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VILTROX AF 13mm F1.4 STM レンズレビューVol.5 ボケ編

「VILTROX AF 13mm F1.4 STM」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。撮影距離によって後ボケが騒がしくなるものの、特に接写時は滑らかで心地よい描写のボケが得られています。

簡易的なまとめ

完璧からは程遠いものの、超広角レンズのボケとしては健闘しています。特に接写時は全体的に滑らかなボケが得られ、超広角らしい広い画角で見栄えの良い結果となる。APS-C用レンズでは貴重な特性のため、面白い選択肢となることでしょう。

主な欠点は撮影距離と背景の関係から「中途半端な」サイズの後ボケ。この際は補正不足の球面収差・コマ収差・口径食の影響が目立ち、悪目立ちする可能性が高め。(ボケは小さくなるものの)絞ったほうが良好な見栄えとなることが多い。

Although it is far from perfect, it does a good job of blurring the background with a super-wide-angle lens. In particular, when taking close-up shots, it produces a smooth blur across the whole image, and the wide angle of view that is characteristic of super-wide-angle lenses gives a good-looking result. This is a valuable characteristic for an APS-C lens, so it is an interesting option.

The main drawback is the “half-hearted” size of the background blur due to the relationship between the shooting distance and the background. In this case, the effects of insufficiently corrected spherical aberration, coma aberration, and vignetting are noticeable, and there is a high possibility of it standing out in a bad way. (Although the blur becomes smaller), it is often better to use a smaller aperture for a better appearance.

VILTROX AF 13mm F1.4 STMのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

やや硬さが残るものの、前ボケよりも柔らかい描写。ボケの縁取りが残りにくく、広角レンズとしては良好な描写に見えます。

前ボケ

後ボケと比べると硬調でボケの縁取りが目立ちやすい。極端な2線ボケではないものの、状況によっては目立つ可能性あり。とはいえ、13mmの超広角で前ボケがフレームに入る機会は少ない。過度に心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

球面収差の補正不足なのか、玉ボケに妙な光点が混じります。非球面レンズの研磨ムラは軽微な影響。ボケの縁どりは僅か。13mm F1.4としては口径食の影響が軽微で、全体的に見て健闘(「酷くはない」という水準)。

ボケ実写

至近距離

VILTROXレンズとしては寄りやすく、小さな被写体をクローズアップすることが可能。この際の後ボケは滑らかで柔らかい描写。フレーム周辺の描写も悪目立ちせず、全体的に見栄えが良好。色収差の影響が若干残るものの、柔らかいボケにより見た目が緩和しています。

近距離

撮影距離が少し長くなっても良好な状態を維持。ただし、フレーム周辺の玉ボケは形状がいびつとなる。

中距離

さらに被写体との距離が長くなると、フレーム周辺30%くらいで騒がしいボケの兆候あり。悪目立ちすると感じた場合、1~2段程度絞ると改善する可能性あり。

ポートレート

  • 全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。フレームに全身を入れるとほとんどボケません。
  • 膝上くらいまで近寄ると、背景が僅かにボケ始めます。上半身やバストアップまで近寄ると、中途半端なサイズのボケが悪目立ちする可能性あり。この際は少し絞ったほうが改善するかもしれません。
  • 顔のクローズアップまで近寄ると後ボケは綺麗。

まとめ

完璧からは程遠いものの、超広角レンズのボケとしては健闘しています。特に接写時は全体的に滑らかなボケが得られ、超広角らしい広い画角で見栄えの良い結果となる。APS-C用レンズでは貴重な特性のため、面白い選択肢となることでしょう。

主な欠点は撮影距離と背景の関係から「中途半端な」サイズの後ボケ。この際は補正不足の球面収差・コマ収差・口径食の影響が目立ち、悪目立ちする可能性が高め。(ボケは小さくなるものの)絞ったほうが良好な見栄えとなることが多い。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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