「Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH.」のレビュー第三弾を公開。今回は恒例の解像力チャートを使い、Z 8と組み合わせた際の近距離解像性能をチェックしています。
おことわり
今回は2ndFocusより無償貸与の「Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH.」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。また、従来よりも使用期間が短く、短期間に集中して試写・テストを実施ています。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。
Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH.のレビュー一覧
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビュー完全版
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光 編
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.5 諸収差 編
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.4 ボケ 編
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.3 解像チャート 編
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.2 遠景解像 編
- Thypoch Simera 35mm f/1.4 ASPH. レンズレビューVol.1 外観・操作 編
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:Nikon Z 8
- 交換レンズ:Thypoch Simera 35mm F1.4 ASPH.
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
絞り開放から抜群の解像性能とはいかないものの、中央から隅まで均質性の高い結果が得られています。小型軽量な35mm F1.4としては予想していたよりも良く、フローティング方式のフォーカスが功を奏しているのでしょうか。絞ると全体的に、そして徐々に改善します。F5.6のピークはフレーム隅でも4000本に近い、とても良好な結果が得られています。現代的で大きく重い35mm F1.4ほぼの性能ではありませんが、このようなMFレンズとしては十分な性能。
中央
絞り開放のF1.4は残存する球面収差でわずかにソフトな画質。そして軸上色収差の影響もわずかに確認できます。F2.0からF2.8にかけて諸収差が収束し、F4に向かってシャープネスとコントラストが向上しているように見えます。最低限の画質で明るさやボケを優先する場合はF2~F2.8を、解像を重視するならF4~F5.6まで絞るのがおススメ。
周辺
F1.4は中央と同じく、少しソフトな結果。ただし非点収差やコマ収差、倍率色収差と言った軸外収差の顕著な影響はなく、思っていたよりも安定感のある結果。F2.8まで絞ると中央と同じか、それ以上の結果が得られているように見えます。F4まで絞るとさらにシャープな結果で、倍率色収差はごく僅か。
四隅
周辺部と比べて顕著な差はありません。倍率色収差はやや強くなっているものの、(修正時)画質に影響を与えない程度に抑えられているように見えます。F2.8~F4まで絞った段階でシャープな結果が得られているものの、ピークを迎えるのはF5.6あたり。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.4 | 2931 | 2681 | 2681 |
F2.0 | 3212 | 2915 | 3290 |
F2.8 | 3866 | 4169 | 3436 |
F4.0 | 4293 | 4207 | 3614 |
F5.6 | 4520 | 4161 | 3972 |
F8.0 | 4438 | 3880 | 3614 |
F11 | 4234 | 3922 | 3426 |
F16 | 3662 | 3364 | 3102 |
実写確認
まとめ
フローティング方式のフォーカスが効いているのか、近距離でも収差変動が少なく、全体的に安定した結果を得ることができます。F1.4から現代的なレンズほどの高コントラスト・高解像とはいかないものの、実写で問題になるほどの画質低下はありません。遠景解像テストの結果も踏まえ、寄っても引いても使いやすく、開けても絞っても使い勝手が良いレンズに仕上がっています。やや高めのMFレンズですが、個人的にはそれだけの価値があるMマウント用レンズなのかなと。
購入早見表
作例
関連レンズ
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