Lenstipがパナソニック「LUMIX S PRO 50mm F1.4」のレビューを公開。極端に残存する歪曲収差と価格設定が見合わないと言及。しかし、優れた解像性能やボケ、諸収差の補正状態を高く評価。エディターズチョイスにとても近く、Lマウントを代表するレンズとのこと。
Lenstip:Panasonic Lumix S Pro 50 mm f/1.4
- 外観:マウントは金属製。付近の鏡筒にはシリアル番号と中国製の記載がある。後玉は直径約3.3センチで固定式。本体は金属製で黒塗装仕上げ。位置合わせ用の赤い点が目立つ。キャップとフードが付属するが、価格帯を考えれば堅牢なケースが同梱しているとよかった。
- 構造:多数のガスケットを備え、防塵防滴仕様。-10℃までの動作が保証されている。
- 携帯性:サイズが非常に大きい。
- 操作性:16mm幅の絞りリングを搭載。F1.4〜F16の範囲と「A」ポジションを備える。1/3段ごとのクリックで適切なダンピング機構を持つ。
- AF:全距離でのフォーカス速度は約0.5秒と非常に速く、暗所でも遅延は少ない。AF精度は非常に高く、屋外・スタジオともに完璧で称賛に値する。ブリージングは約8%で中程度。動画向けとしてはやや物足りないが、設計時期を考慮すると不自然ではない。
- MF:28ミリ幅のMFリングはゴム製リブ付きで、機械式と電子式を切替可能。完全マニュアル時にはクリックレスで、約100度の回転角が必要だがやや不足。回転速度に応じた制御が可能で、快適かつ正確な操作性を実現する。
- 手ぶれ補正:記載なし。
- 解像性能:開放から周辺まで非常に高い解像力を示す。APS-Cフレームではf/4で74lpmmを超え、フルサイズ隅でもf/2.8で59lpmm、f/4〜f/8では60lpmmと優秀。絞るほど性能は向上し、他のLマウントレンズを凌駕する実力を持つ。
- 像面湾曲:記載なし。
- ボケ:2枚の非球面レンズを使用しても玉ねぎボケは目立たず、玉ボケの輪郭も穏やか。背景ボケは美しく、全体として優れた描写。ただし、口径食の影響でf/2.8でも隅の玉ボケがわずかに欠ける。
- 軸上色収差:非常に良好に補正されており、開放でも色づきはほとんど見られず称賛に値する。
- 倍率色収差:0.02〜0.03%と非常に低く、絞り値による変動も少ない。ソニーFE 50mm F1.4 GMと同等の性能。
- 球面収差:開放付近では補正が抑えられており、焦点前後の描写から軽微な球面収差が確認できる。これは意図的な設計であり、美しいボケ描写との両立を目指した可能性が高い。
- 歪曲収差:-4.44%の樽型歪みが顕著で、補正なしの状態では大きな問題。補正後の画像は歪みがなくなるが、トリミングで約14%のピクセルが失われる。これはLマウント用高画素センサーの性能を十分に活かしきれていないことを示す。
- 周辺減光:開放で-2.16EV(52%)とやや大きいが、f/4で-0.48EV(15%)まで改善。f/5.6で-0.23EV(7%)と実用上問題なし。ソニーFE 50mm F1.4 GMより優れた結果。
- コマ収差:点光源の歪みはほぼなく、隅での光点サイズがわずかに大きくなる程度。高次収差の影響も非常に小さい。
- 逆光耐性:11群13枚の構成により反射リスクは高いが、開放では良好でゴーストも少ない。絞ると若干影響があるものの、全体的なコントラストは高く保たれる。明るい光源に対する耐性も中程度に良好で、ソニーより優れる。
- 光条:記載なし。
- 作例集:
- 総評:記録破りの解像性能を誇るが、歪曲収差の大きさと補正の代償が評価を下げた。f/1.4やf/2.0での性能やフォーカスブリージングも期待ほどではなく、「エディターズチョイス」のバッジ授与は見送られた。ただし、今後もLマウントの代表的な高解像レンズとして君臨し続けると見込まれる。
- 競合について:(訳注:Lマウントレンズで最初にテストしたレンズのため、直接比較できる製品はない模様。ただし、ソニーGMは小型軽量でF1.4からより優れた解像性能を発揮していると言及。)
- 備考:
パナソニックのLマウントシステム「LUMIX S」シリーズ始動時(2019年)にリリースされた大口径の標準単焦点レンズ。当時は今ほど小型軽量路線が定着しておらず、本レンズもミラーレス用「50mm F1.4」としては驚くほど大きく重い。同クラスでは最大・最重、50mm F1.2クラスと比較しても遜色ないサイズ感。さらに、売り出し価格も非常に高く、導入までのハードルが高い製品。
Lenstipのレビューによると、絞った際の優れた解像性能や高度な色収差補正、AF精度や周辺減光の穏やかさなどを評価。エディターズチョイスに近い製品と言及しています。ただし、歪曲収差が非常に大きく、補正前提の光学設計が最高評価とならない原因とのこと。歪曲収差は簡単に補正できるものの、大きく重く、高価なレンズとしては期待外れと感じたポイントのようです。
私も昨年にLUMIX S5IIやS9と組み合わせてレビュー済み。結果はLenstipとよく似ています。絞り開放の性能がソニーGMに及ばないと言及していますが、9600万画素のハイレゾモードで絞り開放から良好な結果が得られています。特に心配することはありません。
とは言え、価格やレンズサイズを考慮すると目立つ歪曲収差が予想以上だったのは確か。簡単に補正できるとはいえ、小型軽量でS PROより低価格なソニーGMの歪曲収差は良く抑えられています。(S PROより見劣る点はフォーカスブリージングと逆光耐性くらい)
しかし、歪曲収差を許容できれば光学的に気になる問題はほとんどありません。ボケはGMより滑らかで、逆光時のフレア・ゴーストは良く抑えられています。最大のネックはサイズと重量なのかなと。
パナソニック LUMIX S PRO 50mm F1.4 最新情報まとめ
LUMIX S PRO 50mm/F1.4 | |||
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レンズ仕様
発売日 | 2019年 3月23日 |
初値 | ?249,310 |
レンズマウント | ライカL |
対応センサー | フルサイズ |
焦点距離 | 50mm |
レンズ構成 | 11群13枚 非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚 |
開放絞り | F1.4 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 11枚羽根 円形虹彩絞り |
最短撮影距離 | 0.44m |
最大撮影倍率 | 0.15倍 |
フィルター径 | Φ77mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | 不明 |
サイズ | Φ90mm×約130mm |
重量 | 約955g |
防塵防滴 | 対応・耐低温 |
AF | STM マルチフォーカス |
絞りリング | あり |
その他のコントロール | フォーカスリングクラッチ |
付属品 | レンズフード レンズキャップ レンズリアキャップ レンズポーチ |
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