「VILTROX AF 40mm F2.5」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。NIKKOR Zと比べると接写時のボケが少し硬め。また、玉ボケに癖が出やすいので、状況によって絞る必要あり。
簡易的なまとめ
Z 40mm F2と比べると硬めのボケです。撮影距離による描写の変動が控え目で使いやすいですが、どう転んでもNIKKORのような滲むボケは得られません。そのぶん被写体が明瞭でハッキリとしています。使い方次第ではVILTROXのほうが適してると感じるかもしれません。2本レンズで描写が大きく異なるポイント。
Compared to the Z 40mm F2, the bokeh is harder. The variation in the depiction depending on the shooting distance is modest and easy to use, but no matter how you turn it, you won't get the blurred bokeh of a NIKKOR. For that reason, the subject is clear and distinct. Depending on how you use it, you might feel that the VILTROX is more suitable. The point where the depiction differs greatly between the two lenses.
VILTROX AF 40mm F2.5のレビュー一覧
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビュー 完全版
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
全体的にほぼニュートラルですが、ピント面直後は僅かに滲むような描写。軸上色収差が僅かにあるものの、悪目立ちするほどの影響ではありません。柔らかいボケとは言えませんが、騒がしいボケでもない。
前ボケ
後ボケと同様、ピント面の直前で球面収差による影響あり。この際は少し硬めのボケですが、ボケが大きくなると気にならなくなります。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認 F2.5
縁取りが少し硬く、軸上色収差の影響があります。さらにフレーム隅に向かって縁取りが強くなり、部分的にシャボン玉ライクの個性的なボケに変化。これを好む人もいるかもしれませんが、主張の激しい描写であり、被写体や撮影シーンによって向き不向きが発生すると思われます。少し騒がしいと感じたら絞りを閉じると改善する可能性あり。
玉ボケの描写に関してはZ 40mm F2がはるかに良好。
実写で確認 F4.0
F4まで絞ると改善しますが、7枚の絞り羽根では玉ボケが角ばりやすい。
ボケ実写
至近距離
中央付近は滑らかで綺麗なボケですが、周辺や隅のハイライトはボケの縁取りが強くなる傾向があります。少し気になる場合はF2.8-4まで絞ると改善します。
近距離
至近距離と同じ傾向。やはり周辺や隅のハイライトが目立つ可能性があるため、状況によってF4くらいまで絞る必要があるかもしれませんん。
中距離
ボケが小さくなるため、騒がしいボケも目立ちにくい。それでも気になる場合、やはりF4まで絞ると改善します。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
「40mm F2.5」でフレームに全身を入れると、被写体を背景から分離するのが難しい。ボケはお世辞にも綺麗とは言えませんが、小さなボケのため悪目立ちしにくい。上半身~バストアップくらいまで近寄るとボケが大きくなるものの、騒がしいボケが主張する場合はF4まで絞ったほうが良いでしょう。
まとめ
Z 40mm F2と比べると硬めのボケです。撮影距離による描写の変動が控え目で使いやすいですが、どう転んでもNIKKORのような滲むボケは得られません。そのぶん被写体が明瞭でハッキリとしています。使い方次第ではVILTROXのほうが適してると感じるかもしれません。2本レンズで描写が大きく異なるポイント。個人的にはZ 40mm F2のボケが好みですが、ここまで描写が異なると同じ40mmのレンズでも別腹。ふんわりエアリーなボケを作りたい気分ならニコンを、(比較的)パンチのあるピント面を重視するならVILTROXがおススメ。どちらにせよ、中距離以降のボケは騒がしいです(騒がしくなる要素は異なりますが)。
購入早見表
このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。