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2段階フリーアングル内蔵カーボン三脚 Ulanzi JJ05 ハンズオンレビュー

日々の増えてゆくカメラ関連機材の中で、個人的に気になる商品の特集記事。第十五弾の今回はUlanziの2段階フリーアングルポール内蔵カーボン三脚「JJ05」をピックアップ。

製品提供について

このレビューはUlanziより無償提供された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

Ulanzi JJ05

  • Ulanzi JJ05
  • Ulanzi JJ06(ビデオ雲台版)
  • ブランド:Ulanzi
  • 用途:三脚
  • 価格:45,999円(20%オフクーポンあり)
  • 主なスペック・特徴:
    ・全高:184cm
    ・縮長:41cm
    ・重量:1.56kg
    ・雲台:ボール雲台 / Uka・F38対応クイックリリースシステム
    ・パノラマ:ボール雲台 / センターポール
    ・2段階センターポール
    ・開閉:80°/55°/22°
    ・素材:アルミニウム・カーボン
    ・三脚耐荷重:18kg
    ・雲台耐荷重:5kg

ポイント

ここが良さそう

  • 角度調整可能な2段階式センターポール
  • 2段階センターポールで全高の拡張が可能
  • 同タイプの三脚としては軽量

ここが気になる

  • 脚が細いわりに高価
  • Ulanzi Uka/F38対応クイックリリースシステム

フリーアングル構造を備えた低価格の三脚が増えてきましたが、独自構造で自由度の高い2段階式センターポールを導入した三脚。伸縮とチルトが可能なセンターポールを内蔵しており、同種の三脚と比べて調整能力・対応力が向上しています。特に、フリーアングル構造を展開しつつ、高さ調整が可能な三脚は多くありません。

便利なセンターポールを搭載する三脚としては小型軽量で、携帯性が高いのは魅力的。その一方、競合製品と比べて高く、同程度の資金で脚径の太いカーボン三脚(雲台無し)を導入できてしまうのが悩ましいところ。

また、雲台がUlanzi独自規格のクイックシュー対応モデルで固定されています。同規格のユーザーであれば面白い選択肢となりますが、汎用性の高いアルカスイス互換ではありません。

実際に使ってみた

ケースと同根品

三脚ケースとしては珍しい、ファブリック調の素材を採用。耐久性や保護性はさておき、デザインの見栄えは良好。

取り外し可能なショルダーストラップが付属。ストラップ無しでも携帯できるバンド(おそらくキャリーケース用)を備えているほか、ストラップをかける面と三脚を出し入れする面が異なっており、実用的。

分かっている人がデザインした使いやすい三脚ケースという印象。

外観

脚とセンターポールは全てカーボン製。それ以外はアルミニウム合金を使用。プラスチック素材はほとんど使用していません。質感が良く、有象無象の安物三脚と比べると一線を画す。価格なりと言えばそう。意匠も安価な三脚とは異なり、Ulanziらしいデザインを採用しています。

脚 開閉

脚の付け根になる固定具を下へスライドすることで開閉のロック解除します。「押して」ロックを解除する動作と比べて「握る → 下へスライド」の二段階操作の動作が必要。

開閉は80°/55°/22°の三段階。80°まで開くと全高を低くすることができますが、そのままではセンターポールが邪魔になるので工夫が必要となります。

脚ロック

ここ最近のUlanzi三脚でよく見るレバーロックを採用。ナットロックと比べると素早く展開収納が可能。ただし、脚の分解が難しく、メンテナンス性は低め。

石突

ねじ込み式のゴム製石突き。ネジのサイズはおそらくM8タイプ。3/8型と異なるので交換用石突を購入する際は注意。

カウンターウェイト用フック

センターポール下部にはウェイトやカウンターウェイトを吊り下げるためのフックを備えています。石突と異なり、こちらは3/8型ネジを使用。取り外すことで、センターポールを三脚から引き抜くことが出来ます。

伸縮

脚は5段階で伸縮可能。途中での微調整も可能ですが、センターポールがあるため脚で微調整する必要はありません。2段式のセンターポールまで伸ばしきると180cmくらいまで高くなります。

脚径

中国メーカーのトラベル三脚としては高価な部類ですが、脚のサイズは控えめ。この価格帯だと30mmや32mm径のカーボン三脚(雲台無し)に手が届くので、何を重視するのかよく考えておきたいところ。

特に先端の脚が非常に細い。ただし、剛性は必要十分にあり、見た目ほど華奢ではありません。

追記:説明書に脚径の記載あり

  1. φ26mm
  2. φ22mm
  3. φ18.5mm
  4. φ15mm
  5. φ12mm

センターポール

2段階式のセンターポールを搭載。二段目(上部)は一段目(下部)の内部に収納できる構造となっており、収納状態から約2倍の長さに拡張可能。トラベル三脚のセンターポールとしては良く伸びます。

1段目と2段目はノブ・レバーで固定しますが、ポールはどちらも「面」でロック。ネジの「点」で押さえつける仕組みではなく、しっかりと固定されています。

一段目の伸縮は三脚天板付近のノブで調整可能。一段目は上下のみ調整ですが、緩めた際は360°水平回転が可能。ただし、センターポール中央のパンニング用ノブが干渉します。回転する場合はポールを少しだけ上に伸ばす必要あり。

