VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.2 解像チャート編

「VILTROX AF 85mm F1.4 Pro」のレビュー第二弾解像チャート編を公開。至近距離の絞り開放は球面収差の影響が強くなるものの、絞ると中央と隅どちらも優れた結果を得ることができました。

製品提供について

このレビューは映像嵐株式会社より無償提供（2週間）された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。2週間と短い試用期間、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

至近距離では球面収差が残存するソフトな画質。解像性能の観点で言えば欠点と指摘するところですが、85mm F1.4 の至近距離で解像性能を重視する人は多くないことでしょう。どちらかと言えば、柔らかいボケを重視する人が多いと思います。この観点で言えば、残存する球面収差が長所となる可能性あり。

絞ることでソフトな描写は急速に改善し、F2.8で概ね良好な結果、F4-5.6まで絞れば隅まで優れた結果を得ることができます。何の問題もありません。

競合製品と比べてどうか？
バランスは良いと思います。SIRUIやサムヤンと異なり、絞った時に周辺や隅が大幅に改善。シグマほどの安定感はないものの、それがボケ質の個性に繋がっているのだとしたら一つの選択肢としてあり。

At close range, the image quality is soft with residual spherical aberration. From a resolution performance perspective, this could be considered a drawback, but few people prioritize resolution performance at close range with an 85mm F1.4 lens. Instead, most users likely prioritize soft bokeh. From this perspective, the residual spherical aberration could actually be an advantage.

By stopping down, the soft description improves rapidly, and at F2.8, the results are generally good. Stopping down to F4-5.6 yields excellent results even in the corners. There are no problems.

How does it compare to competing products?
I think the balance is good. Unlike SIRUI and Samyang, the periphery and corners improve significantly when stopped down. It doesn't have the same stability as Sigma, but if that contributes to the bokeh quality, it could be a viable option.

VILTROX AF 85mm F1.4 Proのレビュー一覧

Index

VILTROX AF 85mm F1.4 Proのレビュー一覧
解像力チャート
まとめ
購入早見表
作例
関連レンズ
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解像力チャート

撮影環境

テスト環境

カメラボディ:ILCE-7RM5
交換レンズ：VILTROX AF 85mm F1.4 Pro
パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート（スチルカメラ用）」
オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
屋内で照明環境が一定
三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
RAW出力
ISO 100 固定
Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネスオフ
・ノイズリダクションオフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル（外せない）
解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
（像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック）
近接でのテストであることに注意（無限遠側はさらに良好となる可能性あり）

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

直前でテストした「VILTROX AF 135mm F1.8 LAB」と比べると、（特に絞り開放で）全体的にソフトな結果。これを欠点と感じるか、長所と捉えるかは撮り手次第。絞ると急速に改善するほか、遠景ではF1.4の絞り開放からまずまず良好な結果が得られるので問題無し。F5.6まで絞るとピークの性能に到達します。

中央

絞り開放は球面収差が残存する少しソフトな結果。ピント面の抜け感や解像性能ではマイナスかもしれませんが、滲みを伴う柔らかい描写と考えると、ポートレート撮影などに適しているように見えます。緩さはF2.8まで絞るとほぼ解消。

周辺

中央と比べると解像性能が少し低いものの、絞ると同程度まで改善します。

四隅

隅の画質は周辺からさらに低下。良好な結果を得るには、少なくともF4まで絞りたいところ。とはいえ、近距離で隅に被写体を配置することは少ないと思われ、過度に心配することではありません。

数値確認

	Center	Mid	Corner
F1.4	3729	3483	2248
F2.0	4114	3755	2375
F2.8	4634	3905	3301
F4.0	4632	4259	3737
F5.6	4581	4667	4481
F8.0	4502	4422	4513
F11	4274	4225	4323
F16	3973	3668	3812

競合製品との比較

使用しているカメラが異なるので傾向の参考までに。
近距離における周辺・隅のパフォーマンス低下は85mmで一般的な傾向。この領域で優れているとすればソニーの「85mm F1.4 GM II」あたりだと思いますが、まだテストしたことが無いのでノーコメント。F1.8 レンズを含めると、Z 85mm F1.8 S が健闘しています。シグマも良好に見えますが、テスト機が2400万画素。

主な競合製品であるSIRUIと比べると、絞り開放の中央・周辺でVILTROXが優れ、絞った際の隅も良好。価格差・サイズ差なりの性能を発揮していると思われます。