外観
外装・フード
フルサイズ一眼の中でも大きめなボディであるD850が小さく見えるほど大きいレンズ。
2倍の広角大口径ズームは伊達じゃないぜ!
ニコン純正の「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」と最大径こそ似ているものの、全体的に鏡筒がかなり太い。
ズームリング、フォーカスリングともに直径が大きい。微調整し易いが、一度に大きく回転する場合には面倒である。
AF・MF
オートフォーカスは爆速では無いが普通に速い。
ブリージングの大きいレンズなので近接から無限遠へ一気にフォーカシングすると画角変化でオートフォーカスが迷いやすい。特にライブビュー時の近接撮影はその傾向が強い。
さらにニコン機は絞り優先AEで絞ったままAFを作動させると実絞りAFとなるためピントの山を掴みづらいのはマイナス。絞ってAFを作動させ、ピント固定して絞りを開けるとピントがずれていたりする。
フォーカスリングの回転角は約110°あるのでマニュアルフォーカスは使いやすい。リングは滑らかで均一な抵抗感を持っている。
収納性
当然ながら、カメラバッグへの収まりが悪い。「使うかどうかわからない」と言うロケーションへ携帯するには大きすぎる。
横倒しにするとスペースを取るため奥行き方向に余裕のあるバッグがオススメだ。
ただし、収納スペースをギリギリで仕切ると、レンズを取り出す際にかぶせ式のレンズキャップが外れてしまう事がある。
前玉
レンズは出目金で円形フィルターは装着不可能。
別途角形フィルターホルダーと角形フィルターを用意すればフィルターワークに対応できる。
しかし、全てを揃えようとするとレンズと変わらないような費用が必要となる。広角レンズでフィルターワークを楽しみたいのであればコスパが非常に悪い。
かぶせ式のレンズキャップはポケットに仕舞っておくには大きすぎる。ウェストポーチやカメラバッグのサイドポケットは開けておいた方が良い。
キャップの内側にはフェルト生地の滑り止めが張り付けてある。と言ってもロック機構は無いため、前述したように外れる可能性があるので注意。
スイッチ
スイッチは手ぶれ補正とフォーカスモードの切り替え。
TAP in Consoleには対応していないので手ぶれ補正の効き目を調整することは出来ない。
ズーミングによる内筒の変化
ズーミングは固定フード内にて伸縮が完結する構造。
レンズ全長が変化しない反面、15mm時の遮光性や保護性は大きく低下する。
レンズキャップ無しで持ち歩くならば焦点距離を30mmにして少しでもフードの保護性を高めておきたいところ。
HD PENTAX-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WRと見比べる
緩衝材や保護テープの張り方・色までソックリさん。どう見てもタムロンSP15-30mm、これでお値段1.5倍。
しかし描写が良かったのでどちらも買いました。
DFA側は手ぶれ補正用の機構が省略されている。PENTAXのボディ内手ぶれ補正と連動すれば良かったのにと思う事は多々ある。
個人的にデザインはD FAが好み。
実写
15mm絞り開放の解像力
ISO 64・15mm・F2.8にて撮影。RAWをLightroom CCCにて歪曲・周辺減光・色収差補正を適用した。
ピントがしっかり合っていれば安定した描写だ。
ただし、像高8割ほどは解像力がしっかりとしているものの隅は僅かにソフトな描写。隅から隅までシャープな画質を求めるならば1段は絞った方が良い。
コマ・非点収差(D FA15-30mm F2.8)
D850とSP15-30mmの組み合わせで星を撮りに行けていないので同じレンズであるDFA15-30mmの写真にて15mm F2.8で撮影。
周辺部は問題無し。
四隅は明るい星が僅かに収差の傾向を示しているものの、そこまで目立たない。パーフェクトを目指さなければ十分な補正量。
片ボケの有無
このカテゴリで気になる片ボケの心配はなさそうだ。
よく見ると右側が僅かに甘いような気もするが、他の写真を確認するとそうでも無かった。
歪曲
補正前は樽型歪曲だが、Lightroomのレンズプロファイルで補正を適用すると直線的な被写体でも目立たなくなる。
