコントラストが低下しまっている感がある。
ダイナミックレンジ
- カメラの適正露出で撮影したイメージ
- 露出補正-3EVからRAW現像で+3EV回復したイメージ
- 露出補正+3EVからRAW現像で-3EV回復したイメージ
それぞれハイライト補正オフ・オンの状態で用意。RAW現像はLightroomを用い、ハイライトMINI・シャドウMAXに調整した上で出力しています。
結果をご覧になるとわかるように、GR IIIは白飛びしやすいものの、シャドウ持ち上げ耐性はそこそこ優秀。しかし風景などダイナミックレンジの広さを求められるシーンにおいて、カメラ適正露出のままでは白飛びして復元できない場合も多いと感じるはず。
白飛びを抑えたい場合にはダイナミックレンジ補正内の「ハイライト補正」をオートかオンに設定しておくと良いでしょう。この場合、ISO AUTOの下限がISO200となりますが、その分絞り値とシャッタースピードによる露出が抑えられるのでイメージセンサーの白飛びを防いでいます。
当然ながら、ハイライト補正を適用することでシャドウ側の諧調は低下します。とは言ったものの、今回テストした限りではそこまでディテールや諧調の低下は感じられませんでした。状況にもよりますが、ハイライト補正はオン、またはオートにしておいたほうが良さそうです。
イメージコントロール
プロファイル
GR IIまでの「画像設定」「エフェクト」は新たに「イメージコントロール」にまとめられました。
イメージコントロールに格納されているプロファイルは全部で10種類。
- スタンダード
- ビビッド
- モノクローム
- ソフトモノクロ
- ハードモノクロ
- ハイコントラスト白黒
- ネガポジ調
- ブリーチバイパス
- レトロ
- HDR調
これらは全てキーやシャープネス、コントラスト、明瞭度が調整可能となっている。そしてカラーなら彩度が、モノクロなら色調が変更可能。
自分だけのプロファイルを微調整しやすくなった一方で、GR IIにあった「クロスプロセス」「雅」「かすか」「鮮やか」「人物」「光沢コントロール」と言った項目がなくなってしまった。個人的に雅やクロスプロセスが無くなってしまったのは残念でならない。
プロファイル調整対応表
彩度 | 色相 | キー | コントラスト | コントラスト 明部 |
コントラスト 暗部 |
シャープネス | シェーディング | 明瞭度 | 調色 | フィルター効果 | 粒状感 | HDR効果 | |
スタンダード | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × | × |
ビビッド | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × | × |
モノトーン | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ×? | × |
ソフトモノトーン | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ×? | × |
ハードモノトーン | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ×? | × |
ハイコントラスト白黒 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
ネガポジ調 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × | × |
ブリーチバイパス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × |
レトロ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × |
HDR調 | 〇 | 〇 | × | × | × | × | × | × | × | 〇 | × | × | 〇 |
RAW現像
ボディ内RAW現像に強いリコーイメージングらしく、GR IIIのボディ内RAW現像も半端ない。
- プレビュー対応
- プロファイルの微調整可能
- シャドウ補正対応
- ノイズ低減調整可能
- 周辺減光補正対応
- 拡大表示対応
なんと言ってもRAW現像時に拡大表示できるカメラはかなり少ないはず。コンパクトボディながら非常に柔軟性のあるRAW現像に対応しているのは他社に無い強みのはず。普段からパソコンを介さず、スマートフォン経由で写真ライフを送っているのであれば特筆すべきポイント。
内蔵NDフィルターの影響
「NDフィルター」オン・オフの撮り比べ。
違いは歴然としており、NDフィルターオンの状態だと光源付近にフレアが発生しコントラストの低下が目立つ。
内蔵NDが便利なシーンもあれば、このように逆光耐性への悪影響が大きい場合もある。つかわない時は「オフ設定」にしておくのが無難。
今回のおさらい
GR IIIの画質特徴
- ISO 3200まで良好な高感度ノイズ耐性
- ISO 12800まで実用的な高感度ノイズ耐性
- ノイズリダクション標準以上だとディテールが溶けやすい
- 感度別でノイズリダクション効果をカスタマイズ可能
- シャドウのノイズを気にするくらいならハイライト補正で白飛び予防を
- 「画像設定」「エフェクト」が「イメージコントロール」に集約
- 「クロスプロセス・雅・かすか・人物・鮮やか」が無い
- モノクロやネガポジ調でもキーやシャープネスの調整が可能
- 内蔵NDフィルターは逆光耐性の悪影響がある
18mm F2.8・ボディ内手ぶれ補正と相まって悪く無い高感度耐性。屋内や夜景など低照度環境でも比較的高画質を維持しやすいのがGood。
さらにISO12800でまずまず実用的な画質を維持している上に、感度別でノイズリダクションの効き目を設定できるためJPEG出力を扱いやすい。標準以上のノイズリダクションはあまり好みでは無いものの、弱設定の描写は割と好み。
イメージコントロールにクロスプロセスや雅が無かった点はなんとかして欲しいものの、どの設定項目でも彩度やコントラストを調整できるのは素晴らしい。
スナップから移動の合間にRAW現像、スマホ経由でSNSへ投稿という一連の流れが楽しく感じるカメラとなりそうな予感。しかし、スマートフォンアプリのGR III対応が遅れているという…。
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