「VILTROX AF 28mm F4.5」のレビュー第四弾 ボケ・逆光・減光編を公開。大きなボケではないものの、滑らかで扱いやすい描写。周辺減光や逆光は問題となりやすく、このあたりを受け入れることが出来るかどうかが購入するかどうかの分かれ目。
簡単なまとめ
製品提供を受けている
このレビューはPERGEARより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
大きなボケを作ることができるレンズではないものの、ボケ質は滑らかで扱いやすい描写。周辺減光はやや強くて回避不可。撮影後の補正や修正が必要となります。逆光時のフレアも問題となりやすく、光条は主張が強いので好みが分かれる可能性あり。
Although this lens is not capable of creating large bokeh, the bokeh quality is smooth and easy to handle. The vignetting is rather strong and cannot be avoided. Post-shooting correction and modification will be necessary. Flare in backlighting situations is also likely to be a problem, and the light streaks are very strong, so there is a possibility that people will have different preferences.
VILTROX AF 28mm F4.5のレビュー一覧
- VILTROX AF 28mm F4.5 レンズレビューVol.4 ボケ・逆光・減光編
- VILTROX AF 28mm F4.5 レンズレビューVol.3 諸収差編
- VILTROX AF 28mm F4.5 レンズレビューVol.2 解像性能編
- VILTROX AF 28mm F4.5 レンズレビューVol.1 外観・AF編
Index
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
非球面レンズの研磨ムラや玉ボケの縁取りなど、完璧からは程遠い。「28mm F4.5 パンケーキレンズ」であることを考えると、玉ボケの質感に期待するのはお門違い。極端に酷くないぶん、まだ健闘しているように見えます。
ボケ実写
至近距離
中央はまずまず滑らかで、隅向かって少し騒がしくなります。色収差が良く補正されているためか、ボケの色づきは弱め。縁取りは目立たない程度に抑えられています。
近距離
ボケが小さくなると、隅に向かって硬めのボケが目立ちやすい。それでも、コマ収差など軸外収差が(適度に)補正されているため、予想していたよりもきちんとした結果。
中距離
撮影距離が1mも離れると、質感を議論するほどの大きなボケは得られません。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
バストアップやクローズアップ以外で大きなボケは得られません。全体的にパンケーキレンズとしては質感がまともな描写だと思います。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
実写で確認
隅に向かって強めの減光が発生します。絞り固定のため、光学的にこれを改善する手段はありません。
Adobe Camera RAWには対応するレンズプロファイルがあるため、1クリックで減光を低減することが可能。
逆光耐性・光条
中央
強い光源をフレームに入れるとフレアが発生しやすい。影響を及ぼす範囲は広く、主張の激しい光条と合わせて強烈な存在感を示しています。このレンズで最も厄介な弱点。
隅
フレーム隅に光源を移動した場合も同じようにフレアが発生します。幸いにも不自然で見苦しい描写ではないため、状況によってはフレアが良い味付けとなる場合もあります。
光条
特殊な形状の固定絞りであり、F4.5でも光条が発生します。一般的な絞りの光条よりも線が細く、どちらかと言えば光条フィルターを装着したような結果が得られます。
まとめ
「28mm F4.5」という性質上、大きなボケを得にくいレンズです。接写以外ではボケ質を議論するほどの大きなボケは得られません。28mmで大きなボケを得たい場合は「FE 28mm F2」を検討するのがおススメ。
ボケを大きくすることはできませんが、接写時のボケは意外にも滑らかで扱いやすい描写。極上からは程遠いですが、悪くない。
周辺減光はフラットな背景でかなり目立ちます。絞り固定のため、撮影時にこれを改善する手段はありません。カメラや現像ソフトの補正が必須。
逆光耐性はこのレンズで最も気を付けたいポイント。強い光の影響を受けやすく、状況によっては低コントラストやフレアの原因となります。レンズフードを装着することは出来ず、画角が広いのでハレ切りも難しい。こういうものだと割り切って撮影するしかありません。フレアそのものは柔らかい描写で、扱いやすいのが不幸中の幸い。
フレアに加えて個性的で主張の強い光条も気を付けたいポイント。一般的な絞りの光条というよりも、クロスフィルターのようにシャープで明瞭な光条が発生。これを回避する手段はなく、特にイルミネーションのように光源が多いシーンで強烈。これはこれでアリだと思いますが、光条が嫌いな人は購入リストから外したほうが良いでしょう。
購入早見表
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