陣笠状の歪曲では無いので補正無しでも違和感は無い。
周辺減光
デジタル補正を適用しない場合は周辺減光がやや目立つ。
F4までは四隅の光量が低下しているのでレンズプロファイルのあるソフトで補正するかF5.6まで絞るのが良い。
F16時の回折現象の影響
悩ましいのがスローシャッターを必要とするシーン。
専用のフィルターホルダーと角形NDを使えば対応できるのだが、使用頻度と実勢価格を考えると購入に踏み切りづらい。
最低感度とF16まで絞りシャッタースピードを遅くすることでそれっぽく撮ることは可能。
しかし、4600万画素のD850でF16まで絞ると回折現象により解像力に影響する。全体像としては全く問題ないが、4600万画素を最大限活かすつもりならば角形フィルターを導入するべき。
ボケ
癖がなくナチュラルなボケ味で使いやすい。
特に後ボケは滑らかな傾向。
逆光
出目金レンズの宿命として逆光には弱い。
絞った状態で日が差し込むと褒められないゴーストが発生する。
さらに、ごく稀だがフレアで大きくコントラストが低下するウィークスポットが存在する。
手ぶれ補正
D850と組み合わせることでチルト液晶モニタを使ったローアングル仰角撮影もらくちんだ。
このようにカメラを安定させ辛い姿勢で撮影する場合には特に回転ブレの影響を受けやすい。効き目は確かにあるものの、全幅の信頼は置けない。
経験則から言うと極端なスローシャッターは避けるべき。そのようなシーンでは5軸手ぶれ補正を使うことが出来るPENTAX K-1とDFA15-30の使い勝手が勝っている。
簡易防滴・防汚コート
簡易防滴仕様に加えて防汚コートを採用している。滝を前にして果敢に前へ攻め込むことが出来るのは純正の1424Gには無い特徴。
水滴がレンズに付着したとしてもブロアでさっと吹けば綺麗になる。
ただし”簡易防滴”である上にズーミングにより内筒が前後するため耐候性について過信は禁物。
その他
まとめ
長所 | 短所 |
|
|
10万円を切る価格で広角F2.8ズームが手に入るのは魅力的。画質やサイズを抜きにしても選ぶべきポイントがある。
さらに安定した描写性能や簡易防滴、そして純正には無い防汚コートや手ぶれ補正を備えてる。
欠点はこのカテゴリのレンズとして仕方のない部分もあるが、TAP in Console非対応のため互換性やピントの正確性は要チェック。
正直に言うと…
やはりサイズがデカすぎる。
サイズを愛と気合でカバーできるかどうかのギリギリのライン。
長時間の手持ち撮影が出来ない訳ではないが、円形フィルターやバッグへの収納性など愛と気合でどうにもならない問題が存在する。
15mmをカバーする広角ズームで手ぶれ補正を搭載しているレンズは貴重。
しかし、ボディ内手ぶれ補正を搭載するミラーレス一眼が普及し始めた現在となってはサイズの犠牲が大きすぎる印象。リニューアルが進むSPシリーズにおいてSP15-30が更新されない理由がそこにあるのでは?と勘ぐってしまうほど。
キヤノンとガチンコとなるが、フィルターが装着できる「16-35mm F2.8 VC USD」とした方がタムロンらしく売れたのではないだろうか?
それでもオススメ出来るレンズ
再三になるが、描写性能は非常に良好。
F2.8の明るさを必要とし、サイズが気にならず、角形フィルターの導入を躊躇しないのであれば非常にオススメできるレンズ。
購入早見表
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SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD (Model A012) Nikon | 新品・中古情報 |
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SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD (Model A012) Sony | 新品・中古情報 |
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