「VILTROX AF 15mm F1.7」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。低価格の明るい広角レンズとしては諸収差の補正状態が良好でした。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(2週間)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。2週間と短い試用期間、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
低価格の明るい広角レンズとしては諸収差の補正状態が良好です。いずれも完璧な補正状態とは言えないものの、多くの撮影シーンで許容範囲内に収まっているように見えます。特に広角レンズで目立ちやすい倍率色収差や歪曲収差を上手く補正している点で印象的。
As a low-priced, bright wide-angle lens, it offers good correction of various aberrations. While none of them can be said to be perfectly corrected, they appear to be within acceptable limits in most shooting situations. In particular, the lens impresses with its effective correction of magnification chromatic aberration and distortion, which are prone to occur in wide-angle lenses.
VILTROX AF 15mm F1.7 のレビュー一覧
- VILTROX AF 15mm F1.7 レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 15mm F1.7 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 15mm F1.7 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 15mm F1.7 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
ピントを合わせる場所に関わらず、中央から隅まで結果に大きな違いはありません。像面湾曲は問題なく補正されています。
- 中央合わせ
- 隅合わせ
- 中央合わせ
- 隅合わせ
- 中央合わせ
- 隅合わせ
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
僅かに残存していますが、顕著な色ずれはありません。残存する収差はソフト補正で簡単に処理できます。ただし、玉ボケのテストを見る限りでは、コントラストの高いシーンでボケに色付きが発生する可能性あり。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
F1.7の絞り開放から色収差によるボケの色付きは軽微。完璧な補正状態ではありませんが、大きな問題はありません。別の注意点として、絞るとピントの山が遠側へ移動するフォーカスシフトが発生しています。これは球面収差の影響と思われ、絞り開放でのピント合わせ後に絞りを閉じる場合は注意が必要です。(F1.7とF4を見比べると、わかりやすいかと思います)
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
無補正でもほとんど目立たない程度に良く補正されています。直線的な被写体をフレーム端に配置すると、若干の糸巻き型。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
極端なコマ収差は残存していませんが、完璧な点像再現性とも言えません。許容範囲内。
球面収差
前述したフォーカスシフトからも分かるように、球面収差の影響が残っています。柔らかい後ボケとして作用する場合もあれば、絞り開放のコントラスト低下、フォーカスシフトなどマイナス面での影響も発生。ニコンZカメラであればF5.6まで実絞り測距(絞った状態でAF)になるので、特に問題視する必要はありませんん。
まとめ
低価格の明るい広角レンズとしては諸収差の補正状態が良好です。いずれも完璧な補正状態とは言えないものの、多くの撮影シーンで許容範囲内に収まっているように見えます。特に広角レンズで目立ちやすい倍率色収差や歪曲収差を上手く補正している点で印象的。
球面収差の補正状態が完璧とは言えないものの、解像性能への影響は軽微。少し絞れば概ね改善します。フォーカスシフトには注意が必要ですが、絞った状態で測距できるカメラであれば問題とは感じないことでしょう。ただし、開放測距後に絞るような撮影では注意が必要です。
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