外観
SIGMAの35mm F1.4 Artと比べ、ぷりっと小ぶりで可愛らしいサイズ感。
とは言え、F1.8クラスのレンズとしては比較的大きめ。
大口径ながら手ぶれ補正を搭載し、フローティングフォーカスの繰り出し量を外筒でカバーしているので妥当と言えば妥当な大きさ。
幅24mmのリブ付きでゴム製のフォーカスリングは回転動作はやや重めだが硬いと言うほどでは無い。
マニュアルフォーカスの回転角はおよそ190°。
競合する国産35mmと比べると、これは最も大きい回転角を持つレンズ。
ライバルよりも数センチほど近接性能が高いため、近接側のフォーカスリング回転角が余分に加わっているからだ。他社と同じように0.25m?∞までのピント距離ならば似たような回転角となる。
フォーカシングにはフローティングシステムを採用している。
ピント距離による収差変動を抑えているため近接から無限遠まで高い描写性能を発揮できる仕組み。ピント距離による画角変化も非常に少ない。
この機構のため、レンズ前玉は繰り出してくる。幸いにも繰り出し量はフィルタースレッドにまで及ばないため、フィルターとの干渉は無い。
繰り出し式による耐候性が不安(伸縮時に粉塵を吸い込む可能性)ならばプロテクトフィルターなどで保護しておくと良いでしょう。
動くレンズが多いため、フォーカシングは必要十分な速度にとどまっている。決して爆速では無い。さらにフォーカスリングの回転角が大きいのでコントラストAFを使う場合にはさらに遅く感じるかも。
ロック機構やC-PLの操作窓が無いプラスチック製のレンズフードは装着するとレンズ全長が1.5倍増となる。
逆光耐性は特に強くと言うレンズでは無いため、光源が邪魔をしやすいシーンではフードの着用がオススメ。
レンズフードは逆さ付けが可能だが、ピントリングがすっぽり隠れてしまう。
近接撮影時はMF操作を多用するのでフードは順付け、もしくはフード無しで保護フィルターを装着して使っています。
AF/MFとVCのオンオフスイッチはレンズ左側。
適度な硬さのスイッチであり、誤操作を防止するために埋め込み式となっている点がグッド。
ミニスタジオテスト・実写
近接撮影
このレンズにおける最も特徴的な性能の一つ。
フードを装着した状態の場合、フードスレスレまで接写撮影が可能と言う優れもの。
この近接能力は他のレンズよりも5?10cmほど寄れる性能であり、撮影倍率は競合レンズの倍近くである0.40倍を誇っている。
接写において四隅まで安定して写そうと考えるならば、少なくともF5.6までは絞って撮影すると安定する。もっと言えばF8~F11までは絞り込んで撮りたいところ。
逆にピント面のふわっとした描写を楽しみたいのであれば、F1.8~F4.0の間に絞り値を設定すると面白い。
軸上色収差
軸上色収差は皆無では無く、高いコントラスト周辺で発生する。
幸いにも常時目立つような量では無いため、一部のシーンを除いてF1.8から問題無く使用可能。
ボケ
後ボケと比べて前ボケがやや固め。しかし、大きな差では無く基本的にナチュラルで素敵なボケ質。
奥行き方向でのボケの推移も良好。ジワジワとボケるタイプ。
前述のとおり、ボケの色づきは極僅か。とても使いやすい絞り開放の描写ですね。
前ボケ
後ボケ
ライブビューAF
ご覧のように、接写から無限遠側にピントが移動する際に画角が微妙に変化する。
特に近接している被写体にピントを合わせようとすると、画角の変化により被写体の位置がズレてピントが合いづらい。
「SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD」ほど画角変化は大きくは無いものの、ライブビューを使った接写を行う場合には注意が必要。
キヤノンのデュアルピクセル CMOS AFを使えばライブビューAFの動作は飛躍的に改善するかと思います。
実写
ISO 100 F8.0 1/10秒の電子シャッター(ライブビュー)にて撮影。
手ぶれ補正の効果としては1段強と言ったところでしょうか?手振れの影響を確認しながら撮影して成功したのがこのシャッタースピードでした。
以前の記事でも書いたように、「広角レンズとスローシャッターの組み合わせ」だと回転ブレが大きくなるためか成功率が悪い。
特に高画素機との組み合わせでは手ぶれ補正はおまけ程度に考えておいた方が良いかもしれません。
体を柵や壁に押し付けて安定させるともう1?2段分はシャッタースピードを稼ぐことが可能。高画素機のパフォーマンスを最大限に発揮したいのであればやはり三脚推奨。
TAP in Consoleが無いため、VCの効き目は「スタンダード」。これを静止画優先モードにするともう少し改善するかもしれない。
ISO 400 1/40秒 F8.0にて撮影。
F8まで絞ると四隅の端まで安定した画質。レンズ補正はまったく適用していない状態だが、倍率色収差はまったくと言っていいほど見つからない。
一方で中央画質は絞っても劇的に改善はしない印象を受ける。安定した描写で解像性能は必要十分と言った感じでしょうか。
「バランスタイプ」とタムロン自身が述べているように、尖った解像力ではありませんが四隅まで安定した使いやすいレンズのようですね。
ISO160 F5.6 1/40秒にて撮影。
F8と言わず、F5.6でもピントがあっていれば四隅まで安定した描写となるようです。
ISO 64 F1.8 1/2000秒で撮影。
驚いたことに周辺減光を全く感じさせない絞り開放の描写。バランスタイプと言うのは伊達じゃなさそうだ。
コントラストはボチボチでライカやツアイスのように独特の立体感を持つ描写では無く、アッサリめでイマドキな傾向。使いやすく、レタッチがしやすい反面、レンズの味を求めて買うと肩透かしを食らうかも。
玉ボケは周辺部で口径食の影響を受けているが、F1.8と言う事もあって変形は気にならない程度。ややアスフェリカルな玉ボケですが、玉ボケの縁取りは癖が無い。
ISO110 F1.8 1/1000秒で撮影。
先ほどよりも少し距離を開けてパチリ。ボケ質、ボケの色づき共に癖が無く使いやすい。
やはり描写はアッサリしているのでマイクロフォーサーズの「LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.」の方が個人的には好み(猫撮りの場合)。
35mmの広角単焦点としては特異な接写性能が便利。
一般的な撮影で「寄りきれない」と感じることはほとんど無い。Nikon機のライブビューAFでは接写時の撮影テンポが非常に悪くなるが、D850のピーキングを使えばMFで撮ってしまうのもあり。
まとめ
解像力 | |
ボケ | |
操作性 | |
機能性 | |
価格 | |
総評 |
解像力は開けてふんわり、絞って四隅まで安定するバランスタイプ。
ボケは滑らかで素晴らしいが玉ボケにアスフェリカルな文様が入る点が玉に瑕。これさえなければボケはパーフェクトだった。
抜群の接写性能、簡易防滴、調節可能な手ぶれ補正、フッ素コーティング対応の前玉などなど…操作・機能性は非常に良好。AF速度はまずまずだが、ピント精度はD850で使う限り良好で調整要らず。
発売当初の価格設定はやや高めでしたが、現状の5万円台なら妥当では無いでしょうか。
描写はクリアでアッサリしているため、購入の決め手とするにはちょい弱め。どちらかと言えば接写性能や耐候性、手ぶれ補正という仕様を活かした表現をしたい人にオススメできるレンズです。
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