2段目のセンターポールはレバーロックで操作可能。一段目と比べて伸縮動作が滑らかではなく、ひっかかりやすいのがマイナスポイント。

2段目を伸ばしきったところで、側面のツマミを緩めると側方へ傾けることができます。この際、二段目のポールとパンニング用のノブが干渉しやすいので注意。このデザインは改善の余地あり。

側方へのチルト軸はギアがかみ合うことでしっかり固定。搭載する機材の重みでずれる心配はありません。ただし、チルト軸を調整する際にギアが擦れるため、金属粉が発生しやすいのは悩ましいところ。

1段目を収納したまま2段目を水平に傾けることで、通常では難しい縦位置方向での撮影が容易。センターポールと雲台のパンニング回転で調整も可能。

水平を維持したまま、一段目の高さを調整することができます。これが可能なトラベル三脚はそう多くありません。テーブルフォトやマクロ撮影で使いやすいフリーアングル構造と言えるでしょう。

さらに、ポールを斜めに傾けた状態で固定し、下部のセンターポールで高さを調整できるトラベル三脚はほぼありません。
(競合するのはK&F ConceptのT254A7くらいでしょうか。ただし、サイズが大きく重い)

雲台

逆ボール雲台を搭載。レバーロックタイプのため、素早い操作が可能。ただし、ノブタイプのように、半締めで微調整をすることはできません。

90°垂直に雲台を傾けることが可能。ただし、2段目のポールを少し伸ばさないと、1段目の構造と干渉します。

小さいボール径の雲台としては雲台の固定力が良好。
重めの機材を搭載しても保持可能。とはいえ、三脚本体が軽いため、バランスを維持するためのウェイトが必要になるかもしれません。

逆ボール雲台の上部は360°パンニングに対応。適度な抵抗感で滑らかに回転します。

Ukaクイックリリースシステム

クイックリリースプレートF38Ukaプレートに対応するU kaクイックリリースシステムを採用。Ulanziは同システムを採用したアクセサリを多数リリースしており、同システムのユーザーであれば便利な構造と言えるでしょう。しっかりと固定されるのでがたつきやブレは全くありません。
注意:F38プレートを装着可能ですが、UkaプレートはF38システムに装着できません)

形状が似ているピークデザイン(本家)とは互換性がありません。また、普及しているアルカスイスタイプのアクセサリとも互換性がありません。
(F38プレートはアルカスイス互換のクランプに装着可能)

上部からクイックリリースプレートをはめ込むだけで固定可能。素早い脱着システムとしては洗練されています。ただし、誤操作に対して予防策がほとんど無く、ロックが外れると即落下。

横からスライドしてはめ込むシステムであれば即落下とはなりません。トラベル三脚を使うシーンで、リスクを伴う(上からはめ込むタイプの)素早い着脱が必要なのか疑問が残ります。スライド装着でも良かったのではないのかなと。

ちなみに、プレート装着後はリリースボタンを左へスライドすることで誤操作を防止できます。とはいえ、ネジ式クランプによる脱落防止構造が欲しいところ。

使用経験

携帯性

  • 縮長が48cmと短く、重量が1.56Kgと軽い。
  • さらに使いやすい三脚バッグもあり、携帯性しやすい三脚。
  • カメラバッグを同時に担いでも負担とは感じません。

操作性

  • 多機能な三脚のため、操作するノブやレバーが多く、誤操作に注意する必要あり。とは言え、ノブの形状や配置が良好で慣れるまで時間がかからない。
  • 脚の開閉が少し緩すぎると感じたものの、付属の六角レンチで締めなおすことで解決。
  • 2段目のセンターポール伸縮が滑らかではないが、間違いなく便利。

安定性

  • 最大26mm径の細い脚ながら、ウェイト次第で問題無し。
  • 小型軽量ながら剛性は十分。
  • ねじれ耐性も良好。

雲台

  • クイックリリースプレートがUka・F38限定となるのが面倒。
  • ボタン一発で”リリースできてしまう”ので、ヒヤッとした場面あり。
    (軽く押すだけで外れるので、スライドロックは必須)
  • ノブの感覚がパンニングだけ異なる。(締め切ったつもりがまだ回転する)

まとめ

小型軽量ながら、十分な剛性と安定性があり、2段式のセンターポールによる柔軟性が魅力的なカーボン三脚。価格は高めですがオールインワンでなんでもでき、様々な場所に携帯できる三脚を探している場合は検討する価値あり。この種の三脚としては少し高価ですが、携帯性と安定性、柔軟性の両立は必見。

主な欠点は独自のクイックリリースシステムを採用した雲台部分。Uka・F38タイプのプレート使用が必須となり、クランプタイプと比べると固定力や信頼性の面で見劣りします。素早く脱着できる利便性は魅力的ですが、それ以上に脱落のリスクが怖いと感じました。

Uka・F38プレートの魅力はあくまでも素早い脱着であって、ストラップやバックパックに装着して携帯する際に魅力的なシステム。このシステムを三脚に採用して重宝する撮影シーンが多いのか疑問。同システムはアルカスイス互換クランプで装着できるタイプも存在するので、基本はアルカスイス互換で良かったのでは?

全体的に見て、日ごろからUka・F38プレートを多用し、同システムの運用に慣れているのであればおススメできる三脚。テーブルフォトやマクロ撮影が中心の人にとっても便利な三脚になると思います。アルカスイスタイプのシステムを利用している人は、併用による誤操作のリスクを考慮すると、別の選択肢を検討したほうが良いでしょう。

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